知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

引用例に代わり周知例を提出する予備的主張を排斥した事例

2009-08-02 10:23:47 | Weblog
事件番号 平成20(行ケ)10338
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成21年07月29日
裁判所名 知的財産高等裁判所
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
裁判長裁判官 飯村敏明

ウ なお,被告は,仮に,引用例2(甲3)が,相違点2における「案内面の平面は案内体の軸心線と固定側型形成体又は可動側型形成体が,前記案内体から張り出す部分の重心を含む張出し面に概ね直交」する点を開示するものではないとしても,予備的に,プレス加工の技術分野においても,案内体の案内面が平面であって,その平面を,可動側型形成体が前記案内体からの張出し面に概ね直交させることは,周知であると主張し,乙4(周知例8),乙5(周知例9),乙6(周知例10)を提出する。
 しかし,被告の予備的主張は,以下のとおり採用できない。

 審決においては,本願発明と引用例発明1との相違点2に係る構成については,①引用例2発明には,「・・・」するとの技術事項が開示されているとした上で,②引用例1発明と引用例2発明を組み合わせることが容易である旨を理由中において述べているのみであって,他の引用例を示した上で,各引用例の組み合わせが容易であるか否かについて,理由を述べているわけではない。被告の予備的な主張について,本件取消訴訟の審理の対象とすることは,結果として,原告に対し,意見を述べる機会や補正をする機会を奪うことになり,妥当とはいえない。この点,乙4ないし乙6が,周知技術を示した文献であるという被告の主張を前提としたとしても,上記判断を左右するものとはいえない。

 したがって,被告の予備的主張は,採用の限りでない。

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