なんでそうなるのか

青森県八戸市で公務員試験塾オクトを主催する岡政也のブログです。

小さな果物屋

2013-03-28 09:50:16 | インポート
通勤の途中に、小さな果物屋があった。おばあさんが、一人で店番をしている。
店といっても、本当に小さく、軒先に、わずかなリンゴやバナナが並んでいるだけ。そして、おばあさんが一人で所在なさげに店番をしている。ずいぶんと高齢で、いつまで続くのだろう、と思っていた。
何年も何年も、店は開いていた。いつもおばあさんが一人で店番をしていた。ときおり、近所のお年寄りと話をしていた。

 真冬のある日、いつものように店の前を通ると果物が、すごく減っていた。
次の日はさらに減って、その次の日、完全になくなっていた。
 
 店を閉める準備、だったのだろう。

 でも、なにも並んでない店で、おばあさんはそれから3日ほど、いつものように店番をしていた。
店が終わってしまっても、急にはその変化を受け入れられなかったのだろう。 3日間、以前と同じように、ポツンと座っていた。

 3日たって、なにも並んでいなかった店の扉は閉められ、おばあさんを見ることはなくなった。

 それから半年たったが、いまだにその店の前を通ると、扉の向こうに並んでいる?果物に視線を向けてしまう。
そして、あのおばあさんは元気だろうか、と、思ってしまう。

 おばあさんだけでなく、道行く人たち、自分もその一人だが、いつもの慣れ親しんだ日常の変化に、意外と心はついていっていないのだな、と思った。