虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

エド・ウッド(1994/アメリカ)

2006年10月24日 | 映画感想あ行
ED WOOD
監督: ティム・バートン
出演: ジョニー・デップ
   マーティン・ランドー
   サラ・ジェシカ・パーカー
   ビル・マーレイ

 実在の映画監督で、“史上最低の監督”という名を贈られた通称エド・ウッドの伝記的物語。

 この映画は定期的に見たくなるけど、主役のジョニー・デップを見たくてではありませんで、やはりベラ・ルゴシ(マーティン・ランドーではなく)を見たくなります。泣けます。当たり役が当たりすぎてしまったためにそのイメージから抜け出せなくなった俳優の悲劇とかつての栄光の煌き、老残の哀れとなおも残る威厳…病院退院後のシーンは本当に泣けます。ノスフェラトウ的醜悪な怪物を魅惑的で高貴で恐ろしい吸血鬼にまるで変えてしまった役者です。エド・ウッドのとんでもないセンスもわかっていたでしょうに、ウッドがルゴシに捧げる尊崇の真実も分かっていました。そのためにこの間ローハイドでマーティン・ランドーの若き日のお姿を見たときには感動してしまったが、いやこの人はベラ・ルゴシとは違ってこの歳にしてオスカーです。

 それにしても、情熱とセンスの見事にアンバランスな人っているのですね。でもエド・ウッドに関してはあれだけの数の映画をつくっているのですから、まあセンスは無いにしても、あのレベルの映画をつくっておいてなおも新しい映画に他人を巻き込む、説得してしまう情熱の強烈さ、もしくは催眠術に掛けてしまう人間的魔力は推して知るべしです。
 私は映画を見たいだけの人なのだが、作りたい人にとっては、エド・ウッドの「俺が作ってやる!」意欲には、身につまされるものがあるでしょうね。