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僕らの年配にとって、島崎藤村の詩「初恋」と川端康成の短編小説「伊豆の踊子」というのは青春の通過点であり、多かれ少なかれ、初めて読んだときの甘酸っぱいセンチメンタルな想い出が残っているのではないだろうか。僕は今でもたまに「伊豆の踊子」を読むことがあるが、いまだに僕の心をとらえてはなさない。僕が今、子ども舞踊団「ザ・わらべ」に強く魅かれるのは、そんな「伊豆の踊子」に対する強い憧れ、つまり「伊豆の踊子コンプレックス」とでもいうべきものから来ているのではないかと思うようになった。また、「伊豆の踊子」はこれまで6回映画化されているが、最初の戦前の作品以外は全部観ている。それぞれ少しずつ異なるキャラクターで、どの薫も甲乙つけがたいが、僕の好みから言えば、やっぱり内藤洋子かな。はたして今後7作目というのはあるのだろうか。
恋の花咲く 伊豆の踊子(1933、松竹、五所平之助監督、田中絹代・大日方傳)
伊豆の踊子(1954、松竹、野村芳太郎監督、美空ひばり・石濱朗)
伊豆の踊子(1960、松竹、川頭義郎監督、鰐淵晴子・津川雅彦)
伊豆の踊子(1963、日活、西河克己監督、吉永小百合・高橋英樹)
伊豆の踊子(1967、東宝、恩地日出夫監督、内藤洋子・黒沢年男)
伊豆の踊子(1974、東宝、西河克己監督、山口百恵・三浦友和)
最近、上林暁(旧制五高在学中、上林に下宿していたのでこの名前だそうです)の「天草土産」という本を読む機会がありました。あらすじはまったく異なるのですが、両方とも海辺が舞台であるため、何となく「伊豆の踊子」を思い出してしまいました。
「天草土産」というより、上林暁を読んだことがありません。ぜひ読んでみたいと思います。
上林暁についてネットで調べてみましたら、名前の「暁」の方は、「上林の下宿の便所の窓から見えた金峰山の暁にちなんで・・・」とありましたが、金峰山は西側なのに変ですよね(笑)