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徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

松のはなし。

2014-03-09 20:08:15 | 音楽芸能
 今日では、近場に松の木を見かけなくなった。僕らが子供の頃はよく松ぼっくりを拾ったり、松ヤニが手にくっついて往生したりしたものだが、近年、松ぼっくりが落ちているのさえ見たことがない。わが家の近くに九州森林管理局があるので電話して聞いてみたが、やはり昭和30年代から40年代にかけて、輸入丸太に寄生する松クイ虫による松枯れ病によって、多くが枯死してしまったらしい。今でも有明海沿岸まで行けば、ところどころにクロマツの林が残っていたり、藤崎八旛宮の参道などでかろうじて見ることが出来るが、アカマツとなると熊本市内では立田山あたりの実験林とか監物台樹木園に行かなければ見ることはできない。
 松と言えば常緑樹であることから不老長寿の象徴として、いにしえより、謡曲、筝曲、地歌、長唄、端唄などに寿ぎの歌の題材とされてきた。世阿弥の能「高砂」などが代表的で、「高砂の松」と「住之江の松」の精の老夫婦が「相生の松」として登場する。結婚式でおなじみの「高砂や この浦舟に 帆を上げて・・・」という有名な謡曲はこの能の中で唄われる。ちなみにワキとして登場するのは熊本・阿蘇神社の神主、阿蘇友成。熊本にもゆかりのある能の一つなのである。


アカマツ(監物台樹木園)




今年より 千度迎ふる 春ごとに
なほも深めに 松の緑か 禿の名ある
双葉の色に 大夫の風の 吹き通ふ
世々の誠と裏表
比べごしなる 筒井筒
振分け髪も いつしかに
老となる迄 末廣を
開き初めたる 名こそ祝せめ