知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

組合わせの動機付、適宜為し得る事項

2008-07-20 10:29:19 | 特許法29条2項
事件番号 平成19(行ケ)10432
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成20年07月17日
裁判所名 知的財産高等裁判所
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
裁判長裁判官 飯村敏明


(3) 相違点2に対する容易想到性の判断について
 上記(1),(2)で認定したところによると,引用発明1も引用発明2も一方の部材にラッチが設けられ,他方の部材にそのラッチと係合する係合部が設けられ,一方の部材と他方の部材とを係合する際に,係合部とラッチの傾斜面が衝接し,互いに擦れ合う構成である点で共通し,よって引用発明1の「ラッチ9」も,引用発明2の「セカンダリラッチレバー」と同じ問題点が生じているということができる。
 そうすると,引用発明1の「ラッチ9」に引用発明2の構成を適用して,引用発明1の「ラッチ9」にコ字状の合成樹脂よりなる樹脂カバーを被嵌して,その傾斜面を樹脂カバーで覆うようにすることは,当業者が容易になし得るものといえる。

 また,証拠(甲8,9,乙1)によれば,本願の出願時において,平板材に貫通孔を設け,貫通孔にて樹脂被覆材の平板材を挟む一対の平行な部分を一対に連絡して固着することは周知の技術であったものと認められる。
 そして,前記(1)で認定した刊行物2の記載によると,引用発明2の「被嵌される樹脂カバー」は,1対の係合孔52が穿設され,樹脂カバーの係合突起を係合孔に係合させて装着しているものといえる。そうすると,当該樹脂カバーを上記周知技術を用いて固着するように構成するか,引用発明2のように取り外し可能であって通常の作動時に外れることがないように構成するかは当業者が必要に応じて適宜選択し得る程度のことであるというべきである。

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