知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

本願発明の発明特定事項と明細書に記載の効果

2012-10-08 09:08:40 | 特許法29条2項
事件番号 平成23(行ケ)10335
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成24年09月12日
裁判所名 知的財産高等裁判所  
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
裁判長裁判官 部眞規子、裁判官 井上泰人、齋藤巌
特許法29条2項

イ 原告は,本願発明の特徴は,リアルタイムで「高品質」の画像形成を可能にするために,「解像度」と「フレーム・レート(リアルタイム)」と「感度」という互いに相反する3つのパラメータの間に適切なバランスを新たに提供するものであると主張する。

 本願発明は,本願明細書に記載されたとおり,「リアルタイム表示」すると同時に「画像の品質を最適化」,特に「高解像度化」することを目的とし,その目的を達成するために,本願発明の構成を採用し,特定したものである。
 しかしながら,本願発明の特許請求の範囲には,リアルタイムで「高品質」の画像形成を可能にするための「解像度」と「フレームレート(リアルタイム)」と「感度」の間の適切なバランスを特定することについても,リアルタイム性を表す「フレームレート」,画像の品質を表す「解像度」及び「サンプリング周波数」が具体的な高い値として得られることについても,何ら特定されてはいない。本願発明は,「数千本の光ファイバ」及び「リアルタイムで使用するに充分な毎秒画像数の取得に対応する速度」という発明特定事項を有するものの,上記発明特定事項だけからでは,従来実現していなかった,あるいは,従来知られていなかった,「解像度」と「フレーム・レート(リアルタイム)」と「感度」の組合せが実現できる発明が特定されているとはいえない

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