知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

一の請求項にかかる発明を特許できない場合、特許出願全体を拒絶査定することの適法性

2012-11-11 21:52:49 | 特許法29条2項
事件番号 平成24(行ケ)10248
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成24年10月31日
裁判所名 知的財産高等裁判所  
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
裁判長裁判官 塩月秀平、裁判官 池下朗,古谷健二郎

 原告は,請求項1に係る本願発明につき特許法29条2項の規定により特許を受けることができないとした審決の判断については争っておらず,審決が,その他の請求項に係る発明について検討することなく出願全体を拒絶した点について,請求項3~10に係る発明が進歩性を有することを理由として取り消されるべきであると主張する。

 しかしながら,特許法は,一つの特許出願に対し,一つの行政処分としての特許査定又は特許審決がされ,これに基づいて一つの特許が付与されるという基本構造を前提としており,複数の請求項に係る特許出願であっても,特許出願の分割をしない限り,その特許出願全体を一体不可分のものとして特許査定又は拒絶査定をするほかない。したがって,一部の請求項に係る発明について特許をすることができない事由がある場合には,他の請求項に係る発明についての判断いかんにかかわらず,特許出願全体について拒絶査定をすべきことになる。

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