虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

ニュー・ワールド(2005/アメリカ)

2006年10月26日 | 映画感想な行
THE NEW WORLD
監督: テレンス・マリック
出演: コリン・ファレル     ジョン・スミス
    クオリアンカ・キルヒャー    ポカホンタス
    クリストファー・プラマー    ニュー・ポート船長
    クリスチャン・ベイル    ジョン・ロルフ
    オーガスト・シェレンバーグ    ポウハタン

 1607年、イギリスの船が、北アメリカに辿り着く。食料も無く、命の瀬戸際の彼らは一部が残り、一部はイギリスへ救助を求めに帰る。ジョン・スミスが先住民との交渉に赴くが捕えられ、処刑されそうになった時、王の末娘ポカホンタスが命乞いをし、彼は救われる。そしてアメリカの大地で二人は愛し合うようになるが…

 チラシのコピーは 

一生を変えてしまう愛がある

17世紀初頭、“新大陸”アメリカ。
異なる世界のふたりが許されない恋におちた――


確かに愛の物語ではありましたが、大いなる自然が舞台なのに、映画全体のトーンが喪失感に満ちたものでありました。
 何だか全体がポカホンタスと蹂躙されるアメリカの地に対するレクイエムみたいに感じる。
 アメリカの大地は実に美しく雄大で荘厳なオーケストラの曲がかぶります。何だか滅びることを約束された楽園のようです。
 イギリスからやってきた者たちは、青々とした大地を柵で囲み、泥の中で汚れています。
 先住民の男たちと、鎧や、まだ織りの荒い布の服をまとったヨーロッパ人を比べると先住民の身体の美しさとが眼を奪います。
 主人公スミス・ポカホンタス・ロルフの3人は誰もが求めて得られぬものに苦しんでいます。
 ポカホンタス登場シーンの彼女ののびやかな美しさが強烈な印象を残すだけに、だんだん萎縮していくような彼女がその後の先住民の運命に重なって来たりもします。

 ただ、私はコリン・ファレルの眉毛に「ありゃなんだ」と言いたい。ミスキャストとまでは言わないけれど、ポカホンタスの心を虜にする様な男か?あれが?と憤然とした。クリスチャン・ベイルがコリン・ファレルの穴を埋められないわきゃあ無いだろう、と思う。この辺の感じ方は私の男性の好み丸出しになってしまうが。
 それにポカホンタスが受身過ぎ。私の読んだ本ではイギリス人が先住民の食料を盗んで、そのためにトラブルが起きてそこを彼女が「争いをエスカレートさせてはいけない」と周囲を鎮めるのでした。それでこそイギリス宮廷でも存在感を示す大陸の王女なのではないか?この映画のクオリアンカ・キルヒャーは本当にきれいだけれど、運命に翻弄されるばかりではない若い率直さや威厳がもっともっと欲しいと思うのでありました。
 ディズニーの「ポカホンタス」もテーマ曲以外は好きではないが、これも映像はきれいだし、構成も悪くは無い…が個人的に納得できない。

 ちなみに、私はポカホンタスは空気の悪いロンドンなんかに行ったからあの若さで亡くなったんではないかと思っている。
 それからちょっとした日本とのご縁では、日米通商条約が調印されたり、幕府の遣米使節が乗って太平洋を渡ったのがこのポカホンタス父の名前の軍艦ボウハタン号。