毎年5月に行われるアメリカ競馬ビッグレースの一つ、ケンタッキー・ダービーの映像を見た。このレースの出走馬の本馬場入場の際の習わしとなっている「ケンタッキーの我が家(My Old Kentucky Home)」を観客全員で歌う光景は感動的だ。この歌はケンタッキー州歌にもなっているらしいが、日本人でも誰もが知っているスティーブン・フォスター作曲の歌だ。その他にも、おおスザンナ、草競馬、故郷の人々、金髪のジェニー、オールド・ブラック・ジョー等々、フォスター作曲の歌を歌ったことがない人はいないかもしれない。
山本周五郎の代表作ともいわれる「虚空遍歴」は、武士の身分を捨て端唄で人気を得た中藤冲也が、浄瑠璃作家として成功しようと苦闘しついに客死した半生を描いた作品。実はこの人物のモチーフとなっているのがスティーブン・フォスターだという。フォスターがどんな一生を送ったのか残念ながら知らないが、中藤沖也の生きざまと共通するものがあるのだろう。
この山本周五郎の「虚空遍歴」に着想を得て、朗読と邦楽が融合した舞台「松廼家おけい」を作り上げたのが三味線音楽の大御所・本條秀太郎さん。沖也を献身的に支えた柳橋松廼家の芸妓おけいを中心に物語が語られていく。沖也のあてどもない浄瑠璃行脚の旅の中に、山中温泉の場面がある。本條秀太郎さんは、自らが50年ほど前に創作された俚奏楽「雪の山中」と、この「虚空遍歴」の世界観に共通するものを感じとり、それがこの舞台の動機になったそうだ。(※第1回公演は2009年)
僕は山本周五郎の「虚空遍歴」は読んだが、舞台「松廼家おけい」は見たことがない。機会があればぜひ見てみたいものだ。
なお、主人公の中藤沖也という名前は詩人の中原中也を連想させるが、山本周五郎もそういう意識があったようだ。
それにしても、フォスターの「ケンタッキーの我が家」と俚奏楽「雪の山中」がつながるなどと考えたこともなかった。
山本周五郎の代表作ともいわれる「虚空遍歴」は、武士の身分を捨て端唄で人気を得た中藤冲也が、浄瑠璃作家として成功しようと苦闘しついに客死した半生を描いた作品。実はこの人物のモチーフとなっているのがスティーブン・フォスターだという。フォスターがどんな一生を送ったのか残念ながら知らないが、中藤沖也の生きざまと共通するものがあるのだろう。
この山本周五郎の「虚空遍歴」に着想を得て、朗読と邦楽が融合した舞台「松廼家おけい」を作り上げたのが三味線音楽の大御所・本條秀太郎さん。沖也を献身的に支えた柳橋松廼家の芸妓おけいを中心に物語が語られていく。沖也のあてどもない浄瑠璃行脚の旅の中に、山中温泉の場面がある。本條秀太郎さんは、自らが50年ほど前に創作された俚奏楽「雪の山中」と、この「虚空遍歴」の世界観に共通するものを感じとり、それがこの舞台の動機になったそうだ。(※第1回公演は2009年)
僕は山本周五郎の「虚空遍歴」は読んだが、舞台「松廼家おけい」は見たことがない。機会があればぜひ見てみたいものだ。
なお、主人公の中藤沖也という名前は詩人の中原中也を連想させるが、山本周五郎もそういう意識があったようだ。
それにしても、フォスターの「ケンタッキーの我が家」と俚奏楽「雪の山中」がつながるなどと考えたこともなかった。
My Old Kentucky Home - Stephen Foster
本條秀太郎作曲 俚奏楽「雪の山中」
本條秀太郎作曲 俚奏楽「雪の山中」