知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

設計事項とされた事例と顕著な効果の検討例

2008-06-29 11:17:36 | 特許法29条2項
事件番号 平成19(行ケ)10313
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成20年06月24日
裁判所名 知的財産高等裁判所
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
裁判長裁判官 飯村敏明

『本願発明の係止手段と引用発明1のリングとを比較すると,その方法及び機能において相違はない。すなわち,本願発明の一体型の固定手段も引用発明1の挿着による固定手段も共に,係止手段及びリングを前進及び後退移動させる点において共通しており,また,これら一体化手段及び装着手段の固定手段は,当業者が普通に採用している技術であるから,どちらを採用するかは,当業者が適宜決定する設計的事項であるといえる
 
(3) 本願発明の顕著な作用効果について
 原告は,本願発明には,①製造コストの削減,②自己破壊の効果を備えることによる再使用を不能とする点において,引用発明にはない顕著な作用効果を奏すると主張する

 しかし,原告の主張は,以下のとおり採用できない。すなわち,①製造コストの削減は,胴部及びプランジャを射出成形によりプラスチック材料から形成した場合に実現できるというにすぎないし,本願発明の注射器をプラスチックにより構成することは,特許請求の範囲に記載されていないこと,
本願発明にはプランジャが自己破壊するような接続ロッドを有することに限定されていないことから,原告の上記主張はいずれも特許請求の範囲に基づくものではなく,失当である。』

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