知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

周知事項認定の根拠の記載

2008-09-21 15:54:07 | 特許法29条2項
事件番号 平成19(行ケ)10340
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成20年09月16日
裁判所名 知的財産高等裁判所
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
裁判長裁判官 飯村敏明

1 取消事由2(相違点2の容易想到性判断の誤り)について
 原告は,審決には,甲10ないし甲12のうち具体的にどの記載に基づいて周知事項を認定したか明示していない点において理由不備があり,また,・・・旨を主張する。
しかし,原告の上記主張は,以下のとおり,理由がない。

・・・

(4) 周知技術の認定及び容易想到性の誤りについて
 以上のとおり,甲10ないし甲12には,いずれも「1組の決定論的テストパターンを生成するように前記テストパターンを与える手段を構成する手段」を「回路」内に設ける技術が開示されている。
 原告は,審決には,甲10ないし甲12のうち具体的にどの記載に基づいて,上記の周知事項を認定したかを明らかにしていない理由不備の違法があると主張する

 しかし,原告の上記主張は,理由がない。すなわち,審決は,
「『・・・』する手段を用いること,および,『・・・』を回路に設けることは,優先日前に頒布された刊行物である特開平11-174126号公報(特に,段落【0015】~【0017】および図1における,『アドレスカウンタ119』と『補助パターン記憶メモリ116』とからなる構成,および「セレクタ108」についてそれぞれ参照)(判決注甲10),・・・, pages 1188-1200(判決注甲11),および・・・, PAGE(S) 426-433(判決注甲12) に示されているとおり周知のことであり,」
と記載して,周知事項の根拠を説示している(審決書11頁5行目以下)。

 そして,甲11及び甲12については,論文集の一部を特定,抜粋することにより,説示したものであるが,前記(3),(4)で検討したとおり,特定抜粋部分は,図面を含み,全体の論旨を明確に示したものであること,特定抜粋部分の分量も,それぞれ13頁,8頁であって,出願人に大して過大な検討を強いるものではないこと,甲10の具体的な説示部分と相まって,審決の指摘した趣旨が十分に把握できるものであること等に照らすならば,審決における周知事項の説示が不明確であるとの原告の主張は理由がない



最新の画像もっと見る