「大統領選の僅差の敗北が毒に」
延長戦においてオウンゴールで惨敗の民主党=韓国
「3・9大統領選での0.73ポイント差の敗北が毒に」
ソン・ヨンギルとイ・ジェミョンの出馬、大統領選不服の構図を自ら招く
イ・ジェミョン「責任論」いかに切り抜けるか
第21代国会後半期の院内構成が与野党の当面の課題
3月9日の大統領選挙の延長戦として行われた6月1日の地方選挙で、共に民主党が惨敗した。
17広域自治体の首長選挙のうち、民主党は光州(クァンジュ)、全羅南道、全羅北道、済州道の4地域、そして最大の勝負どころだった京畿で何とか勝利を収めた。2018年に民主党が勝ったソウル、仁川(インチョン)、釜山(プサン)、蔚山(ウルサン)、慶尚南道、大田(テジョン)、世宗(セジョン)、忠清南道、忠清北道、そして江原道すら国民の力の手に渡った。ほとんど天地のひっくり返る水準だ。
仁川と世宗は直前の全国選挙である3・9大統領選挙でイ・ジェミョン候補が勝ったところだ。それでも負けた。大統領選挙で5.32ポイント差で勝った京畿での差はわずか0.14ポイントにまで縮まっていた。負けたも同然だ。
民主党の地方選挙での敗北は3・9大統領選挙の敗北である程度予告されていた。大統領選挙の84日後、大統領就任から22日後の全国選挙は前例がない。当初から大統領選挙の影響を避けるのは困難だった。
民主党の成績表が「敗北」から「惨敗」へと変わったのは、ソン・ヨンギル前代表とイ・ジェミョン前大統領候補のせいだ。大統領選の敗北後、自粛すべきだったソン・ヨンギル前代表はソウル市長選挙に出馬した。イ・ジェミョン氏も党内外の引き止めを振り切って国会議員選挙に出馬した。
2人の出馬は、6・1地方選挙を大統領選挙の延長戦として刻印する悪材料として作用した。民主党自らが大統領選挙不服フレームの中へのこのこと入っていった格好となった。選挙運動期間中ずっと多くの大儀名分を掲げていたものの、大統領選挙不服フレームから脱することはできなかった。サッカーで言えばオウンゴールだった。熱烈な支持層の結集効果よりも、緩い支持層と中道層の離脱効果の方がはるかに大きかった。
民主党の議員たちに惨敗の理由を尋ねた。概ね次のような答えが返ってきた。
「投票率がガクンと下がったのを見て、開票前から惨敗することは分かっていた。大統領選挙でイ・ジェミョン候補に入れた有権者の中のかなりの数が投票を放棄した。大儀名分争いで我々は非常に押されていた」
「大統領選挙での0.73ポイント差の敗北が毒となった。『敗れたけどよく戦った』という『阿Q正伝』に出てくる精神勝利法だ。現実世界では通用するわけがない。残念だが万事必ず正理に帰すだ。何も言えない」
もっとも、あらゆる選挙は審判選挙だ。2018年の地方選挙は、朝米首脳会談を「偽装平和ショー」と非難したホン・ジュンピョ代表の自由韓国党に対する審判だった。2020年の総選挙は、新型コロナウイルス禍を選挙に引き込んだファン・ギョアン代表の未来統合党に対する審判だった。
今回の選挙は、大統領選挙の敗北に承服せず、頭を下げないイ・ジェミョン候補と民主党に対する審判だった。われわれ有権者は傲慢な政治家と政党を非常に嫌う。
選挙での敗北には後遺症が伴う。民主党は大統領選挙の敗北と地方選挙の敗北という2つの津波に一度にさらされることになった。
当面は、派閥対立と責任攻防を抜け出すことは難しいだろう。かといって、党が簡単に割れるようにも思われない。議員たちには集団離党する大儀名分も、力もないからだ。
ユン・ホジュン、パク・チヒョンの両共同非常対策委員長の辞任は当然の手順だ。民主党は次の党大会で新指導部が選出されるまで、改めて非常対策委体制を取らざるを得ないだろう。パク・ホングン院内代表が非常対策委員長として党大会を準備しなければならないだろう。
民主党の中で今回の選挙での敗北に最も大きな責任のある人物は、イ・ジェミョン総括選挙対策委員長だ。「ひとり生きようとして民主党を皆殺しにした」との批判は、彼にとって烙印になるだろう。どうするのだろうか。
同氏は当選の感想を聞かれた際に「厳しい叱責を謙虚に受け止める」としつつも「もう少し革新し、新たな姿で期待に応えられるよう最善を尽くす」と語った。大したものだ。彼の性格からして、ついでに党大会に出馬するという正面突破カードを選択することもありうる。通じるだろうか。
民主党の最大の問題は、イ・ジェミョン氏と民主党の議員、そして民主党の党員と支持者に、果たして民主党を革新する意志と力量があるかどうかだ。革新できなければ、民主党は2024年の総選挙、2026年の地方選挙、2027年の大統領選挙でも敗れるだろう。
今回の選挙の結果から最大の利益を得たのは尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領だ。大統領選から今までは低い支持率で苦戦してきたが、地方選挙の圧勝で任期初期の政局の主導権を握った。
これから尹錫悦大統領の本当の能力を見ることになるだろう。もちろん尹錫悦大統領の政治的力量は立証されていない。しかし、「相手のミス」による反射利益も実力のうちだ。尹錫悦大統領が「野党のおかげ」をいつまで享受できるのかが気になる。
地方選挙直後、ハン・ドンフン法務部長官と「尹錫悦師団」出身の検察の主要幹部が主導する政治家査定が始まる可能性がある。キム・ハンギル国民統合委員長らが査定局面を利用して民主党議員を引き抜く政界再編を試みる可能性もある。うまくいだろうか。ややもすれば大ごとになる。
国民の力の内部的には、次期大統領候補の座をめぐる競争が始まった。今回の選挙で当選したソウル市のオ・セフン市長、大邱市(テグシ)のホン・ジュンピョ次期市長、アン・チョルス議員などが有力な候補たちだ。
勝利の興奮と敗北の痛みが収まりもしないうちから、与野党が直面する当面の課題がある。第21代国会の後半期の院内構成だ。
遅くとも7月17日の制憲節までには国会本会議を開き、国会議長、副議長、常任委員長を選出しなければならない。国会がなければ尹錫悦政権、尹錫悦行政府は何もできない。
問題は法司委員長だ。今のところ、与野党いずれも法司委員長を譲ったり放棄したりする考えはないようだ。尹錫悦大統領と国民の力はこの難題を解決できるのだろうか。
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