彼は2月にも中国人と在中韓国人、朝鮮族の中国同胞のために山東省煙台市に自社の消毒剤8千万ウォン分(約700万円分)を支援した。

2020-05-22 13:26:24 | 韓国文化

[インタビュー]「コロナ時代、

より差別される同胞たちと共に生きるため分かち合う」

登録:2020-05-22 10:12 修正:2020-05-22 12:33
 
日本在住韓国人企業家、李明鎬代表
 
 
日本に定着して31年になる同胞の李明鎬アルセン代表は、10年前の新型インフルエンザに続く新型コロナのパンデミックを通じて、人類が共存の知恵に気づくべきだとし、自分が開発した消毒剤を同胞社会に配っている=写真・アルセン提供//ハンギョレ新聞社

 日本で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡散がピークに達した先月中旬、東京在住の韓国人企業家が韓国学校・韓人教会・在外公館・朝鮮学校などに自社で生産した抗ウイルス消毒剤2千万ウォン分(約180万円分)を寄付したというニュースが伝えられ、注目を集めた。これに先立ち、彼は2月にも中国人と在中韓国人、朝鮮族の中国同胞のために山東省煙台市に自社の消毒剤8千万ウォン分(約700万円分)を支援した。世界韓人貿易協会常任理事である株式会社アルセンの李明鎬(イ・ミョンホ)代表だ。

 「COVID-19で一段階上の殺菌機能性製品など衛生関連産業がこれから注目されるでしょう。すでに私が開発した暗所イオン触媒剤を原材料にした様々な消毒・防疫製品の需要も大きく増えています」

 先週末、SNSでつながった李代表の第一声だった。ところが彼をインターネットで検索してみると、驚くべき既視感が感じられた。10年前の2010年4月、彼は最初の韓国国内メディアのインタビューでも同じような話をしていたからだ。2009年冬から全世界を恐怖に陥れた新型インフルエンザ(インフルエンザウイルスA型)が「COVID-19」に変わっただけだった。

1989年、勤労奨学生として日本に留学 
苦学の末、24歳の時に初めて創業して辞め、 
化学理論を独学し「暗所イオン触媒剤」開発 
2008年、「アルセン」を設立、消毒剤を生産 
中国煙台市に工場…年商800億ウォン 
日本・中国の同胞に消毒剤を寄付

 
 
日本の群馬県吾妻郡の保健所に消毒剤を届けている李明鎬代表(近日撮影)=写真・アルセン代表//ハンギョレ新聞社

 「あの時は私が何かたいそうな予言をしたわけではなく、すでにウイルスと共に生きていく時代になったという意味です。遠からず宇宙旅行時代が開かれれば、もっと多くの未知の物質が流入するのは避けられない。これからは『共存』と『免疫』が全世界の話題になるでしょう」

 最先端化学物質メーカーの代表である李さんが、このように人文社会学的な展望を語るのは少し意外だった。だが、彼の並々ならぬ履歴を聞けば十分理解できる。

 李代表は1968年、全羅南道昇州(スンジュ)で生まれ、順天(スンチョン)で育った。全羅南道長城(チャンソン)出身の父と慶尚北道達城(タルソン)出身の母のもと、4人きょうだいの長男として生まれた彼は、両親の離婚の渦中に高校を中退し、早くから生業戦線に飛び込んだ。麗水(ヨス)~ソウルの高速バスの車掌を務めた後上京した彼は、リヤカーを引いて露天商をし、聖水洞(ソンスドン)のある繊維会社に就職した。

 「ところが、工場では休憩時間に本など読んでいたら破ってしまって勉強させないようにするので、辞めました。新設洞(シンソルドン)の小さな読書室で暮らしながら、検定試験を準備していたところ、偶然『読売新聞』で新聞配達勤労奨学生を選抜するという記事を見たんです。その時から独学で日本語を勉強して選抜試験に合格しました」

 そうして日本に渡った彼は1989年、千葉県柏市にある私立大学麗澤大学で文化人類学(言語学科)を学んだ。様々なアルバイトをしながら苦学した彼は、在学中の24歳の時、ミリネ(銀河水)総合商社を設立し、最初の事業を始めた。「韓国人留学生専用の寮、靴の委託加工の貿易などでそれなりに成功したが、だんだん競争が激しくなってやめました。市場を先取りできる事業を探し、独学で化学理論を研究した末に『消毒剤』を見つけました」

 李代表は、チタンを勉強しているときに知り合った岐阜県岐阜国立大学の化学専門家の蜷川研究員と手を組み、2年後の2005年に世界で初めて暗所イオン触媒剤を開発した。複合金属物質である暗所イオン触媒は、銅・銀・チタン・亜鉛をイオン化して作った一種の素材物質だと彼は説明した。「一般的な酸化鉄の種類とは異なり、光のない暗い空間(暗所)でも作用し、抗菌、脱臭に優れた効果と持続力を持っています」

 
 
4月13日、東京都上野の在外国民投票所に消毒剤を寄付している李明鎬代表(左)=写真・アルセン提供//ハンギョレ新聞社

 2008年、アルセン(日本語の「ある」と韓国語で「強い」という意味の「セン」の合成語)を創業した彼は、技術力を認められ、コマリヨー、ドン・キホーテ(レオフロンティア)、ニチマン、アダストリアなど靴を扱うメーカーに年間200万足分の触媒剤を納品した。事業初期には空気浄化剤、セラミックフィルター、浄水器などのエコ製品の需要が急増した恩恵も受けた。

 「一般的な手指消毒剤はアルコールが主成分なので、肌に塗ってから15秒経てば蒸発してしまいます。ウィルスの30%は生き残ります。暗所イオン触媒剤は蒸発しないため、1分後に98.8%、10分後に100%消滅させます。うちの製品で30回洗濯しても使える半永久的なマスクを開発したメーカーもあります」

 
 
李明鎬代表が朝鮮学校に送ったマスク、抗ウイルス剤など新型コロナウイルス防疫製品=写真・アルセン提供//ハンギョレ新聞社

 2010年のインタビューで「今年は10億円分を販売し、5年後には100億円の売り上げが上げられる」と予測した彼は、10年後に煙台に建てた中国アルセンだけで年間売り上げ800億ウォンを突破したという。今年に入ってCOVID-19で個人防疫の需要が急増すると、アルセンは携帯用スプレータイプも生産している。現在、月4万個を生産してドン・キホーテなど大型量販店に納品し、中国市場への進出も準備しているという。

 「ここ最近までに韓国人同胞社会約30カ所と、朝鮮総連系の朝鮮学校4校にマスク、抗ウイルス殺菌剤、携帯用消毒剤などを支援しました。特に日本政府から差別を受けている学校の校長先生や教師たちが涙をにじませて電話で感謝を伝えてくれて、私の方が感動しました」

 異国に来て誰よりも困難を経てきたため、常に初心を忘れず「修行する気持ち」で同胞を助けているという彼さんは「機会があれば北朝鮮の同胞にも消毒剤や防疫品を送りたい」と語った。

キム・ギョンエ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

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