徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

きょうも隣に山頭火

2021-10-02 21:49:59 | 音楽芸能
 今日は、民謡三味線の本條秀美さんにチケットを手配いただいた創作劇「きょうも隣に山頭火」を市民会館へ見に行った。本條秀美さんのご実家は、山頭火が一時、堂守を務めた味取観音瑞泉寺というゆかりの方。
 創作劇に先立ち、作家の五木寛之さんが「放浪と定住」というテーマで講演された。内容は山頭火にこと寄せた文化論とでもいうべきものだった。人間には本来、放浪と定住という二面性があり、妻子を顧みず放浪を続けた山頭火をしょうがない男と断じるのではなく、温かい目で見ておられるようだ。また、今日のコロナ禍のもとで「不要不急」のものが切り捨てられる風潮に対し、音楽や演劇や文芸やスポーツなどは、人間にとって大事なこころの栄養である。過酷なシベリア抑留を生き延びた人は体が頑健に見える人より厳しい環境の中でも俳句や詩などをたしなんだ人が多かったという興味深い話も披露された。
 さて、肝心の創作劇だが、山頭火死して11年後の昭和26年当時、熊本で暮らす妻のサキノさんの回想という構成になっている。全編音楽で紡がれており、音楽劇といった方がいいかもしれない。主役の山頭火は俳優の浜畑賢吉さんと声楽家の春日保人さんの二人で演じられる。舞台劇は長いとどうしても中だるみになりがちだが、次々に音楽がナマで演奏されるのであきるところがない。浜畑賢吉さんは5年前に夏目漱石を演じられた舞台を見たが、今回の山頭火の方がハマっていたように見えた。個人的には福島竹峰さんの唄と三味線で「東雲節」「きんきらきん」「桑名の殿さん」などが聴けたことや高濱流光華々さんの踊りが見られたことが嬉しかった。



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2 コメント

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Unknown (小父さんK)
2021-10-03 17:37:06
なんとも羨まし過ぎます。
これ神戸あたりでやりませんかね。

私書いたことありませんでしたか?
自由律俳句(非定型俳句、自由詩)の句会に明石市からノコノコ、西宮市と京都に月1回通っていたことがあるんです。

句を詠むのは、ない頭をヒーヒー働かせて、句会で提出し、会の間は緊張しまくってクタクタになっていましたが、終わったら居酒屋でワイワイ雑談をするのですが、その時間がとても楽しかったんです。

どちらの主宰も種田山頭火や尾崎放哉のような雰囲気を持っていた方で魅力的でした。

ところが、お二方とも亡くなり会の魅力も減って辞めてしまいました。
第一、京都までの遠いこと、時間もさることながら、交通費に居酒屋の割り勘とほろ酔い加減で土産を買ってしまうと、1回1万円は年金生活者には大きいです(笑)

だらだら書きましたが、山頭火の句はたくさん転載させてもらっています。
      ↓
https://blog.goo.ne.jp/goo221947/s/%E9%85%92%E3%81%A8%E5%B1%B1%E9%A0%AD%E7%81%AB

ぼんやりした記憶ですが、山頭火が妻子をほったらかした住まいは熊本でしたでしょうか?

五木寛之さんの山頭火論なんて、聞きたいですね~。五木さんの本は数冊よみましたが、テレビで人生観なんか語っているのもとても魅力を感じていました。

私のブログネタでまた山頭火を引用しようかと今思いました(笑)

いやー、こちらのブログでそんな話題に出会えるなんて嬉しいです。

有難うございました。
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Re:小父さんK 様 (FUSA)
2021-10-03 22:31:58
今回の評価次第では他都市での公演も検討されるかもしれませんね。

自由律俳句の句会の話はお聞きした覚えがあります。

句会でさんざん頭を使った後の一杯はさぞや美味しかったことでしょう。

お二人とも亡くなったんですか!残念ですね。

山頭火自身は熊本に友人がいたのですが、奥さんは防府から何のゆかりもない熊本へ連れて来られて、当の本人は商売をほったらかしてどこかへ出かけてしまうし、奥さんは辛かったと思いますよ。
形の上では離婚させられたわけですが、息子の健さんと一緒にずっと帰りを待っていたわけです。

五木さんはまるで湧水のごとく話が湧き出てくるといった感じですね。山頭火のことばかり話しているわけではありませんが、よく聴いているとちゃんと山頭火のところに着地するんですね。さすがです。(^^♪
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