北朝鮮で最も立ち遅れた地域と呼ばれる両江道鴨緑江沿いには、農村全体を再開発する工事が行われているところが多い。華やかな色の新築文化住宅やマンションと今にも崩れそうな古びた平屋住宅・・・

2023-10-04 12:03:19 | 朝鮮を知ろう。
 

鴨緑江・豆満江で見た「変化を望んでいるが、変化できない北朝鮮」(1)

登録:2023-10-05 06:50 修正:2023-10-05 09:09

 

[朝中国境1334キロを行く]
 
 
北朝鮮の最大の国境都市の新義州は今「工事中」だ。鴨緑江の砂運搬船の向こう岸の新義州に新型コロナによる国境閉鎖期間に完成したマンション(左)と建築中の高層マンションが立ち並ぶ。新義州港には無煙炭の代わりに砂が山のように積まれている=イ・ジェフン先任記者//ハンギョレ新聞社

 秋の鴨緑江(アムノッカン)・豆満江(トゥマンガン)は豊かでおおらかだ。「新冷戦にとどまらず熱戦の恐れがある」という懸念の声があがるほど、朝鮮半島と北東アジアの情勢は危ういが、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)と中華人民共和国の国境は至って平和だ。

 朝中の国境は「線」ではなく「面」だ。

 1334キロにわたる長い国境をなしている鴨緑江と豆満江の水面全体が国境だ。朝中両国は鴨緑江と豆満江を共有する。河川、水路の中央線を国境線とする国際法上の一般原則とは異なる形だ。国境特有の「分離」ではなく協力と交流、融合を前面に掲げている。朝鮮半島で最も長い川(長さ803.3キロ)の鴨緑江の水豊(スプン)、太平湾(テピョンマン)、渭原(ウィウォン)、文岳(ムナク)、望江楼(マンガンヌ)、雲峰(ウンボン)の各発電所で生産した電気も両国が半分ずつ分け合う。

 南と北の完全な分離・対峙(たいじ)線である休戦ライン(248キロ・155マイル)より5.4倍も長いのに、これまで大規模な武力衝突を含む国境紛争が一度もなかった。中国の15の国境の中で最も平和な国境だ。

 
 
朝鮮半島で最大規模の水力発電所である水豊ダム。鴨緑江岸、平安北道朔州郡水豊労働者地区と中国の遼寧省寛甸県にまたがっている。朝中両国は朝鮮半島で最も長い川(803.3キロ)の鴨緑江の発電所で生産した電気を分け合う=イ・ジェフン先任記者//ハンギョレ新聞社

 中国国務院が2016年1月、「超国境観光合作区」に指定した丹東市の観光名所である鴨緑江断橋は、秋を楽しむ中国人観光客で賑わっていた。鴨緑江断橋は1950年10月19日、中国人民支援軍が朝鮮戦争に参戦するために渡っており、米軍の爆撃で破壊された歴史のある「朝中親善」の象徴だ。中国政府が強調する「紅色観光」(レッドツーリズム)の代表的観光地だが、断橋に足を踏み入れるためには50人民元の入場料を払わなければならないという「資本主義的な観光地」でもある。新義州(シイジュ)をより間近に見るためには、30分90人民元の遊覧船の搭乗券を買わなければならない。

 中国政府の本音がどうであれ、多くの中国人観光客は鴨緑江と新義州を背景にした記念撮影に余念がなかった。写真の背景には新義州の新たなランドマークに浮上した巨大な円形の「一心団結マンション」と3棟からなるトリプルタワーマンションが入る。これらはいずれも2020年1月の新型コロナウイルスの大流行による国境閉鎖後も工事が続き、完成した。砂利採取運搬船が鴨緑江を忙しく行き来しており、新義州港には以前とは異なり無煙炭の代わりに砂が山のように積まれている。新義州は今「工事中」だ。

 
 
鴨緑江岸、平安北道朔州郡水豊労働者地区と中国の遼寧省寛甸県をまたがっている朝鮮半島最大規模の水力発電所である水豊ダムの下流の水豊湖で、国籍を確認できない住民が鴨緑江に船を浮かべて釣りをしている=イ・ジェフン先任記者//ハンギョレ新聞社

 新義州だけではない。北朝鮮で最も立ち遅れた地域と呼ばれる両江道(リャンガンド)の鴨緑江周辺には農村全体を再開発する工事が進められているところが多い。華やかな色の新築文化住宅やマンションと、今にも崩れそうな古びたモノトーンの平屋住宅、多くの人たちが集まってレンガを積み上げる村の再開発現場などが続き、鴨緑江と豆満江沿いの国境の村の風景を変えている。

 
 
中国国務院が「辺境観光合作区」に指定した丹東市の観光名所である鴨緑江断橋が中国人観光客で賑わっている。鴨緑江断橋は1950年10月19日、中国人民支援軍が朝鮮戦争に参戦するために渡った、米軍に爆撃されたこともある「朝中親善」の象徴=イ・ジェフン先任記者//ハンギョレ新聞社

 1990年代初め以降、20年以上何の変化もなく廃墟として放置されていた静かな国境の村では2014年から新築と改築の動きが始まり、時間がたつにつれ加速し、拡散している。静けさが無気力の別の顔なら、変化は活力の別の顔だ。

 「苦難の行軍」と呼ばれた1990年代、食糧難に立ち向かった国境地域の北朝鮮人民の凄絶な生存闘争の現場である「個人畑」(山の斜面に違法に作られた隠し畑)も減少傾向にある。ある北朝鮮経済の研究者は「コロナ禍前の2019年より、個人畑が5~10%は減ったようだ」とし、「個人畑より良い経済活動ができるためとみられる」と語った。

 鴨緑江と豆満江に沿って朝中国境の1334キロを見回る過程で出会った多くの人々は、チョ・テヨン国家安保室長が「北朝鮮経済が3年間マイナス成長して食糧難が激しくなり、餓死者まで出てくる状況だ。現政権が終わる前に北朝鮮がこれ以上持ちこたえるのが困難な時期も来るかもしれない」と豪語したことについては、「実状を知らないがための的外れな話」だと指摘した。

 豆満江沿いの図們の農村で生まれ育った40代半ばの朝鮮族同胞は、「たまに朝鮮(北朝鮮)に行ったりもするが、状況が少しずつ良くなっているようだ」とし、「(金)正日(総書記)より(金)正恩(委員長)時代の方がましだ」と語った。

 とは言え、鴨緑江と豆満江は単に平和だというわけではない。北朝鮮の核・ミサイル開発に対する国連と米国の長期にわたる強力な制裁と「大韓民国」という変数が暗く複雑な影を落としている。

 
 
北朝鮮で最も立ち遅れた地域と呼ばれる両江道鴨緑江沿いには、農村全体を再開発する工事が行われているところが多い。華やかな色の新築文化住宅やマンションと今にも崩れそうな古びた平屋住宅、村の再開発現場などが村の風景を変えている=イ・ジェフン先任記者//ハンギョレ新聞社

(2に続く)

鴨緑江・豆満江で見た「変化を望んでいるが、変化できない北朝鮮」(2)

登録:2023-10-05 09:02 修正:2023-10-05 11:12
[朝中国境1334キロを行く]
 
 
「新鴨緑江大橋」とも呼ばれる「朝中鴨緑江大橋」は、中国最大の国境都市丹東と北朝鮮最大の国境都市新義州を結ぶ。中国政府が22億2千万元(3億4千万ドル)をかけて建設した4車線の大型吊り橋で、両国を結ぶ最長で最新の歩道橋=イ・ジェフン先任記者//ハンギョレ新聞社

(1から続く)

新義州の「朝中鴨緑江大橋」はいつ開通するか

 「新鴨緑江(アムノッカン)大橋」とも呼ばれる「朝中鴨緑江大橋」は、中国最大の国境都市丹東と北朝鮮最大の国境都市新義州(シニジュ)を結ぶ。中国政府が22億2千万元(3億4千万ドル)をかけて建設した4車線の大型吊り橋(長さ3016メートル)で、両国を結ぶ最長で最新の歩道橋だ。2009年10月の中国の温家宝首相の訪朝の際、建設に合意した。2010年5月、金正日(キム・ジョンイル)総書記の訪中の際、胡錦濤中国国家主席と合意した「黄金坪(ファングムピョン:鴨緑江下流)・威化島(ウィファド)経済地帯」の創設とともに「金正日総書記の中国式開放決心の象徴」(イ・ジョンソク元統一部長官)だ。晩年の金正日総書記が後継者の「息子の金正恩(キム・ジョンウン)」に残した国家生存戦略が中国式開放であることを象徴する物理的実体だ。

 しかし、朝中鴨緑江大橋は2015年秋に完工したものの、8年余りがたった2023年10月に至るも開通できずにいる。放置されているわけではない。大橋南端の新義州側に10階建てのマンション10棟あまりが新築され、「時々公務車両が大橋を行き来する」と丹東の消息筋が伝えた。4年ぶりにここを視察したある北朝鮮研究者は、「変化を望んでいるが、変わらない北朝鮮を示しているようだ」と語った。朝中鴨緑江大橋が開通するかどうかは、北朝鮮開放の試金石の一つだ。

集安の北朝鮮食堂「妙香山」と「鴨緑江国門景楼」の韓国人立ち入り禁止

 中国国務院は2016年1月、吉林省延辺朝鮮族自治州を丹東市とともに「超国境観光合作区」に指定した。吉林省の鴨緑江や豆満江(トゥマンガン)沿いの国境地帯の集安市、長白県、図們市、琿春市は観光客の誘致に熱心だ。ところが、辺境の観光地で韓国人観光客に対する「規制」はむしろ強化されている。

 吉林省集安市で唯一の北朝鮮食堂である「妙香山」は、裕福な中国人と朝鮮族が好んで訪れる人気レストランだ。中国大都市の多くの北朝鮮食堂が「平壌(ピョンヤン)料理」を専門としているのに対し、「妙香山」は鴨緑江を挟んで集安市と向き合う慈江道(チャガンド)の道庁所在地である江堺(カンゲ)から来た人々が「江堺料理」で差別化戦略を展開したおかげだ。しかし、韓国人は「妙香山」の江堺料理を楽しむことができない。「立ち入り禁止」だ。「妙香山」の女性店員が公演の際によく歌う北朝鮮の歌「お会いできて嬉しいです、同胞の皆さん、兄弟の皆さん」の「同胞」と「兄弟」に朝鮮族の同胞は含まれるが、韓国人は含まれない。

 鴨緑江中流の国境都市である中国吉林省集安市と北朝鮮慈江道満浦市(マンポシ)を結ぶ国境通過地点にあるため鉄橋・人道橋と満浦市の全景を一望できる「鴨緑江国門澄楼」にも、韓国人は登れない。集安市政府が「外国人」の出入りを許可していないからだ。ここを頻繁に行き来するという集安市のタクシー運転手は「入場料60元を払って国門景楼に登って万浦(マンポ)を見たがる外国人が韓国人以外にいると思うか」と問い返した。延辺で長い間旅行業を営んできた朝鮮族同胞は、「これはすべて尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領のせいだ」と不満をあらわにした。

 集安~万浦鉄橋は中国が朝鮮戦争への参戦を公式決定する前の1950年10月11日、偵察部隊が北朝鮮に入った歴史に関わっている。鴨緑江国門景楼が「抗米援助第1渡」を観光客を呼び寄せる宣伝文句に掲げた背景だ。「万浦人道橋」は解放後、朝中国境に北朝鮮が建設した唯一の橋梁だが、金正日総書記と金正恩委員長時代に工事が続き、2016年に完工した。

 
 
慈江道の鴨緑江沿いの鉄路を北朝鮮の貨物列車が走っている。貨物列車の後ろに「食糧難」の象徴である「個人畑」と造林して間もない木々が見える。辺境地域踏査の経験が豊富な人たちは「貨物列車と自動車の運行が前より多くなったようだ」と語った=イ・ジェフン先任記者//ハンギョレ新聞社

鴨緑江と豆満江沿いの鉄条網

 2023年9月、朝中国境で最も目立つ風景は鴨緑江と豆満江への接近を妨げる鉄条網だ。2020年1月末、新型コロナウイルス感染症の大流行による国境閉鎖後、より緻密になり、より高くなった。中国側には緑色、北朝鮮側には無彩色の鉄条網が果てしなく続く。

 中国地方政府などは川辺のあちこちに「調和のとれた国境を構築しよう」と案内板を立てている。中国当局の考える、「文明化された国境住民」が守らなければならない事項は次のようなものだ。「違法密売密輸、アヘンを売る違法犯罪活動を禁止する」、「朝鮮側に物品を投げられないようにする」、「観光客が朝鮮軍人に向かって写真を撮れないようにする」、 「国境地域で越境できないようにする」などだ。

 延辺の琿春市防川など人が多く集まる国境地帯の有名な観光地には「ここは国境地域です。国境越しに(向こうの人を)挑発または撮影はしないでください」とか、「国境地域では無人航空機などの空中浮揚体を飛ばすことができません」という横断幕がかかっている。川幅が狭くなる国境農村の入り口には「不法越境の人を通報すれば2千~2万元」を支給するという横断幕がかかっている。

 要するに、中国側の鉄条網は脱北と(北朝鮮制裁違反の)密輸・密売だけでなく、対岸の北朝鮮側を撮影して刺激的に編集した動画で、北朝鮮を政治的に非難したり、金儲けの手段にしたりしようとする韓国と中国のユーチューバーなどの接近を防ぐための多目的な遮断装置だ。延吉の朝鮮族事業家は「国境地帯の密輸取り締まりが非常に厳しい」と語った。「より高く、より多くの鉄条網」は伝統的に北朝鮮の「後方」だった中国東北地域が1992年8月の韓中国交正常化後は「政治的に危険地帯になった」として取り締まりを要求してきた北朝鮮の認識に、中国政府が共感するようになったことを示している。鴨緑江と豆満江沿いの朝中国境地域において、韓国人は「政治的に厄介な存在」だ。

 
 
北朝鮮で最も立ち遅れた地域と呼ばれる両江道鴨緑江沿いには、農村全体を再開発する工事が行われているところが多い。華やかな色の新築文化住宅やマンションと今にも崩れそうな古びた平屋住宅、村の再開発現場などが村の風景を変えている=イ・ジェフン先任記者//ハンギョレ新聞社

(3に続く)

丹東・琿春/イ・ジェフン先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
 

鴨緑江・豆満江で見た「変化を望んでいるが、変化できない北朝鮮」(3)

登録:2023-10-05 09:07 修正:2023-10-05 11:30

 

[朝中国境1334キロを行く]
 
 
鴨緑江上流の両江道の道庁所在地である恵山市。川辺には古い住居と倉庫が、丘には新しく建てられた高層マンションが立ち並んでいる=イ・ジェフン先任記者//ハンギョレ新聞社

(2から続く)

塔山公園と圏河の有料望遠鏡

 鴨緑江(アムノッカン)・豆満江(トゥマンガン)を含む朝中国境のすべてを観光資源化しようとしているのは中国の中央・地方政府だけではない。国境地帯の中国人たちも「お金」を稼ぐチャンスを逃さない。

 鴨緑江上流の白頭山(ペクトゥサン)南側の山麓にある吉林省長白朝鮮族自治県には渤海時代の煉瓦塔「霊光塔」(1988年中国国務院指定「全国文化遺物重点保護単位」)がある塔山公園がある。ここからは対岸の両江道(リャンガンド)の道庁所在地である恵山市(ヘサンシ)が一望できる。当然ながら、塔山公園で恵山市が最もよく見える場所には、高性能望遠鏡3台を設置し、20元を払えば1台を15分間使わせてくれる商売をする人がいる。人が多い時は、言い値が望遠鏡の使用料になる。資本主義的な計算法だ。

 朝中の豆満江沿いの最大の交易窓口である琿春市圏河国境通過地点の隣にいる中国人露天商も、望遠鏡5台を鉄条網のそばに設置し、1台3元の使用料を取っている。対岸の北朝鮮の羅先市元汀里(ナソンシ・ウォンジョンリ)を詳しく見たければ「金」を払えということだ。圏河と元汀里をつなぐ4車線道路は中国国務院指定の「辺境経済合作区」である琿春と朝中政府共同開発管理経済特区である「羅先経済貿易地帯」とをつなぐ唯一の道だ。

 長白県の朝鮮族のタクシー運転手は「恵山市が先に開放されていたなら、あっちの人たちの方が私たちより豊かに暮らしていただろう」とし、「早くから改革開放の道を選んだ中国政府に感謝している」と語った。「お金」と呼ばれる「チャンス」に対するこの姿勢の違いが、鴨緑江と豆満江を境に中国の鬱蒼とした山と豊かな国境の村、北朝鮮の裸の山と貧しい国境の村を劇的に対比させる風景を作る動力の一つだろう。

 
 
朝中の豆満江沿いの最大交易窓口である琿春市泉河国境通過地点の中国人露天商は望遠鏡5台を鉄条網のそば設置し、1台3元の使用料を取っている。対岸の北朝鮮羅先市元汀里を詳しく見たければ「金」を払えということだ=イ・ジェフン先任記者//ハンギョレ新聞社

防川、朝中ロ3カ国の複雑な計算

 西海(ソヘ)に接する鴨緑江下流から始まり、1334キロに及ぶ朝中の国境は、東海(トンヘ)に至らず豆満江下流の防川と豆満江里(トゥマンガンリ)で止まる。中国が東海に到着するためには、北朝鮮の豆満江里とロシアのハサンをつなぐ「朝ロ友好橋(鉄橋)」の向こうにある朝ロ国境の豆満江をさらに15~17キロほど進まなければならない。中国は1860年の北京条約でロシア帝国に60万平方キロにのぼる沿海州を奪われた後、今日に至るまで東海への道を開けずにいる。

 羅先市豆満江里と琿春市防川(中)、ハサン(ロ)の前を流れる豆満江の真ん中(北緯42度25分、東経130度38分11.9秒)にあるという朝中ロ国境交差地点と同様、3国の計算は複雑で微妙だ。ロシアはもちろん、北朝鮮も中国に東海港への接近を許していない。北朝鮮は果たして、南平と咸鏡北道清津(ハムギョンプクト・チョンジン)を結ぶ4車線高速道路(84キロ)を建設するという中国和龍市の計画に呼応し、東海港に至る道を中国に開くだろうか。これも朝中鴨緑江大橋の開通と同様に、朝中関係と北朝鮮開放の尺度になるはずだ。

 
 
1334キロに及ぶ朝中国境の東端、中国吉林省琿春市防川の龍湖楼から眺めた豆満江と朝中ロ3カ国の国境交差地点=イ・ジェフン先任記者//ハンギョレ新聞社

 金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長とロシアのウラジーミル・プーチン大統領の首脳会談(9月13日)の翌日、カザフスタンのアルマトイで出会ったロシアの実業家は「今や我々の友人は君たち(韓国)ではなく、北朝鮮だ」とし、「金正恩(委員長)が友人だなんて、映画よりも劇的で非現実的な状況の展開だ」と冷笑交じりに語った。延吉で会った中国人国際政治学者は「金正恩(委員長)は、軍事協力はロシアと、経済協力は中国と進めるという新たな並進路線を選んだようだ」と評した。彼は「朝中ロ三角協力が現実化するかどうかは、根本的には中国の選択にかかっている」とし、「中国はまだ米国との全面対決を望んでいない」と話した。三角協力に対する中国の思惑が複雑だということだ。

 このような中、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は先月20日(現地時間)、第78回国連総会の一般討論演説で「ロ朝の軍事取引は大韓民国の安全保障と平和を直接狙った挑発」だと非難した。「外国」のロシアより「同族」北朝鮮を後に呼ぶことで、北朝鮮に対する敵対意識を強調したわけだ。中国と対立し、ロシアは敵視し、北朝鮮は「主敵」とみなすことで、この30年間の北方政策の成果を自ら破壊する尹錫悦政権に、朝鮮半島の平和と南北共同繁栄の方策を期待するのは、卵を見て時夜を求むのと同じくらい意味のないことかもしれない。

丹東・琿春/イ・ジェフン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
 
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声明は、一部の与党議員による密室協議で、武器輸出の原則禁止を覆すのは「主権在民とは相いれない独裁的な手法だ」と批判。

2023-10-04 12:03:19 | 旧統一協会は解散せよ!

死の商人国家」にするな

殺傷武器の輸出解禁 学者ら22氏反対声明

 岸田政権が狙う殺傷武器の輸出解禁に関して、学者やNGO関係者ら22氏は3日、日本を「平和国家」から「死の商人」国家に転落させるもので許されないとして、殺傷武器の輸出に反対する共同声明を発表しました。


写真

(写真)殺傷兵器の輸出に反対する共同声明を公表する「平和構想研究会」のメンバーら=3日、国会内

 声明は、一部の与党議員による密室協議で、武器輸出の原則禁止を覆すのは「主権在民とは相いれない独裁的な手法だ」と批判。殺傷兵器を輸出すれば国際紛争の加担につながり、「国際協力における日本の信頼を損ない、現場で活動するNGOなどの人々を危険にさらす」と強調しました。

 その上で、(1)武器輸出拡大に向けた与党実務者協議を解散し、国会で徹底した議論を行う(2)殺傷兵器の輸出を解禁しない(3)日英伊による次期戦闘機の開発中止(4)軍需産業支援法の廃止―を求めました。

 ピースボートの川崎哲共同代表は、「提言のポイントは議論がなさ過ぎるところに議論を起こすことだ」と強調。この間、国会や国民的な議論がないまま、一握りの与党議員で安保政策の大転換が決められていると述べ、「このままではいけない。国会での議論を促したい」と語りました。

 日本国際ボランティアセンター(JVC)の今井高樹代表理事は、殺傷兵器を輸出すれば「紛争助長につながり、日本が加害者になる」と批判。武器取引反対ネットワーク(NAJAT)の杉原浩司代表は「間違いなく紛争に使われる次期戦闘機の開発を止めなければならない」と述べました。

 室蘭工業大学の清末愛砂教授は、「殺傷兵器輸出の解禁は、憲法学上、決して容認できない」と批判しました。

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