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なんちゃってLOHASな日々

ハーブの事。田舎暮らしの事。読書あれこれ。毎日の生活の中の、ちっちゃな出来事を楽しんじゃうブログです。

香りの小ばこ

2009年04月26日 | 読書
本のレビューを書くときは、読み返したり。考えをまとめる時間が欲しいのですが・・・。
ここの所。なんだか、毎日がバタバタと慌しくて
もう、何冊分か、書きたい本が溜まってしまってます
いつ書けるのだろうか・・・

この本は、知識がたっぷり詰まっているので。
あれも。これも。いろいろ抜粋して紹介したいと思いながらも。
どの話もタメになるので、書きあぐねていた一冊。

「香りの小ばこ(ハコの漢字が変換できませんでした) 花と香りのエッセンス 監修 中村祥二 求龍堂 2000円+税 」

資生堂の製品研究所の方がお書きになった本で。
その本の名のとおり。
花や木、動物などから採れる香りのエッセンスについて、香りの成分や特徴を教えてもらえる一冊です。

博識です。すごいです
「香り」に興味のある方は、是非、手にとってご覧下さい

沈丁花・・・。モイストポプリにしようとして失敗してしまったのですが。
その、香りの成分は微量で。また、変化しやすいモノなんですね。

ジャスミン・水仙・すみれ・藤・しゃくなげ・ミモザ・ライラック・ラベンダー・もくせい・ローズマリーなどなど。
香る花々の、名前の由来から、香りの成分。その花にまつわるお話が。
盛りだくさんです

並んだ花の名前を見てるだけで、嬉しくなってしまいます

中でも、ローズに関する知識が満載で
・・・いつかは、育ててみたい・・・と、バラ方面への興味もフツフツと燃えてきちゃいました

花だけでなく。樹脂や麝香などの動物の香り。お茶やコーヒーなどの香り。香木にも触れ。

コシヒカリ・・・香る米なんですね。米食いの我が家の指定銘柄は、いつも「コシヒカリ」。確かに、焚ける香りがいいんですね 他のお米だと「しっくり」いかないのは「香り」だったのかなぁ・・・なんて

後半は。さすがに「資生堂」らしく?
香水やオーデコロンの香りの種類やら、調香師の苦労話やらがあり、香料を取り巻く世界を覗く事ができます。

オイルは手首や肘の内側につけて。
10分後の香り(トップノート) 30分後の香り(ミドルノート) 2時間後の香り(ラストノート)があって。
香水をつけた人の香りと重なって、香りが変化していくんだ・・・なんて。

面白いですね

強い香料は好きではなく。デパートの1階は、息を止めて、できるだけはやく駆け抜ける・・・という生活を送ってきてましたが
いろんなお話を読んでいるうちに。
書いてある香水のいくつかを、試してみたくなりました。

「ほー。ほー。」と。感心しながら読める一冊です
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行かずに死ねるか!

2009年04月05日 | 読書
間寛平さんがアースマラソンに出発してから、3ヶ月以上が過ぎて。
今ごろ、どうしているのかな・・・と、時々覗く公式ホームページ

雪の高地を疾走しているみたい。なんとか元気なようで、よかった、よかった。
準備に3年以上もかけ。自分を鍛えあげて、たくさんの人の協力のもと、夢をかなえるために走る寛平ちゃん。

私は、スタートできた時点で。
もう、「いつでも、帰っておいで」と思っている。
「ダメと思った時には、きっぱり辞めて帰ってきてね。」
走り始められた事。最初の一歩が踏み出せた事で・・・もう、ほとんどの事が、達成できてるんじゃないかなぁ

注目されて、期待を背負って走る重さは、たいへんだろうな・・・と思いつつ。

誰に注目されるわけでもなく。
誰に頼まれたわけでもなく。

7年と5ヶ月をかけて、自転車で世界を1週した男がいる。

あばれはっちゃく(ダンナ)と、同じ年齢なんだな
世界87ヶ国。9万5000キロを自転車で旅をした記録がこちら。

「行かずに死ねるか! 世界9万5000km自転車ひとり旅  石田ゆうすけ著 幻冬舎文庫 600円+税」

海外旅行暦1回。5年間のサラリーマン生活でお金を貯め。
占い師のおばあさんに「平凡な幸せな人生を歩む」と言われた事に反発するかのように。
大量の荷物と共に、アンカレジに降り立つものの。
出発するフンギリがなかなかつかない所から話は始まり。

そこから、7年5ヶ月。

「世界一のものを見つけたい」・・・これは、誰かが「これがいい」と言ったものじゃなくって。
自分が、心底思う「世界一」を見つけたい!

アラスカから始まり。ユーコン川をカヌーで下ってみたり。オーロラをみたり。
始めはぎこちなかった自転車旅行も。あちこちで、たくさんの人に巡り会いながら旅は進む。

カナダ・アメリカを南下し。南米では、身包みはがされたり
落ち込んだりしながら。

遺跡や、そこでしか出会えない風景との出会い。
そこで暮らす人との出会い。

アメリカ大陸を横断した後は、デンマークに飛び。ヨーロッパを走りぬけ、アフリカに。

そして、またヨーロッパに戻り、今度は、ユーラシア大陸を横断していく。

「ひとり旅」・・・基本は「ひとり」だけれど、旅先のアチコチで「世界一周」や「大陸横断」をしている日本人と知り合い。時には、チャリンコ軍団を作りながら、走行した地域もある。

旅の後半は、現代らしく。ネットカフェから連絡を取り合って、知り合った人と、また再開・・・なんて場面も。

1冊で世界1周しちゃうので、読む方は、なんだか、申し訳ないような気分になったりして・・・

途中。旅で知り合った友人と。再会の約束をしていたのだが、友人が遭難死してしまい、会えなくなる。

7年5ヶ月の間には。本当にいろいろな出来事があったけれど。

彼は、帰ってきた

後書きの中で。「自転車世界一周というのは、はじめは大冒険だと思っていたけれど。回ってみたら、挑戦している人はたくさんいる」という事に驚き。
でも。彼のした体験は、やっぱり、彼だけの、大きな財産になった、と言う。

小さな事でも。何かに向かって、踏み出す瞬間があって。
その一歩を踏む出す事ができたら。
「できる」事って、たくさんあるんじゃないかな・・・って思える1冊でした
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ももこのトンデモ大冒険

2009年03月26日 | 読書
仕事がら、車の移動が多いのでFMを聞いていることが多いのですが。
時々、聞く番組で。

「時事ニュースを取り上げて、そこから妄想に走る」という、コーナーがあり

好きなんだなぁ

今日は、「どっかの国の人が、宇宙人に会った・・・という記録を集めた本?が発表された」というニュースから。
「宇宙人の世界で、マラソンブームならぬ、UFO競争?ブームが起こる」という設定でのお話が始まったのだけど・・・。

目的地に着いちゃったので、途中までしか聞けなかった・・・残念

酔ってもいなくて、昼間から、公共の電波で妄想・・・すごい楽しい

世の中には、いろいろと。知らないけれど、不思議な世界があるようで。
UFOとか、超能力とか、なんとかパワーとか。科学的には解明されていない世界で。
真剣に信じようとは思わないけど。強く否定もしない。
まあ、あってもいいよね(害がなければ)と。

そんな、ちょっと不思議な世界を垣間見た面白話。

「ももこのトンデモ大冒険 さくらももこ著 徳間書店 1200円+税」

ちびまるこちゃんでおなじみの、「さくらももこ」さん。
トンデモ本ランキング上位を連発する徳間書店の編集者石井さんに、深く感銘し
トンデモ・・・らしい秘密を探る旅に出るエッセイです。

「プレアデス科学の謎」という本の著者に会いに、アメリカ西海岸に出かけ、「あちゃー」という目にあったり。

「グランドファーザー」という本に感銘をうけ、サバイバルスクールに出かけたものの、英語がさっぱりわからず、焚き火してりんごばかり食べてたり。

さくらももこさんが挿絵を描いた「アミ小さな宇宙人」の著者エンリケ・バリオス氏に会いにタスマニアに行ったり。

中国の山奥まで、漢方薬じいさんを訪ねてみたり。
スプーン曲げが出来る人に会ったり。

さくらももこさん。興味の赴くまま、訪ねて歩きます。
興味の赴くまま、取材して歩けるなんて、いいなぁ・・・

一見。とんでもないコトのようですし(中には、とんでもないコトもありますが
とんでもないように思われていても、そんなにとんでもないコトではない・・・なんてコトもあります。

中国の奥地に住む、漢方薬の名人は。
その豊富な知識を活かし、街の人の役にたっていました。
その生活は、つましいものでしたけれど。さくらももこさんは、そこに理想の生活を見ます。

「シンプルでおだやかで明るく正しく、健全な生活の中で自分のやりがいのある仕事をコツコツやってゆく人生というのが本当に私の求めていることだったんだよなぁと、改めて気づかされた感じだ」

不思議な話を追求していく中で。
さくらももこさん。「イメージの力」というのは、とても強いものだ・・・とも感じます。
「いいこと」を祈ったら。「いいこと」が起こるかも

トンデモ世界・・・覗いてみたら。意外にも。きらっと光るものも、みつかるのかもしれませんね。

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寝たきり婆ぁの笑える家族

2009年03月24日 | 読書
お義母さんの調子が悪くなり、入院するまでの間の1ヶ月。
私がした事と言えば、週末に訪問して、掃除と洗濯と、好みのものを調理する事と。
最後の最後で、お風呂の介助とトイレの介助を2回しただけだった。

食事も一口二口。トイレもやっと。
当初は、脱水のための入院で、数日・・・という話だったので。

義父や義弟夫婦を説得し、介護保険の申請に同行し。退院までに体制を整えようとしたのだけれど。
そのまま、お義母さんは、戻ってはこられなかった。

だから、私には、「介護をした」という経験はないし。
長く支え続けている御家族や。
介護される事を、受け止め続けなくてはならない御本人の、本当の苦労はわからない。

誰だって、いつまでも元気で。自分の事は自分でやれて。自分の選んだ人生を歩いていたいにきまってる。
病気・事故・加齢で、それが「ままならなく」なること。
大切な人の介護で、今までの自分の生活と、折り合いがつかず、悩んでしまう家族。

そんな方に。読んでいただいたら、少し、気持ちが楽になるかな・・・と思う本がこちら。

「寝たきり婆ぁの笑える家族  門野晴子 著 講談社文庫 680円+税」

NHK連続テレビ小説「天うらら」の原案となった本です。

著者の門野さんはノンフィクション作家で。
常に、日常の生活の中の問題に、真摯に関わってこられた方。

そんな門野さん。旧家に嫁ぎ、イエ制度の疑問を感じながら嫁を務めてきたが。
姑が急逝されたあと舅(元気なのだが、何もしない)の世話に愛想がつき。
離婚して、舅やダンナの世話から逃れた・・・と思ったら。
元舅が転がり込んできた・・・
「元舅」との、初めは、不自然な。不思議な家族が。だんだんと、お互いに分かち合える存在になっていく。

そして、今度は、自分の「実の母」の介護をする事になった。←ここから、話は始まる。
この前作の「寝たきり婆ぁ猛語録」もあわせて読んでいただくと、「実母」の「猛者」ぶりがわかります。

身体が動かない・・・けれど、口だけは達者で、「親が子を見るのはあたりまえ!」と豪語する母との、介護生活。

大喧嘩をくりかえしつつも、賑やかに、家族の絆を深めていきます。

よく、「実の母だから、そんな風に看れる」と言われるそうですが。
肉親だからこそ、許せない事や、感情のモツレがある。

・・・どちらが「楽」という事は、こと介護には、ないのだと思います・・・

門野さんの介護生活のスゴイ所は、虚弱の母を抱えながらも、他の兄弟姉妹や子ども達を楽しく巻き込み。ヘルパーさんにも頼む所は頼み。時には、近隣の子どもさんを預かったりしながら、賑やかな生活を作り上げた事。

その中で。家族に年寄りがいる風景・・・というのは、孫やひ孫・・・子ども達にとっても、とても情緒的で緩やかな居場所になる・・・という事にも、気づかれています。

もっとも。美しい話の方は、ほんのわずか。
介護は美談ではありません。美談にしてもいけないと思う。

イエ制度にも一家言。「扶養義務」があるのは「血族」なので。
「嫁」が看てあたりまえ・・・の常識には、「ちょっとまったぁ!」

今の、日本の国の。「自己責任」と、エライ人が決めてしまった貧しい介護保険制度の問題も、よくわかります。

いずれ、だれもが、いく道です。

今、介護されている方は、気持ちの整理をつけるのに、参考になると思いますし。
先々、介護しなくてはいけない方にも、一つのモデルになると思います。

門野さん。豪快な文章で、「この婆ぁ!」とか毒つきながらも。根っこに深い愛情があるのが感じられて、清々しい感じもしました。
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俺ルール

2009年03月22日 | 読書
短大から大学に編入し。
卒業と資格取得の為の単位を取るのに必死だった3年と4年。
それだけでも大変なのに、何を考えたか、私は、かなりの人気教授のゼミに志願した。

倍率もすごく。論文で選考されたのだが、その時、私がこの教授に求めていたのは、「わかる」とは、どういうことか知りたい・・・という事だった。

「成長」の過程の中で。人は、どのように「物事」を「認識」していくのか。
そもそも、「わかる」って、どういうコトなのだろう・・・。

その視点が面白い・・・とゼミに入れてもらったのはいいが。

編入のギャップは大きく、基礎知識のない私は、他のゼミ生達が「何をしゃべっているのか、まったく理解できない」日々が続き
そこで「奮起」すればよかったものの、生活費を稼ぐ必要もありバイトにかまけ
結局、いくつかの心理療法を、さらっと学んだだけで、不完全燃焼に終わってしまった。
・・・ちなみに、心理学科ではないので、この知識は「一般教養」に気持ち上乗せした程度のものです・・・。

幼い頃。あんなに遠いと思っていた道のりが。あんなに大きいと思っていた歩道橋が。長く長く感じられた夏の日が。
今は、まったく違って感じられるのは、どうしてだろう。
身体の大きさだけじゃ・・・ない気がする。

「俺ルール ニキ・リンコ著 花風社 1600円+税」

著者のニキ・リンコさんは、幼い頃から周囲との違和感を感じながら育ち、30代になってアスペルガー症候群(知的面・言語面での遅れを伴わない自閉症スペクトラム)と診断された。翻訳・執筆・講演活動を通じて、自閉の内側を語る活動をされている。

この本を読むと、広義の「自閉」の方が、自分をとりまく世界や刺激を、どのように感じ、認識しているかが、想像できる。

著書の中で、ご本人もおっしゃっているが、これが「自閉」の感じ方の、すべてではないし。「彼女の感じ方」なのだろうけれど。

その「根っこ」に、共通点があるのだと思う。

「自閉」の方は、情報の整理が得意ではないという事。
「経験」と「経験」をつなげたり、カテゴリーで「推測する」というコトが難しい。すべてのことが「初回」という感覚。
いったん、インプットされてしまうと、そこからは容易に抜けれないし、抜けれたとしても、莫大なエネルギーを費やして疲れてしまう・・・という。

「花壇の水やり当番になる」
「雨が降っていても、花壇に水をやり、怒られる」
「怒られたので、雨の日は、水をやらなくていいと思う」
「雨の日。教室の鉢植えの水遣り当番はしなくてもいいと思う」
・・・サボった・・・と怒られ、混乱する。

経験の「積み重ね」からの「推測」が難しい・・・この事を、自分が把握したり、他者に理解をしてもらうまで、確かに「生きにくい」事が、たくさんあっただろうな。

ご本人は真剣なのだが、エピソードは、可愛らしいイラストもあって、ふふっと笑ってしまうように描かれている。

「自閉」の方と接する機会のある方は、一度、読まれるといいだろうな。

最近は、「わかる」ってどういうこと?の疑問の他。
「忘れちゃう」ってことも不思議だし・・・まぁ、脳細胞が死んでるからと言われりゃ、そうだけど。
認知症の方々とお話をする機会が多いのだけど。
たくさん忘れちゃうけど、とっても素敵な方もいるし。
そんなに忘れちゃわないけど、見事?な意地悪な方もいて。
いろんなことをそぎ落とした時の「人」の雰囲気が、どうしてそうなってくのかな~なんて、漠然と思う。

「いろんな考え方や、感じ方がある」・・・あたりまえ・・・のようでいて。
やっぱり、あんまり、わかっていなかったなぁ・・・と思える一冊でした。
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キッドナップ・ツアー

2009年03月13日 | 読書
小学校5年生の少女「ハル」は。
夏休みの最初の日、「誘拐」された。

誘拐犯は・・・2ヶ月前から、家に帰ってこなくなった「お父さん」だった。

「キッドナップ・ツアー  角田光代 著  理論社 1500円+税」

「大人」の事情は、わからない。わからない事、教えてもらえない事にイラつきながらも。
少女「ハル」は父親と、海やお寺や・・・野宿まで・・・数日間を共に過ごす。

キッドナップ=誘拐なんだね。誘拐して歩く旅行じゃなくって、誘拐された旅?

結局、ハッピーエンドなのか、そうでないのか。
ハルの家族がどうなってしまうのか。
その答えはでないままだけど。

小学校5年生の女の子と。父親の間には。
反発しつつも、確かな、暖かいものが育まれていきました。

読後。なんだか、よかった・・・って思える話でした

もう、自分の5年生時代は、あらかた、忘れてしまったけれど。

「近所のお節介おばちゃん」を勝手に目指している私。
子ども達には慕われている(多分)ので、公園で遊びつつ、よもやま話をする事も多いのですが
転んだスリ傷の治療から、けんかの仲裁、ちょっとした悩み事の相談まで
いつまでも、子犬のように慕ってくれる男の子(ダンシってヤツ)に比べ。
女の子達は、小学校5年生頃になると、ぐっと大人になってしまい、「よそいき」の顔になってしまう。
見る間に「仲間だけの世界」に行ってしまう。
・・・ちょっと、寂しい

そんな「子ども」と「大人」の間にいる「少女」の気持ちと。
「父親」「母親」「自分」・・・という家族の「役割」から。
一歩、踏み出して。親の事を「人」としても見れるようになるのが、小学校5年ジョシ・・・なのかな?

さらっと読める一冊です
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かもめ食堂

2009年03月08日 | 読書
ずーっと、ずーっと観たかった映画「かもめ食堂」

あれやこれやで、借りに行くのを先伸ばしにしっぱなしだったのですが。
先日、「活! 群ようこ+もたいまさこ 角川書店 1200円+税」を読んで。
ムクムク・・・と観たくなって、ようやく借りてきました。

小林聡美・片桐はいり・もたいまさこ・・・こんな素敵な女優さんが揃ってますし。
原作は群ようこさん。←椎名誠さんの「本の雑誌社」の事務局の姉御だったのが、才能を見初められ、エッセイストになった方なので。椎名フリークの私としては、群さんの本も、かなり読んでいますから。やっぱりハズせない・・・わりに、今頃ですが・・・

そして。かもめ食堂の、メインメニューが「おにぎり」と聞いては。
ほってはおけません・・・(って、ほっといたけど

舞台はフィンランドのヘルシンキ。
小林聡美さん演じるサチエさんは、ヘルシンキの街に、一人で食堂を開きます。
日本食・・・それも寿司でもスキヤキでもない、普通の食堂。
初めは閑古鳥がないてます

片桐はいりさん演じる、分けあり風のミドリさんと知り合い。
ミドリさんは、サチエさんの食堂を手伝い始めます。

そして、もたいまさこさん演じるマサコさん。何故か、空港に荷物が届かず立ち往生してしまい。
この方も、ご縁あってか、かもめ食堂を手伝います。

平穏の中にも。いろんな出来事があって。
「日常」の中で。お話は、穏やかにすすみます。

そして。だんだんと想いが伝わって、お店は賑わいをみせていきます。

「かもめ食堂」が、可愛らしいオープンキッチンのお店で。
壁の水色や。フライパンやお鍋なんかのキッチン用品の可愛いこと
サチエさんのお宅も、いい感じです。
雑貨好きの方には、そんなところも見所かもしれません。

そして、ヘルシンキの町並みや、きれいな景色。

一緒に観ていたあばれはっちゃく(ダンナ)は。自転車と空手が趣味の人なので。
自転車が街を走るたびに、チェックを入れ。
サチエさんが合気道の歩く?練習をしている所では、真似をし・・・
これまた、違う楽しみもあったようです。

さて。「おにぎり」のお話。
かもめ食堂のメインは、「鮭・おかか・梅干のおにぎり」です。

「何故?おにぎり?」の問いに。

サチエさんの思い出話が答えになります。

「おにぎり」って。日本人のソウルフードの根源・・・というか。
想い出が、いっぱい詰まっていませんか?

私も。母が運動会や遠足の時に作ってくれた、海苔で真っ黒な「おにぎり」
大好きでした

そして今。あばれはっちゃくや娘の為に。
おにぎりを握ります。

以前読んだ、佐藤初女さんの本を思い出したりもしました。

誰かのために。想いを込めて。美味しい食事を作る事。美味しいお茶を淹れる事。
そして、それを、受け止める事。

大きな事件があるわけでも。特撮があるわけでもありませんが。

3人の魅力あふれる女優さん達によって描かれた暖かな世界に。
ちょっと幸せな気持ちになれる映画でした。
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とことんおでん紀行

2009年03月06日 | 読書
だもんで静岡(しぞーか)おでん」を読んで。
日本各地を原付バイクで旅しながら、「ご当地おでん」を食べつくした前作を読んでみたくなり。

見つけました!

「とことんおでん紀行 新井由己 著  凱風社 1800円+税」

博多の屋台で「餃子巻き」なるおでんを食べて。
おでんダネの中に、「餃子が入っている!!!」という意外性と美味しさに。
すっかり虜になってしまった新井氏は。
新聞配達用の原付バイクにまたがって、北は北海道稚内から、南は沖縄、国を超えて台湾・韓国まで、その「おでん事情」を探る旅に出かけます。

各地でおでんを食べ。その種類や呼び名の違い。薬味の違いなどを見つけ。
その具の分布している境界線を丹念に探りながら。
地域と地域の「つながり」や。地域の文化との関わりまでを調べていきます。

おでんの種類で言ったら。北海道の稚内から日本海側は「マフラー」と言われる、おおきな揚げかまぼこが入るんですね。

「揚げかまぼこ」の呼び方も各地で違い。「さつま揚げ」「てんぷら」「ハンペン」「つけ揚げ」「チキアギ」なんて。
同じものでも、地方でいろいろな呼び名。

つけダレも。「味噌おでん」でも。「からし味噌」「しょうが味噌」なんて所もあれば。「豆味噌」もタレの所もあれば、「豆味噌煮込み」してる所もあり。
「しょうが醤油」をかける所もあれば、白味噌をつける所あり。
つけ方も、「お好みで」のところから、「味噌ダレがなくっちゃ!」とたっぷりが当たり前の地域あり・・・。

ダシも。黒潮地域では「鰹」だったり。北前船のルートでは昆布だったり。
味噌も、各地の農業事情にも触れ、そのつくり方の違いにまで言及し。
どうしてその食材を使うに至ったのか・・・の考察までされています。

「転勤族」が多い地域には、「転勤前にいた地域」の味が伝わっていたり。
港の交流がある所は、似た味が伝わっていたり。
韓国や台湾には、日本人の「侵出」によって伝播して、その地域の独特な発展をしたりもしていました。

「原付バイク」という。「ゆっくりペース」で走ったからこそ、気づけた「境界線」

「おでん」って、「おふくろの味」なんですね。

つぶさに「おでん」を食べ歩きながら、「食文化」を考えられる一冊です
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ボクの学校は山と川

2009年03月05日 | 読書
「おくりびと」の滝口監督の最新映画「釣りキチ三平」。
オスカー効果もあって。あちこちで、宣伝されて、取り上げられてますね
・・・オスカーと言えば。雰囲気がとても好きな女優の余貴美子さんが、レッド・カーペットを歩いていたのを見て、ニヤニヤ喜んでしまいました
きれいだったぁ・・・

もとい。釣りキチ三平。テレビアニメで見て、記憶に残っている方も多いかと思います。

その原作者、矢口高雄さんの。
少年時代の話が、書かれているのが、この本。

「ボクの学校は山と川 矢口高雄 著 講談社文庫 640円」

もう一冊。

「ボクの先生は山と川 矢口高雄 著 講談社文庫 620円」

ここでは詳しく書きませんが、漫画家を志していた高雄少年の手塚治虫氏への熱い想いが綴られた「ボクの手塚治虫」も、いい本です

矢口高雄・・・本名高橋高雄氏は1939年(昭和14年)生まれ。秋田県平鹿郡増田町の。街の中心から20キロも離れた集落で育ちました。
高校卒業後、12年の銀行員生活を経て。30歳で上京し、漫画家としてスタート。「幻の怪蛇・バチヘビ」という作品で、「ツチノコブーム」を巻き起こした事でも知られています。

この2冊の本は。
秋田の雪深い寒村で。
戦後、物はなく不自由で苦しかった時代の。
苦労の合間にある、人とのつながりの暖かさや。
高雄少年が、自然の中で。めいっぱい工夫しながら遊び、学び、熱中していきながら。
成長していく様子が、綴られています。

その様子が漫画でも挿入されているので、とても読みやすいです。

昭和14年生まれ・・・といったら、あばれはっちゃくのお父さんと同い年なんだ

道草を食う・・・本当に、学校からの帰り道。つつじの花を食べたり、山菜やアケビ、桑の実を食べたり。
虫取りに夢中になって、網を片手に野原を駆け回り、とった昆虫を図鑑で調べたり標本にしたり。
はたまた、近所の人に釣りを教えてもらい。糸も蛾の幼虫から作って針も囲炉裏で縫い針を加工して作り。こっそり人様の家の大きな鯉を狙ってみたり。

大人は仕事で忙しく。子どもにかまうヒマなどないくらい、働きづめだったけど。
子ども達には、子ども達の君臨できる豊かな世界がありました。

学校では、戦後教育の勢いのあった時期で。教材も何もない中で。
教師達もまた、さまざまに工夫して、子ども達と一緒に学んでいきます。
高雄少年が影響された、個性的な先生との関わりも。
とても、暖かいものでした。

田舎ならではの悲しい話もあります。
嫁の努めの大変さ。弟が病気になって、医者にもかかれず死んでしまった話。
囲炉裏端で、常に火が家の中にある事の危険。
地域の人との関わりの、よい所と、苦痛な所も。
丁寧に描かれた漫画と同じく、誠実に描写されています。

矢口高雄さんの。リアリティあふれる絵は。
豊かな自然と、がっぷり対峙して、遊びつくして来たからこその絵なんだなぁ・・・。
労働の厳しさと楽しさ。生きていく事の大変さと楽しみ。人のつながりの温かさ。
そんな経験と思いを積み重ねての、作品なんだなぁ・・・と。

しみじみ思いました。

今。子どもだけの。開放された世界って、どんどん無くなっちゃってるよなぁ。
干渉は、いっぱいしてるけど・・・

たくさんの。自分が熱中できる経験と。幸せな思い出と。熱い人との出会いを。
娘にも。私にも。
もっと、もっと。求めていきたいなぁ・・・と思える2冊でした。

映画の前にも、オススメです
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春になったら苺を摘みに

2009年02月13日 | 読書
バックトゥーザフューチャーを。
何故か、2を観て、3を観てから1を観た私・・・
特に「2」のお話は、1を観てないから、非常に「微妙」だった・・・という記憶がある。

でも。こんな変な見方をしたおかげ?か。
「1」を観る時には、すでに全編を俯瞰したような立場で観れたので。
ちょっと引いた立ち位置で見れて、とても楽しかった

梨木香歩さんのエッセイ・・・。
本来、初めに書かれたこの本から読んだのではなく。

初めに読んだ2編目の「ぐるりのこと」で、深みにハマり・・・。
3編目の「水辺にて」で、ようやく浮上し・・・。
そして行き着いた?のが、この本。

「 春になったら苺を摘みに  梨木香歩  新潮社 1300円+税 」

梨木さんが20年前、留学していたイギリスの。
下宿していた家から車で2時間程の土地に、再び滞在し。
ホストファミリーだったウェスト夫人や下宿人達との回想から、エッセイは始まる。

彼女が、神学を専攻していた事。
イギリスにはシュタイナーの教師養成学校に入りたくて、まず語学を学ぶために留学した事。

そんな彼女のバックボーンが見えて。
ああ・・・と。いくつかの感情が整理できた。

シュタイナー・・・。
学んだはずだが、若くて、現実主義で、変化を好んでいた頃の私には、解らないまま通過してきたなぁ。
「そこ。いきますか。」・・・と。ちょっとした親近感と疎外感と。尊敬。

イギリスで知り合った、思慮深い人達との交流。
ナイジェリアの、王になった人の話。
国が違う。思想が違う。宗教の違う人との関わりの中で。
「違う」けれども、「共感」できるもの・・・を探す。

戦争や人種差別・・・について。
やはり、出会いの中で。
思索した思いが綴られている。

従軍慰安婦やニューヨーク同時多発テロにも触れながら。
「個人」と「国」
ある日、突然、抗いかねぬ大きな力で、人生をねじ伏せられる・・・非条理への怒り。

ガザの攻撃の後。ガザに家族がいる留学生の方が言っていた。
「ただ。ただ。家族や友と一緒に過ごし。働き。語り合い。そうしたいだけなのに。」
という言葉を思い出し、せつない気持ちになりました。

彼女が。何故、「境界」というものに、惹かれているのか。
この本を読んで、ようやく、わかったような・・・。

あ・・・。でも。やっぱり、年代順に読んだ方が、すっきり心に入ると思いますよ



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