イスラエル、停戦交渉を拒否しレバノンに最大規模の攻撃
イスラエルがレバノンのシーア派武装勢力ヒズボラに対して、ガザ戦争開戦以来最大の空爆を加えた。イスラエルは、国際社会の仲裁の中で進められていたハマスとの休戦交渉も中断した。
イスラエル軍は14日、自国と国境を接するレバノン南部地域を空爆した。少なくとも7人の民間人が死亡し、10人余りが負傷したとレバノン現地メディアが報道した。レバノン国立通信社(NNA)は、イスラエルと国境を接する南部スアネで、イスラエル軍の空爆により母親1人と息子2人が死亡し、ナバティエでも家族4人が死亡したと報じた。ヒズボラは、戦闘員2人も死亡したと発表した。昨年10月7日にイスラエルとパレスチナ武装勢力ハマスの間でガザ戦争が起きた後、ヒズボラはパレスチナを支援するためにイスラエルとの国境地帯でイスラエル軍と砲撃戦を繰り広げてきたが、今回のイスラエル軍の空爆は最大規模だ。
イスラエルは、ヒズボラの攻撃でイスラエル兵士1人が死亡したことに対する報復として今回の空爆を行った。同日朝、ヒズボラはイスラエルの国境都市ネトゥア、マナラ、サフェドなどにロケット攻撃を加え、サフェドでイスラエルの女性兵士1人が死亡、7人が負傷した。その後、イスラエル軍は戦闘機を出撃し、スアネなどでヒズボラの目標物を空爆したと発表した。
イスラエル国防軍のヘルジ・ハレビ参謀総長は「レバノンでヒズボラへの攻撃において大きな実績があったが、我々は作戦を継続しており、今は中断する時ではない」と述べた。イスラエル政府のイラナ・ステイン報道官は「何度も明確にした通り、イスラエルは『二つの戦線』 の戦争に関心がない」とし、「しかし挑発を受ければ、強力に対応する」と強調した。
これに対しヒズボラの指導者ハサン・ナスララ師は、自分たちに対する戦争はイスラエル北部で「数百万人の避難民」を発生させるとし、「イスラエルが戦争を拡大するならば我々もそうするだろう」と対抗した。また、ヒズボラは「ガザで侵略が止まる時だけ」戦闘をやめるとも誓った。
イスラエルは、エジプトのカイロで進められていたハマスとの休戦交渉の場からも撤退した。ネタニヤフ首相はこの日、ハマスが新たな提案を提示するまでは、交渉を続けるための代表団をカイロに戻すことはしないと明らかにした。ネタニヤフ首相は「ハマスの妄想的な要求に屈しない」と述べた。ハマスの関係者らも交渉代表団に妥協しないよう指示したと、エジプトの関係者らが明らかにした。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは消息筋の話を引用し、イスラエルの高官らは、ハマスがより合理的な提案を持って交渉のテーブルに戻らなければ、避難民が押し寄せガザ地区の人口の半分を超える140万人が密集する南端のラファに地上軍作戦を開始すると言っていると報じた。
ウィリアム・バーンズ米中央情報局長の仲裁でイスラエルとハマスが進めたカイロ交渉では、イスラエルのパレスチナ人収監者とハマスのイスラエル人人質を3対1で交換することと、6週間の休戦が話し合われていた。ネタニヤフ首相は先週、数千人のパレスチナ人収監者の釈放とガザ地区からのイスラエル軍の段階的撤退を求めたハマスの提案を拒否した。