知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

無効審判事件の訂正請求が確定していない場合の法104条の3第1項の判断

2011-01-11 21:51:54 | Weblog
事件番号 平成21(ワ)3409
事件名 特許権侵害差止等請求事件
裁判年月日 平成22年12月16日
裁判所名 東京地方裁判所
権利種別 特許権
訴訟類型 民事訴訟
裁判長裁判官 阿部正幸

1 第2の1「争いのない事実等」(7)に記載のとおり,被告方法は本件発明の技術的範囲に含まれると認められる(なお,この点については,当事者間に争いはない。)。

 被告は,第3「争点に関する当事者の主張」1ないし4の〔被告の主張〕に記載のとおり,本件発明は進歩性を欠き特許法29条2項に違反して特許されたものである(争点1-1),本件発明は先願発明と同一であり特許法29条の2に違反して特許されたものである(争点1-2),本件発明に係る本件明細書の記載は改正前特許法36条4項に違反するものである(争点1-3),並びに,本件発明に係る特許請求の範囲の記載は特許法36条6項1号に違反するものである(争点1-4)として,本件特許は特許無効審判により無効にされるべきものであると主張する

 ところで,本件特許については,その無効審判事件(無効2009-800082号)において,本件訂正の請求がされており,同訂正はいまだ確定していない状況にある。このような場合において,特許法104条の3第1項所定の「当該特許が特許無効審判により無効にされるべきものと認められるとき」とは,当該特許についての訂正審判請求又は訂正請求に係る訂正が将来認められ,訂正の効力が確定したときにおいても,当該特許が無効審判により無効とされるべきものと認められるか否かによって判断すべきものと解するのが相当である。

したがって,原告は,被告が,訂正前の特許請求の範囲の請求項について無効理由があると主張するのに対し,①当該請求項について訂正審判請求又は訂正請求をしたこと,②当該訂正が特許法126条又は134条の2所定の訂正要件を充たすこと,③当該訂正により,当該請求項について無効の抗弁で主張された無効理由が解消すること,④被告製品が訂正後の請求項の技術的範囲に属すること,を主張立証することができ,被告は,これに対し,訂正後の請求項に係る特許につき無効事由があることを主張立証することができるというべきである

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