福島第一原発の敷地内のタンクに保管中の放射性物質に汚染された水/聯合ニュース
日本政府が13日、福島第一原発の汚染水の海への放出を決定したことに対し、米国と国際原子力機関(IAEA)が相次いで支持声明を発表したことについて、その背景に関心が集まっている。韓国や中国、ロシアなどの隣国が強く反発する中、米国とIAEAはなぜはばかりもなく日本を支持するのだろうか。
IAEAは、日本の発表があった当日、ラファエル・マリアーノ・グロッシー事務局長名義の声明を発表し、「日本の決定を歓迎する」と述べた。IAEAの支持はある程度予想できた。グロッシー事務局長は昨年2月に福島第一原発を訪問したのに続き、先月23日にはオンラインで、汚染水について「日本政府の努力を評価する」と述べ、事実上、後援者の役割を演じた。
1957年に設立されたIAEAは、原発政策において「安全」を強調してはいるものの、基本的には原発の拡大に重点を置く組織だ。原発の危険性を満天下に知らしめた福島第一原発事故の円満な決着は日本政府とIAEAの共通の目標だ、と複数の環境団体は語る。福島第一原発の廃炉と汚染水処理は最重要課題であるだけに、両者は緊密な協力の下に動いているというのだ。
また、原発大国の一つである日本のIAEAでの影響力は強い。韓国外交部の資料によると、IAEAの正規予算の分担率で日本は8.2%を占め、米国(25%)、中国(11.6%)に次いで3番目に多い。汚染水の海への放出を支持した米国と日本を合わせれば33.2%となり、圧倒的な分担率を占める。韓国は2.2%で11位だ。また、前事務局長は日本の天野之弥氏だ。天野前事務局長は、2009年から死去する2019年までの10年にわたって事務局長を務めた。
この間、日本の汚染水放出に特に言及していなかった米国による即時の支持声明については、「意外」との反応が多い。気候変動などの環境問題に大きな関心を示してきたジョー・バイデン政権が、海洋生態系や水産物を食べる周辺国に大きな被害を及ぼす可能性のある汚染水の放出を支持したからだ。最近、中国を牽制するうえで、日本の協力がいつになく重要となってきていることで、外交的観点から協力したとみられる。
日本政府が浄化施設によって除去できないトリチウム(三重水素)に焦点を当てていることも、米国とIAEAを日本側に立たせた要因だという分析もある。トリチウムは日本だけでなく、米国、中国、韓国など原発施設のある他の国々でも、各国が定めた基準値以下にして海に放出している。IAEAと米国が日本の決定について「国際基準に適合する」と言った理由はここにある。
しかし、福島第一原発のタンクに保管されている汚染水は、事故で溶けた核燃料の冷却水に雨水や地下水が混ざっており、トリチウムだけでなく人体に致命的な放射性物質が含まれている。一度は浄化したものの、汚染水の約70%にはセシウム、ストロンチウム、ヨウ素などの放射性物質が依然として含まれている。日本政府は、再び浄化して放射性物質を基準値以下に下げると強調しているが、2次浄化の結果はまだ正確には公表されておらず、懸念の声があがっている。
キム・ソヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )