竹原BLOG:奈良民話祭り ― グリム童話・メルヘン・語りの文化 とっておきの話。 

夏の奈良民話祭り:8月5日(金)午後3時より奈良町物語館で4回公演!
奈良燈花会に行きがてら、ぜひ来てくださいね!

春日若宮おん祭の神さんはシンデレラ姫のように夜中12時までに帰宅するってご存知?

2010年12月20日 | 日記
先週金曜日、つまり12月17日は、奈良の年に1度のお祭「春日若宮の875回目おん祭り」でした。
奈良のみなさま、今年もお渡り式を見られましたか?
下記の写真は今年の「お渡り式」の様子です。


第一番 日使(ひのつかい) 第二番 神子(みこ)


第七番 競馬(くらべうま)

おん祭りといえば、平安から江戸時代までのさまざまな時代衣装をつけた千人余りの
行列「お渡り式」を連想されますが、
おん祭りの一番の見どころは、
若宮をお迎えする「遷幸の儀」と若宮をお還しする「還幸の儀」にあります。

12月17日の午前0時になると、境内のすべての明かりが消される。
まず、神官が若宮の社殿の戸をトントンたたかれ、若宮の神さんが社殿からお出ましになる。
多数の神官が捧げ持つ榊に幾重にも囲まれ、白布で包まれた若宮の神さんは、
約1キロ離れたお旅所へ向かう。
ただひとつの松明(たいまつ)の明かりを頼りに進む。
その際、「おおー」という神官のミステリアスな声が闇に響き渡る。
磯笛にも似たその声を聞くと、
参拝に来た人々は、ほんとに神さんが臨在しておられるのだとの
実感を持ち、厳かな、恐れおおい気持ちになる。

この音を聞くと、古代日本人の神観念を今に伝えているのだと深い感動を覚える。
伊勢神宮の20年に一度の遷宮の遷御(とぎょ)にも同じような祭礼が行われているという。

若宮の神さんがお旅所に着き、黒木の仮殿にお入りになると、
神饌(お供え)が捧げられる「暁祭」がある。

夜が明け、そして午後になると、
お渡り行列が県庁前から近鉄奈良駅からJR奈良駅前を回り、
後は三条通りを東に向かう。
そしてお旅所に順次到着する。

午後2時半からは「お旅所祭」。
黒木の仮殿の前に芝舞台があり、午後3時半ころから午後11時ころまで、
神楽(かぐら)、東遊(あずまあそび)、細男(せいのう)、田楽、猿楽、舞楽など、
さまざまな芸能が奉納される。

若宮の神さんは芸能を通じて人々と楽しいひと時を過ごされ、
午後11時を過ぎると、もとの社殿へお帰りになる。
いわゆる「還幸の儀」である。
シンデレラ姫と同じで、夜中の12時を過ぎてはならない決まりになっている。

要するに、正味24時間だけ、若宮の神さんは山中の社殿を離れ、
人里に降りられ、五穀豊穣を祈り、村人たちと楽しい一日を過ごされるというわけである。

みなさん、是非とも、夜中の「遷幸の儀」か「還幸の儀」をみてください。
来年は12月17日は土曜日なので、じっくり見れますよ。
古代の日本人の神観念を今に伝える「厳粛なる原初的な祭礼」を体験してください!
冬の夜半は寒いので、厚手のコートと、はるカイロをお忘れなく!
寒いけど、見る価値はおおいにありますよ!


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