知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

組み合わせの可否の判断例

2007-05-20 12:09:08 | 特許法29条2項
事件番号 平成17(行ケ)10678
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成19年05月15日
裁判所名 知的財産高等裁判所
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
裁判長裁判官 塚原朋一

『原告は,甲第5号証発明と,レンジフードの分野における,「フード内の排気口の位置に,剛性で四角形板状の金属フィルタを着脱自在に設け,かつ,その金属フィルタの表面側に不織布からなるフィルタで覆う」本件特許出願前の周知慣用技術とは,発明の構成及び作用が大きく相違し,上記周知慣用技術を甲第5号証発明と関連付けることは困難であるから,「甲第5号証発明の『不織布からなるフィルタと,該フィルタの周縁部に設けられ,かつ上記周縁部を収縮可能な環状紐状体とを有するレンジフード用換気扇カバー』・・・でレンジフードのフード内の排気口に着脱自在に配置された金属フィルタを覆うようにすることは当業者であれば直ちに想到することができる。」とした審決の判断は誤りであると主張し,また,甲第5号証発明及び周知例によっては,不織布フィルタによって金属製フィルタを被包することまでは導き出すことができないと主張する。』

『審決の説示のとおり,甲第5号証発明のフィルタ(換気扇用カバー)を,「同じ目的で用いられかつ同じ繊維材料からなる」上記周知慣用技術に係るフィルタに替えて用いること(筆者注:周知技術のフィルタを用いること)は,当業者であれば直ちに想到することができるものというべきである。
・・・
周知慣用技術の金属製フィルタに甲第5号証発明のフィルタを取り付ける場合には,金属製フィルタが薄板状であることから,その裏面に,甲第5号証発明のフィルタの収縮紐状体を挿通した開口部を位置するようにしなければ取り付けることができないことは明らかである。そうすると,甲第5号証発明のフィルタを上記周知慣用技術に適用する場合に,フィルタによって金属製フィルタを被包することは,当業者が当然に想到することであるにすぎない。』


関連事件
事件番号 平成18(行ケ)10278
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成19年05月15日
裁判所名 知的財産高等裁判所
裁判長裁判官 塚原朋一

事件番号 平成17(ネ)10119
事件名 特許権侵害差止等請求控訴事件
裁判年月日 平成19年05月15日
裁判所名 知的財産高等裁判所
裁判長裁判官 塚原朋一

最新の画像もっと見る