知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

訂正を認めなかった確定審決への再審請求

2008-04-13 20:15:58 | Weblog
事件番号 平成19(行ケ)10418
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成20年03月27日
裁判所名 知的財産高等裁判所
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
裁判長裁判官 三村量一

訂正審判請求の係属中に,当該特許を無効にする審決が確定した場合には,特許法123条1項7号に該当する場合を除き,特許権は初めから存在しなかったものとみなされ(特許法125条),もはや願書に添付した明細書又は図面を訂正する余地はなく,訂正審判の請求はその目的を失い,不適法となる特許法が126条において,特許が無効審決により無効とされた後は,訂正審判を請求することはできない旨を規定しているのは,この趣旨である。)。

 したがって,訂正審判の請求について,請求が成り立たない旨の審決があり,これに対して特許権者が提起した取消訴訟の係属中に,当該特許を無効にする審決が確定した場合には,特許権者は,当該取消訴訟において勝訴判決を得たとしても訂正審判の請求が認容されることはありえず,訂正審判の請求が成り立たないとした審決の取消しを求めるにつき,法律上の利益を有しないこととなる(最高裁昭和59年4月24日第3小法廷判決・民集38巻6号653頁参照)。

 この理は,訂正審判の請求が成り立たないとした審決がすでに確定している場合に,その取消しを求める再審の請求があった場合においても同様に妥当するというべきである

 これを本件について見るに,前記第2,1のとおり,特許法123条1項2号に該当するとして本件特許を無効にすべき旨の別件無効審判の審決が,平成16年4月22日に確定したことに伴い,本件特許権は,特許法125条本文により,初めから存在しなかったものとみなされるから,本件特許の願書に添付した明細書を訂正することを求める審判請求を成り立たないとした原審決について,別件無効審判の審決の確定により本件特許が無効にされた後に,その取消しを求めて請求された本件再審請求が,その利益を欠くものとして不適法であることは,明らかである。

 したがって,本件再審請求を不適法として却下した本件審決は,結論において相当である。』

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