全国言論労働組合(言論労組)と韓国記者協会などは「民主主義に対する脅威」だとして、相次いで批判声明を出した。

2022-09-08 10:37:59 | 朝鮮を知ろう。

警察、「官邸変更」への尹大統領夫人の介入

疑惑報道した「ハンギョレ」記者を取り調べ

登録:2022-09-08 06:10 修正:2022-09-08 08:24
 
第三者名誉毀損容疑で告発 
報道関係者団体、「民主主義の危険」と反発する声明発表
 
 
尹錫悦大統領の官邸変更をめぐる物議を取り上げた4月27付の本紙記事よりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の官邸移転地を外交長官公館に変更する過程で、夫人のキム・ゴンヒ女史が影響を及ぼした情況が多数あると報道した本紙の記者が5日、名誉毀損疑惑で警察の取り調べを受けた。

 ソウル麻浦(マポ)警察署は同日、本紙が報道した「『ここが気に入った』…不動産の内見のように官邸決定?」記事の作成者である本紙記者を呼び、5時間ほど取り調べを行った。同記事は、大統領就任前に尹次期大統領側が、新大統領官邸を当初名指しした陸軍参謀総長公館から外交長官公館に変える過程で、外交部など関連省庁との協議を経ていなかった点や、キム・ゴンヒ女史の外交長官公館訪問(4月16日または17日)が官邸変更(4月25日発表)に影響を及ぼした情況がいくつか発見されるという点などを指摘する内容だ。

 本紙の記者が情報公開請求などを通じて部分的に確認した告発状の内容によると、「大統領官邸を陸軍参謀総長公館から外交長官公館に変更したことには、キム氏の外交長官公館訪問が決定的な影響を及ぼした」「キム氏は公邸の庭園を見て回り、『あの木は(公邸の向かい側にある南山側の)景色を遮るから、切ってしまわなければ』と指摘した」などの記事内容がキム女史を誹謗する目的で虚偽の事実を示し、キム女史の名誉を傷つけたという内容だ。

 告発人はまた、「大統領官邸を外交長官公館に変更したのは大統領府の移転TF(タスクフォース)で(…)決定しており、被害者キム・ゴンヒは関与しておらず、被害者キム・ゴンヒは公館への訪問当時、『木を切ってしまわなければ』と指摘した事実が全くなかった」と主張した。

 マスコミの報道について問題を提起する時は、訴訟に先立ち言論仲裁委員会に反論・訂正報道と損害賠償を請求するのが一般的だが、告発人はこのような仲裁手続きを踏まず、「第3者に対する名誉毀損」を理由に、6月頃告発状を提出した。警察は被告発人となるイ記者の再三の要請にもかかわらず、告発主体が誰なのかについて具体的な確認を拒否した。

 警察が尹錫悦大統領官邸の変更をめぐる物議などについて報道した本紙記者に対する告発事件捜査に乗り出したことを受け、全国言論労働組合(言論労組)と韓国記者協会などは「民主主義に対する脅威」だとして、相次いで批判声明を出した。

 言論労組はこれについて、2日に発表した声明で、「このような政治的告発は民主主義を損ねる深刻な危害行為」だとしたうえで、「大統領室に対する報道機関の正当な問題提起を、キム・ゴンヒという個人に対する誹謗として歪曲することで、大統領を帝王として頂き、キム・ゴンヒは女王として補佐しなければならないという発想」だと批判した。

 記者協会も同じ日に発表した「権力への批判を押さえつけようとする刑事告発を直ちに取り下げよ」という題名の声明で、「大統領夫人は高度の透明性が求められる公人であり、これに対して合理的な疑念を抱くのはマスコミの責務」だとして、告発の取り下げを求めた。

チェ・ソンジン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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