知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

均等論第2要件の判断事例

2012-10-17 22:28:12 | 特許法その他
事件番号 平成24(ネ)10035
事件名 特許権侵害差止等請求控訴事件
裁判年月日 平成24年09月26日
裁判所名 知的財産高等裁判所  
権利種別 特許権
訴訟類型 民事訴訟
裁判長裁判官 部眞規子、裁判官 井上泰人、齋藤巌

イ 第2要件
 前記のとおり,本件発明1は,従来方法では,各視線上に位置するボクセル毎の色度及び不透明度を互いに積算する演算過程の高速化を図るために,一部のボクセルに関するデータを間引いて演算を行っていたため,可視化した画像において,生体組織間の微妙な色感や不透明感を表現することができなかったことに鑑みて発明されたものである。本件発明1は,・・・「全ての前記平面座標点毎の色度および不透明度を該視線毎に互いに積算する」ことにより,・・・,生体組織間の微妙な色感や不透明感を表現しつつ,相異なる生体組織を明確に区別することが可能な可視画像を生成し得る医療用可視画像の生成方法を提供することを目的とするものである。

 これに対し,被告方法においては,・・・積算処理は・・・閾値に達した時点で打ち切られるため,生体組織間の微妙な色感や不透明感を表現する観点からは,画質に対して悪い影響を与えるものである。被告方法による可視画像の生成は,本件発明1の方法によるほど生体組織を明確に区別するという作用効果を奏するものとはいえないものと解される。

 したがって,被告方法は,本件発明1の目的を達し,同一の作用効果を奏するとまではいえないものであるから,均等の第2要件を欠くものである。

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