統一協会 「沖縄戦」まで利用
弟の行方不明「家系が原因」 被害額2000万円超
霊感商法や高額献金の強要など全国的な被害の横行が改めて明らかになり、批判が高まっている統一協会(世界平和統一家庭連合)。77年前の凄惨(せいさん)な地上戦に住民が巻き込まれ、多くの命が奪われた沖縄で、統一協会が沖縄戦の被害を利用し、2000万円以上も巻き上げる非道な行為をしていたことが分かりました。
発覚したのは2011年。被害を受けたのは当時、80歳を超えていた男性でした。あるとき地元紙に、沖縄戦で行方不明になった弟を戦後ずっと探し続けていたこの男性の記事が掲載されました。
正体を隠し接近
霊感商法の被害回復に取り組んできた三宅俊司弁護士によると、統一協会はこの記事を見て男性に接近してきたといいます。
「宗教団体であることを隠し、家族にも一切話さないようにと言って近づいてきたようです。統一協会は、弟と会えない原因が家系にあると言って、家系図の作成を行わせたり、家族の不安をことさらに強調したりして巻き込んでいきました」
男性は、数年間で8回にわたって計1260万円を献金させられていたことが、見つかった領収書から分かりました。しかし献金の他にも、つぼ二つ、多宝塔2個に印鑑などを購入させられていましたが、これらの金額は不明です。被害総額は2000万円を超えるとみられます。
家族はこうした事実を何年間も隠されていました。男性が老人ホームに入居したのち、自宅につぼがあるのを不審に思ったことがきっかけで発覚しました。
三宅弁護士が統一協会と被害回復の交渉を行った結果、被害額の一部を男性に返還することで合意。返還金を支払うことになったのは統一協会の本部ではなく、一般の信者でつくる沖縄の「信徒の会」だったといいます。
人の不幸に付け込んで金を巻き上げるため、沖縄戦の被害まで利用する―。三宅弁護士は「人間のやることではない」と強調します。
被害者に謝罪を
知事選に立候補する佐喜真淳氏=自民・公明推薦=は、統一協会と関係したことについて、「多くの方に不安を与え、誤解を招くような行為をした」として謝罪しました。
三宅弁護士は言います。「本来なら被害者に謝罪するべきなのに、自分の支援者に対し不安を与えたから謝罪するというのでしょうか。統一協会と関わったことで被害を拡大するような広告塔の役割を果たしたことに向き合っていないと思います。沖縄県を統一協会の県政にしてはならない」