虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

草原の輝き

2006年07月06日 | 映画感想さ行
 紅旗征戎非吾事
 藤原定家の「名月記」中の有名なる一節。
 ほんとにこう言っていられたらいいのに。
 でも否応なくあちらから望まなくても巻き込まれるのが普通の人々です。
 昨日は柄にもないことを書いてしまいました。やっぱり動揺しています。

 エリア・カザンの「草原の輝き」久しぶりに見ました。
 ティーン・エイジャーの時より年をとればとるだけ若さの痛みが身に沁みる映画です。若い二人の求め合って結ばれない、アメリカのピューリタン的なセックスへの拒否感もひとつの要因だけど、若さの持つ性急さ、一途さが悲劇のアクセルを踏む。
「エデンの東」も思いあってもすれ違う人間の心が悲しくそれだけに美しく泣ける映画になっていましたがこの監督は本当に青春の残酷さを見ずにはいられないように切なく美しく描く。
 ラストは2人がそれぞれ自分の生きる場を新たに見出して、分かれてしまったそれぞれの道を静かに確認する。
 その先の何が待っているにしても、これは2人にとっては決して忘れられず消えない痛みを残す。若い日の恋を懐かしむなんてできないだろう。
 ナタリー・ウッドは、壊れそうな神経を持った少女の役が線の細さがはまっています。周囲の女の子と一緒にはしゃいでも、彼女だけ浮いているのがわかります。(それは周りのファッションのダサさも原因ですが)