クリミア橋まで攻撃を受けたが、ウクライナ領内を深く攻撃できる能力を依然として保有していることを誇示したと評した。プーチン大統領も、この攻撃が自分の指示の下で行われたことを隠さなかった。

2022-10-11 09:17:24 | 歴史に照らして整合性を!

[現地ルポ]

「ヒューッ」キーウに鳴り響いた口笛の音…

30秒後、恐怖に陥った現場

登録:2022-10-11 00:39 修正:2022-10-11 07:12
 
[イム・インテク記者、ウクライナ現地報道] 
地下鉄の防空壕に避難した市民、娘抱きしめながら「してあげられるのはこれしかない」
 
 
10日(現地時間)朝、ウクライナの首都キーウで、ロシア軍のミサイル攻撃によるものと推定される爆発で市民1人が死亡して倒れており、周辺から煙が上がっている=キーウ/ロイター・聯合ニュース

 10日(現地時間)午前8時20分。ウクライナの大統領宮と政府機関が集まった首都キーウの中心部に「ヒューッ」という口笛のような音が鳴り響いた。言葉では言い表せない恐怖で全身が震えた。背筋を凍らせるような音が、本紙の取材陣が泊まっていた宿舎の上を通り過ぎてから30秒も経たないうちに、轟音が聞こえた。5分後、救急車が急いで現場に駆けつける姿が目についた。新しい一週間を始めたキーウの月曜日朝の日常が崩れ落ちた。

 9月以降、東南部戦線で連日聞こえてくる勝報にかすかに微笑んでいたキーウ市民の顔が急に青ざめた。通勤途中に足を止めた市民300人余りが地下防空壕として使われるフレシチャーティク駅に駆け込んだ。同駅は防空壕として使えるように深く掘り下げて作られたため、ホームにたどり着くにはエスカレーターで3分以上下らなければならない。40分かけて子どもを通学させているという公務員のバシムさん(35)は「周りで多くの死を目の当たりにしている」とし、「ロシアはテロリストであり、子どもたち皆が苦しんでいる」と怒りを隠せなかった。9才の一人娘ジラータさんが苦しんでいる時には何をしてあげているのかと尋ねると、バシムさんは娘を抱きしめながら「これしかない」と答えた。攻撃が行われる前日の9日までは、キーウのマクドナルドの前には行列ができていた。ヨーロッパの他の観光地同様、「安全だ」と感じるほど日常が戻っていたが、再び恐怖が市民を締め付けることになった。

 ロシア本土とクリミア半島を結ぶ「クリミア橋」の爆発事件が起きてから2日後、ロシアは首都キーウを含むウクライナ全域の主要都市約10カ所にミサイル攻撃を加えた。ウラジーミル・プーチン大統領が、この爆破事件はウクライナ特殊機関が行った「テロ攻撃」によるものという暫定結論を下した翌日に行われた大々的な爆撃だった。キーウだけでなく、第2の都市ハルキウ、中部のドニプロ、西部のリビウ、南部のミコライウなど主要都市10カ所を含む12の地域にロシアのミサイルが落ちた。

 
 
10日午前、ロシアのミサイル攻撃が行われた後、驚いたウクライナ市民たちがキーウ中心部にある地下鉄駅のフレシチャーティク駅に避難した。 親たちが驚いた子どもたちをなだめている=イム・インテク記者//ハンギョレ新聞社

 この攻撃によりキーウだけで少なくとも8人が死亡し、24人が負傷した。主要インフラが攻撃され、電力、インターネット、暖房がまともに稼動しないなど、ウクライナ全域が大きな混乱に陥った。キーウ都心では犠牲になった人の遺体が放置された姿も目撃された。ウクライナ大統領府のキリロ・ティモシェンコ副長官は「テレグラム」を通じて、ロシアの攻撃が12の地域のエネルギー施設を狙ったものだとし、「これはエネルギー供給安定に影響を与えかねない」と認めた。

 ニューヨーク・タイムズなど海外メディアは同日の爆撃について、ロシアが2月末にウクライナに侵攻した後、民間施設と重要なインフラを標的にした広範囲な攻撃だと報じた。海外メディアは、ロシアが東南部戦線で守勢に立たされ、クリミア橋まで攻撃を受けたが、ウクライナ領内を深く攻撃できる能力を依然として保有していることを誇示したと評した。プーチン大統領も、この攻撃が自分の指示の下で行われたことを隠さなかった。プーチン大統領は、ロシアの「長距離ミサイルが(ウクライナの)エネルギー・軍事・通信施設を攻撃した」とし、「ロシア領土に対する追加テロ攻撃が行われた場合、さらに過酷な措置で対応する」と警告した。

 ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ロシアの攻撃に屈しないと述べた。空襲以後、キーウ市内の中心街で撮った動画を公開し、「彼ら(ロシア)は恐怖と混乱を望み、私たちのエネルギーシステムを破壊しようとしている」としながらも、「彼らの望みは叶わないだろう」と述べた。

 クリミア橋爆破事件を調査中のロシア調査委員会は同日の声明で、ウクライナの砲撃がロシア領内のベルゴロドおよびクルスク、そして占領地のドネツクに加えられたと明らかにした。この攻撃で、ドネツクで3人が死亡し、電力が遮断された。

 攻撃が行われる前日の9日、ロシア調査委員会のアルレクサンドル・バストルイキン委員長はプーチン大統領と会い、クリミア橋爆破事件の初期調査結果を公開した。バストルイキン氏は今回の事件が「ウクライナの特殊機関によって準備されたテロ行為」という暫定的な結論を示した。ロシア大統領府がホームページに公開した発言録によると、バストルイキン氏はロシア調査チームが現場に到着し「爆発物専門家、犯罪専門家らと現場に対する詳しい調査を行った後、『根拠が整った』暫定的な結論に至った」とし、「ロシア連邦に非常に重要な民間の大型インフラを破壊する目的を持つウクライナ特殊機関によって計画されたテロ行為」だと述べた。報告を受けたプーチン大統領は、「あなたが今報告したように、これには疑いの余地がない。これはロシア連邦のインフラを破壊するために計画されたテロ行為」だとし、「ウクライナの特殊機関はその立案者であり遂行者、調整者」だと強調した。

 プーチン大統領はこれまで、この戦争の具体的な戦況については直接的な言及を控えてきた。しかし、今回は直接この事件を「ウクライナによるテロ攻撃」だとした翌日、大々的な報復に乗り出した。10日、安全保障会議を開き、今回の事態に対する追加報復措置について話し合うものとみられる。

 この過程で目を引く人物は、8日にウクライナに対する「特別軍事作戦」の総司令官に任命されたセルゲイ・スロビキン空軍・宇宙軍総司令官(大将)だ。スロビキン司令官はシリア遠征軍司令官時代、民間人と戦闘員を区別せず、無差別爆撃を指示した残虐な人物だと、英国の「ガーディアン」が報じた。ロシアは2015年9月、シリア内戦に介入し、2016年には反政府軍が粘り強い抵抗を繰り広げた北部の第2都市アレッポを包囲し、無差別攻撃を加えた。この過程で、多くの民間人が犠牲になった。ウクライナでアレッポの悲劇が繰り返される可能性もある。

キーウ/イム・インテク、チョン・ウィギル、チョ・ヘヨン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

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