The Game is Afoot

ミステリ関連を中心に 海外ドラマ、映画、小説等々思いつくまま書いています。

グラナダ版 『ギリシャ語通訳』 : (1)

2016-05-04 |  ∟グラナダ版SH
―グラナダ版『ギリシャ語通訳』”The Greek Interpreter” (1) ―



BBC版 ”The Abominable Bride” 「忌まわしき花嫁」の初TV放送日が近づいてきました。
未だご覧になっていない方は首を長くして待っていらっしゃる事と思います。
私もDVD発売直後から視聴し、勿論劇場でも初の映画版を鑑賞してまいりました。
拙ブログにても3ケ月余り前から感想と検証を書かせて頂いていたのですが、その際も触れて
いたのですが、今回のSpecial ”The Abominable Bride”(以下TAB)は正典”The Greek
Interpreter”「ギリシャ語通訳」からの引用が予想以上に多く、グラナダ版へのオマージュも
多数見受けられました。


冒頭ベーカー街のシーンはグラナダ版そのものだし、イントロミュージックもグラナダ版の
物を使っているし 一瞬パクリかと思う程の拘り様で思わず感動しましたっけ。

↑ 左がグラナダ版、右がBBC版

前回も書きましたが、グラナダ版は正確に正典を引用しているので(今回のギリシャ語通訳は
若干の変更がみられますが)、正典を読んで居なくてもグラナダ版の「ギリシャ語通訳」を見る
事によってTABを観る楽しみが増える様な気がします。
「1粒で2度美味しい‼』

そんな訳で、久し振りにグラナダ版に触れてみようと思います。
TABに関してダラダラ書いた時は正典及びグラナダ版との類似点、オマージュ点について触れまし
たが、ダブりますが今回はグラナダ版からから見たTABへの引用部分に再度ふれました(クドイですね)。

尚、文中に記した正典の内容及び訳は 何時も重宝させて頂いている『原文で読むシャーロック・
ホームズ』から引用させて頂いております。

「ギリシャ語通訳」は兄のマイクロフトが初登場する記念すべき作品で マイクロフトの人物像、
又マイクロフトが所属するディオゲネスクラブとその情景、性格も初めて描かれています。


初放送は1985年
シャーロック・ホームズ : ジェレミー・ブレット
ジョン・ワトソン : デヴィッド・バーク
マイクロフト・ホームズ ; チャールス・グレイ

余談ですが、チャールス・グレイは「シャーロック・ホームズの素敵な冒険」”The Seven Percent
Solution”でもマイクロフトを演じていたそうです。(これずっと以前に観た記憶があるのですが 
良く覚えていません。)
又007シリーズ ”You Only Live Twice”(007は2度死ぬ)と”Diamonds are Forever”(ダイヤモンド
は永遠に)にも出演していた様ですが これも良く覚えていません。
色々忘れてばかりいるんです(汗)
 今回デジタルリマスター版ではないので画質が良くない事を含みおき下さいませ。




さて、概略ですが・・・
冒頭一人のギリシャ人が馬車に連れ込まれ何処ともなく運ばれるシーンから始まります。

正典と同様にワトソンの語りから始まりますが、ワトソンはこれまでホームズが一切自分の家族、係累に
関して語った事がなかったので てっきり親族がいないものだと思い込んでいた・・・・と。



一方、ベーカー街221B では、バタバタと書類の整理中(だか、散らかしているのか)のホームズが突然兄の
話を始めます。7歳年上のマイクロフトは観察力、洞察力、推理力はホームズをはるかにしのぐ優秀な人物で
あると言います。

「僕の血管を流れる才能はもしかすると僕の祖母から来たものかもしれない。フランスの芸術家のベルネの妹だ。
芸術家の血というものは奇妙な形態をとりがちだから」。
ここで、TABでマイクロフトのメモにあったVernetについて話しています。

ホームズの親族の事は全く知らずにいて兄が居る事も初めて聞いたワトソンは興味津々です。



「会ってみたいんじゃないかな?」といういたずらっぽい顔のホームズと「勿論だとも」と餌を前に尻尾を振る
犬の様なワトソンの表情が何とも言えません。

兄の依頼を受け彼が所属するディオゲネスクラブに会いに行くと聞き迷わず同行します。

ディオゲネスクラブはロンドンで最も人付き合いが悪く、最もクラブ嫌いの人間が入って居るクラブで マイクロフト
が中心となって設立されたと言われています。

(ところで、今回今更気が付いたのですが Diogeness Club -日本語ではディオゲネスクラブと表記していますが、
ホームズの発音は ”ダイオジェネス” なんですね)



ディオゲネスクラブ内の情景はBBC版の ”The Reichenbach Fall”のシーンと良く似ています。


2人が談話室に入ると窓際から外を見ていたマイクロフトがホームズを手招きし いきなり兄弟2人で窓から見える
外の人物像を推理し始めます。





如何にも この兄にしてこの弟ありって感じです。
ワトソンが呆れた様に固まって見ています。

マイクロフトの外観について正典にはこのように書かれています。
“Mycroft Holmes was a much larger and stouter man than Sherlock. His body was absolutely corpulent, but
face, though massive, had preserved something of the sharpness of expression which was so remarkable in
that of his brother”
- マイクロフト・ホームズはシャーロックよりもかなり背が高く恰幅が良い男だった。身体は完全に肥満体だった。
しかし顔は量感があったが 弟によって非常に際立っている鋭さを幾分残していた。-





又、初対面のワトソンに対して、
”I am glad to meet you, sir" said he, putting out a broad, fat hand like the flipper of a seal”
ー初めまして、と彼は言った。アザラシのヒレの様に大きな太った手を差し出しながらー
(この表現を見た時に、BBC版TABの巨大なマイクロフトの手が目に浮かびました。→ チョット過剰な程の肥満体
でしたけど、あの特殊メイクには驚きでした)。

変人振りは流石兄弟と思われるけど、お兄ちゃんの方が世慣れている風で愛想も良い感じ。


↑ BBC版TABのマイクロフトお兄ちゃん。 ”手”が・・・・



兎に角ワトソンの驚いたり、呆れたりの表情の変化を見るだけでも楽しくなります。
 

そんな時、ギリシャ人のメラス氏が訪れます。
(この”メラス氏”の名前もTABに引用されています)。

彼は英国でギリシャ語の通訳をしているのですが、二日前の夜突然男が訪れ急な仕事を依頼されたと言います。
ここからメラス氏の体験した奇妙な出来事を語り始めます。







・・・・to be continued です。




→ グラナダ版 『ギリシャ語通訳』 : (2)

『グラナダ版シャーロック・ホームズ』 : Index