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徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

1970年8月29日 東京・国立競技場

2014-01-06 12:27:25 | スポーツ一般
 その夜、東京・国立競技場を埋め尽くした大観衆の視線は一人のサッカー選手に注がれていた。大阪万博に合わせて来日したポルトガルの強豪プロサッカークラブ、ベンフィカ・リスボンのエースストライカー、エウゼビオ(当時はオイセビオと表記)選手だった。この夜はベンフィカ・リスボンと日本代表との第2戦、東京には初お目見えとあって、世界のスーパースターを見んものと大観衆が国立に押し掛けた。僕もこのゲームは見逃すわけにはいかないと、当時、在勤中だった横浜から出かけて来た。
 僕が、というよりほとんどの観客がそうだと思うが、この「モザンビークの黒豹」と呼ばれたエウゼビオに注目したのは、その4年前、イングランドで行われたワールドカップ1966におけるエウゼビオの活躍が鮮烈な印象を残したからだ。サッカーの母国イングランドが地元開催で初優勝したこの大会で、エウゼビオを擁したポルトガルは3位の好成績を残したが、何といってもこの大会の最大のスターは大会通算9得点で得点王になったエウゼビオだった。
 そしてこの夜、エウゼビオはその実力をいかんなく発揮、2年前のメキシコ五輪で銅メダルを獲った日本代表を4対1と圧倒した。その4点すべてがエウゼビオが叩きだしたものだった。とんでもない怪物の大暴れに最初は日本代表の反撃を期待していた大観衆も、そのうちこの怪物がいったい何点取るだろうという期待感に変わっていったのを憶えている。
 エウゼビオの訃報に接し、今夜は、まさに精悍な黒豹のごとき在りし日の勇姿を偲びたい。合掌


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