虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

特撮の変遷

2006年10月06日 | 日記・雑記
 東映不思議シリーズなどと共に見ることができましたのが「怪傑ライオン丸」「風雲ライオン丸」「タイガーセブン」の動物ヒーロー(と言っていいのかな)もの。
 古いビデオで「ジャガーの眼」というのを見たことがあったが、それより年代はずっと新しいよう。でも、変身後は動物の頭になるというのは共通で、それがどうしたって「かぶりもの」にしか見えないのでどうもへんてこりんな感じがする。
 これはスターウォーズ以後のめざましきクリーチャー創造技術の進歩のせいでとんでもないものが普通に動いているのを見慣れてしまって素朴な着ぐるみを忘れてしまったのかもしれません。教育テレビで着ぐるみが動き回っているのはぜんぜん普通に見られるのですが…

 それと「怪奇大作戦」という円谷プロの作品。
 変身ヒーローなしの、不思議を科学で解決していこうというコンセプトの番組のようです。また、ひとつひとつのエピソードが物悲しい色調を帯びています。
 先輩のお一人が、「日本版ミステリーゾーン」という言い方をしていました。私は「ミステリー・ゾーン」というアメリカのテレビドラマ自体を知らず、ただいま調査中

 どちらも、ヒーロー、特撮の番組の変遷を時系列で追って考えたくなりました。

フラガール(2006/日本)

2006年10月04日 | 映画感想は行
監督: 李相日
出演: 松雪泰子   平山まどか
   豊川悦司    谷川洋二朗
   蒼井優   谷川紀美子
   山崎静代    熊野小百合
   岸部一徳    吉本紀夫
   富司純子    谷川千代

 昭和40年石炭産業は瀕死の状態。炭鉱依存から脱却する起死回生のプロジェクトとして豊富な温泉を利用したレジャー施設“常磐ハワイアンセンター”が計画された。目玉となるフラダンスショーのダンサー募集が地元の少女たちに対して行われた、早苗は紀美子を誘って説明会へと向かう。説明会では、セクシーな衣装で踊る姿に、大半の応募者が逃げ出し、残ったのは紀美子と早苗の他には初子と小百合のわずか4人だけだった。そして、元SKD(松竹歌劇団)のダンサー平山まどかがフラダンスの教師として東京からやってくる。

 笑って泣いて、爽快な気分で映画館を出られる上出来な映画でした。
 ダンスシーンは素晴らしかった。松雪泰子も蒼井優も「GOOD JOB!」でした。
 コメディと言う面では、かなりコテコテ、時々あざとく感じる様なシーンもあります。
 これは素材の料理の仕方がうまかったと思います。フラダンスの女の子とその先生になる女性に焦点を絞って、プロジェクトを進める側は世話係みたいなぱっとしないオジサン一人で、あまり偉い人は出てこないし、「プロジェクトX」みたいに「どうだ!」てなところも無い。
 予定調和のハッピーエンドには思えてしまいますが、それが気持ちいいのです。

 炭鉱とは一種特別な職場だったのかもしれません。「リトル・ダンサー」「遠い空の向こうに」の英米の映画も、時代に追い詰められた炭鉱町の固まった意識から飛び立とうとする若いものの話。職場の仲間=私生活も一緒、命の危険があるから結束も固い、自分たちの仕事が文明を支えているという自負と誇りもある…だから葛藤も大きいのでしょう。

 松雪泰子が良かった。あの顔立ちや細さがいかにも都会人で、ダンスもたいしたものです。いざ踊りというシーンのピンと背筋の伸びた姿勢やしぐさの優雅さと、いささかヤサグレ風のその他の場所のシーンの対比も、切れたときの突進振りも楽しかった。女の子たちはもちろんあの時代にしては背が高すぎとかかわいすぎとかは映画なので仕方ないです。
 セリフの数を抑えた演出で、それもまた気持ちの良い点でした。

 ところで私は常磐ハワイアンセンターもスパリゾートハワイアンズも一度も行ったことがありません。お風呂にすぐのぼせて温泉とかがダメな日本人の風上にも置けない人間です。常磐ハワイに関しては山口瞳のエッセイが記憶にあるくらいです。探したら見つかるだろうか? 映画の途中で出た新聞記事が「炭鉱娘」が強調されていて、一種揶揄を感じてしまったが、その時の論調はどんなものだったのだろう。

メル・ブルックス/珍説世界史PART I(1981)

2006年10月03日 | 映画感想ま行
MEL BROOKS' HISTORY OF THE WORLD PART I
監督: メル・ブルックス
出演: メル・ブルックス
     ドム・デルイーズ
    マデリーン・カーン
    グレゴリー・ハインズ

 原始時代から、フランス革命まで人類の歴史のエピソードをメル・ブルックス流オムニバスで。

 この映画をはじめてみたときに反射的に素直に笑えたのは実は
・冒頭の「2001年宇宙の旅」のパロディシーン
・夕食会のアタマのお盆
・氷上のヒトラー
・宇宙のユダヤ人
だけ。しかも、あとの2つは存在しない続編の予告編と言うつくりですが、いかにもブルックスで、宇宙船の形には思わず爆笑してました。

 メル・ブルックスのコメディは「プロデューサーズ」「ヤング・フランケンシュタイン」が傑作で、それから「ブレージング・サドル」などが並ぶのでしょうが、コテコテ・ベタベタ笑いの余り評価高くない作品のなかでも、この映画と「新サイコ」「スペース・ボール」はどうしようもなく好き。
 
 定番のユダヤ人ネタが大テーマの一つ。こればっかりは欧米社会について知識を入れば入るほど、理解もできるけど毒も深く感じるようになります。それをしつこくしつこくやってるブルックス監督は本気ですごいと思う。
 マデリーン・カーンは出番もそう多くはないけど、いつものような役をきっちりとこなしてます。やっぱり下半身で男の品定めをする下品な役も、彼女は「こういう地位はそういうもの」とばかりに決めてしまうのが素敵だ。「イエース、ノー、ノ、ノ、ノ、ノ、イエース、ノー!」の転がるような高くて美しい声は素晴らしい。
 せっかくのグレゴリー・ハインズがタップをチラッとだけなのは残念。レビューとはいえ中世のシーンでは彼の出演は無理かな?

かもめ食堂(2005/日本)

2006年10月01日 | 映画感想か行
ROUKALA LOKKI
監督: 荻上直子
出演: 小林聡美    サチエ
   片桐はいり    ミドリ
   もたいまさこ   マサコ
   ヤルッコ・ニエミ
   タリア・マルクス
   マルック・ペルトラ    マッティ

 フィンランドのヘルシンキに“かもめ食堂”という小さな食堂をオープンした日本人女性サチエ。しかし、お客は日本のアニメが好きなおたく青年だけ。それでも営業を続けるサチエ。そしてオタク青年にたずねられた「ガッチャマン」の歌詞を教えてくれた旅行中の日本女性を家に泊めることになる。

 フィンランドというと、私の脳裏に浮かぶのは「ムーミン」と「アキ・カウリスマキ」「ミカ・ハッキネン」 それにシャーロット・マクラウドの小説中の「フィンランド語は難しいのでフィンランド人は寡黙」という冗談だけです。
 アキ・カウリスマキは大好きなので、マルック・ペルトラが出てきた時には、思わず歓声!名前もマッティなんて、素敵!
 それはさておき、「バーバー吉野」の荻上監督で、全体の雰囲気やタッチは同じように感じました。穏やかで想定内の展開で登場人物の味方したくなる…という。
 フィンランドという遠い国へきてしまった3人の日本女性が、それぞれに事情背負っていることは直接にも言外にも語られ、異国の地での今の安定が永遠のものではないことをわかった上で、現在をいとおしんで生きるというのはちょっといいな、と思わせられる。やっぱり「世界の終わりの時に約束がある」って、ひとつの安心だと思う。
 レストランで出てくる料理が、サチエが「日本人のソウルフード」というおにぎりはじめとして、とんかつ・鮭の焼いたの・家庭のオムレツ・肉じゃがみたいなのと、ほとんどが日本の家庭料理でそれが料理の手際も含めてとってもとっても美味しそうに映っていました。ものを食べるシーンが気持ちよくて、「体と心を養う」という食べるということの意味をしみじみ考えてしまう。
 欲を言えばフィンランドの美しい自然をもっともっと見せて欲しかったです。

 マルック・ペルトラは、「過去のない男」でも寿司を食べていたから、おにぎり食べるのは大丈夫だったのでしょうか?梅干はきついと思うけど、鮭なら大丈夫かな?