徒然なか話

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肥後の山岳信仰 ~阿蘇山と池辺寺~

2018-07-17 17:53:53 | 歴史

 今日から肥後銀行本店の「肥後の里山ギャラリー」で始まった「肥後の山岳信仰 ~阿蘇山と池辺寺~」展を見に行った。すぐ傍のRKK熊本放送の取材なのか、アナウンサーの二人だけしか入場者はいなかったので、山伏姿の西巌殿寺(阿蘇市黒川)のご住職・鷲岡嶺照さんにいろいろとご説明いただいた。西巌殿寺は、奈良時代前期の726年に最栄読師が阿蘇山火口の洞窟に開いた西巌殿(にしのいわやのとの)が起こりとされる。
 草千里の少し上、一時人工スキー場があった辺りは現在、のどかな草原が広がっているが、かつてこの一帯は「古坊中(ふるぼうちゅう)」と呼ばれ、400年以上前は、修行僧や修験者のための三十六坊五十二庵が展開する一大山岳寺院だったという。中世の戦乱で衰亡したが、1600年に加藤清正が「麓坊中(ふもとぼうちゅう)」(阿蘇市黒川)で三十六坊五十二庵を再興した。しかし、明治時代に入り、廃仏毀釈によってほとんどの建物が廃された。今でも古坊中の草原の下、2㍍ほど掘れば遺跡が出て来るのだという。「阿蘇山三十六坊絵図」を眺めながら、現在の阿蘇の姿とは全く違うかつての山岳寺院の風景に思いを馳せた。展示されている山上本堂の仏像、十一面観音立像の存在感には圧倒される。
※十一面観音は健磐龍命(たけいわたつのみこと)の本地仏



 池辺寺は、4年前に行われた現地見学会に参加したが、数々の寺宝や縁起絵巻などを見るのは初めて。現地もだいぶ整備が進んでいるようなので、近いうちに再度見学に行きたいと思う。