徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

伊勢へ七度 熊野へ三度・・・

2021-06-12 21:47:27 | 伝統芸能
 再びロケができなくなった今夜のブラタモリは、5年前に放送された伊勢編2本を編集したスペシャル編。毎年800万人がお伊勢参りに訪れるそうだが、江戸時代でさえ多い年は400万人(人口の6分の1)が訪れたという。
 そのお伊勢参りで「荷物にならない伊勢土産」 として全国に普及したのが伊勢音頭。伊勢音頭というのは神宮を中心とした伊勢地方でうたわれた音頭類の総称(濱千代早由美著「民謡とメディア」より)だという。
 伊勢音頭と称する多様な歌の歌詞の中でよく知られている一つが
 「伊勢へ七度(ななたび)熊野へ三度(さんど)愛宕様(あたごさま)へは月参り」
という歌詞。もともと俗謡で謡われていたものが、伊勢音頭の中に取り込まれたものと思われる。「東海道中膝栗毛」などにも登場するし、出雲阿国が慶長8年(1603)に始めたという「かぶき踊」の代表的な演目として有名な「茶屋遊び」の歌詞にも
 「茶屋のおかかに末代添はば 伊勢へ七度 熊野へ十三度 愛宕様へは月参り」という歌詞がある。
 伊勢神宮と熊野三山の関係はわかるが、江戸の愛宕神社がとってつけたような印象。これは江戸からのお伊勢参りが多かったことと関係があるのかもしれない。

 かつて僕が住んでいた近江の多賀大社辺りでは
 「伊勢にゃ七度、熊野へ三度、お多賀さまへは月まいり」と唄われ、さらに
 「お伊勢参らばお多賀へ参れ お伊勢お多賀の子でござる」と続く。天照大神はイザナギ・イザナミの子であるというわけだ。
 「世界の民謡・童謡」に紹介いただいている下の動画「伊勢音頭」の中ではこの歌詞は演奏時間の制約もあって使われていない。


歌川広重「伊勢参宮 宮川の渡し」