知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

特許法195条2項(別表11)の規定の趣旨

2011-01-16 14:44:32 | Weblog
事件番号 平成22(行ケ)10208
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成22年12月28日
裁判所名 知的財産高等裁判所
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
裁判長裁判官 飯村敏明

 原告は,本願の請求項2は,請求項1に従属しない独立した請求項であるから,これを審理の対象外とする合理的な理由はなく,また,審判請求時に請求項の数に応じた審判請求料の納付を求める特許法195条の立法趣旨からみても,請求項2に係る発明に対する審理,判断をすべきであるのに,審決は本願の請求項1に係る発明に対してのみ審理判断をし,請求項2に係る発明に対する審理,判断を遺脱したから,誤りであると主張する

 しかし,原告の上記主張は,次のとおり,採用の限りでない。
 すなわち,拒絶査定を受けた出願人が,基本手数料額に,請求項数に一定額を乗じた額を加えた額の手数料を納付しなければ拒絶査定不服審判を受けることができないとの特許法195条2項(別表11)の規定は,特許がされる場合にはすべての請求項について審理判断がされることに対応するものであると解すべきである。同規定があるからといって,特許出願に係る発明中に特許をすることができないものがあるときに,その特許出願を全体として拒絶することについて,妨げとなるものではない(知的財産高等裁判所平成20年(行ケ)第10020号平成20年6月30日判決,最高裁判所平成19年(行ヒ)第318号平成20年7月10日第一小法廷判決・民集62巻7号1905頁参照)。

 本願の請求項1に係る発明が特許法29条2項の規定に該当して特許を受けることができないものであるときは,本願の請求項2に係る発明がたとえ独立の請求項であって特許性を有する場合であったとしても,その請求項2に係る発明について審理判断するまでもなく,本願は,全体として拒絶されるべきものといえる。

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