知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

阻害要因が認められなかった事例-本願発明の目的と直接関係のない事項、周知技術で適宜なし得ること

2012-07-22 21:53:57 | 特許法29条2項
事件番号 平成23(行ケ)10380
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成24年07月18日
裁判所名 知的財産高等裁判所  
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
裁判長裁判官 塩月秀平
特許法29条2項 阻害要因

 そうすると,ワイヤレスによる通信・情報交換が周知技術であることからすれば,引用発明におけるケーブルによる電気的接続をワイヤレス接続に置き換えることは,当業者にとって容易想到というべきである。

 原告は,ワイヤレス接続ではロボット主要部に電源を供給することができないから,引用発明においてワイヤレス接続を採用することは不可能であり,阻害事由がある旨主張するが,ゲーム機本体からロボット主要部に電源を供給することは,引用例に記載された発明が達成しようとした目的と直接の関係はない。そして,玩具体への電源供給を電池などにより行うことは周知技術にすぎないものであり,電源供給をゲーム機から行わなくとも玩具体を動作可能とすることは,当業者が適宜なし得ることにすぎない
 よって,引用発明においてワイヤレス接続を適用することへの阻害事由があるとの原告の上記主張は採用することができない。

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