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最近巷の噂では......
豆腐に塩麹をまぶして4・5日放置すると、モッツァレラチーズ風味になるという。
う、うっそ~
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う~ん、確かに味は変化したが、モッツァレラチーズというよりは、豆腐味がより濃厚になった感じ。
豆腐好きにはたまらないかもしれないが、私は駄目だ。
私は豆腐が嫌いである。あの匂い、味、食感のすべてが苦手だ。
いかようにも変化する無味無臭の万能食材ではないかと人は言うが、私にとっては強烈な個性を隠し持ったイヤな奴に他ならない。
絶対に食べられないという訳ではないが、間違って口に入れると、みるみるテンションが低くなる。
泣きたいような寂しい心持ちになる。
生前、義父母に用事があって夕飯時に訪ねたら、食卓には一丁の豆腐の半分をみそ汁に、半分を冷や奴にしたものが並んでいた。
一緒に食事をしようと誘われたらなんと言って断ろうかと焦った。
これほどどうでもよいことを30年経ってもありありと思い出すほど、私にとってはショックを受けた出来事だった。
その昔、渡辺淳一だったか立原正秋だったかの、いわゆる大人の恋愛小説を読んでいたら...
久しぶりの逢瀬を喜ぶ恋人たち。
男性は食事場所をいろいろ考慮した末に格式ある豆腐料理専門店に女性を連れて行くことにした。
なんでここで豆腐料理なのよ? 途端に具合が悪くなって本を閉じた。
もし私がその女性だったら?
妄想マダムnihaoは、口の中いっぱいに豆腐味が広がってどうにも我慢がならなかった。
岩手県は全国一豆腐の消費量が多い県であるが、私は岩手県一豆腐を買わない主婦かもしれない。
我が家の食卓には、豆腐のみそ汁は存在しない。
湯豆腐、冷や奴はありえないメニュー。
すき焼き、キムチ鍋、芋の子汁、ゴーヤチャンプルにも豆腐は入らない。
豆腐でかさましが出来ない分、料理を作るのには人知れぬ苦労をしてきた。
困ったのは毎日のみそ汁の具。
我が家のみそ汁は通年大根かじゃが芋で、懐にゆとりがある日は浅蜊だった。
子どもたちは学校給食で毎日豆腐を食べていたし、夫も外出先で食べているはずだから、栄養的には何も問題はなかったはずだ。
私の豆腐嫌いは、長い間家族に知られることはなかった。
「お母さんはお豆腐が駄目なのよ!」
このような余計な情報を聞かされたら、むしろ家族は、より強く豆腐を意識して求めてくることになるだろう。
眠っている子どもたちをあえて起こす必要はないのだ。
私は我が家の食卓から静かにさりげなく豆腐の存在を抹消していたのである。
最近になって徐々に私の豆腐嫌いが表面化している。
秘湯巡りとともに各地の産直に立ち寄ることが多くなった私たちだが、その土地独特の豆腐作りをして販売している産直が多い。
オットーが欲しがるので買い求めるが、食卓ではオットーの前にしか並ばない。
豆腐に手を出さない私のことを、どうやら不思議に感じ始めているらしい。
娘もなにやら気がつき始めた様子だ。
ふたり仲良くすき焼き鍋を囲んでいたら、婿殿から
「えっ!どうして豆腐が入っていないの
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とビックリされたそうだ。
「お母さん、すき焼きには豆腐が入るの?」
我が家の常識が世間の非常識と知らずに嫁いだあわれな娘。
しまったと冷や汗が流れた。