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トラブルシューター

私の修理・製作体験記(茨城・県西おもちゃ病院・JA7FJP/1)

WL500フロントエンド・専用IC化で性能向上

2013-08-20 14:40:00 | アマチュア無線

 以前から修理依頼されているLUXMAN製のFM/AMチューナーWL500だが、何回か修理完了として戻すが、依頼者の満足が得られない様で、また送り返していただいた。(その間、私の同型機を貸出ししてある)
今回、事前に3SK39が入手出来たので交換するが、感度が悪い。手元にある類似のT-550はST/MONO切替レベルが36dB-EMFに対し、本機は50dB-EMFと14dBも悪い。
局部発振もトランジスタのSE3001をヤフオクで入手した古いが新品のに交換。
発振周波数をモニターすると、本来無音のはずが異常発振した様な異音が聞こえる。
発振回路のコンデンサには裸円盤のセラミックコン(チタコン)が使われているが、これの容量抜けが考えられるので、手持ちのセラコンに付け替えたところ無音となった。
どうやら、この異常発振が依頼者からの申告である受信ノイズとなっていた可能性がある。
これで発振は正常になるが、受信感度は変わらない。
FETを交換したり、抵抗定数を変えたり、コイル接続タップを替えたりAGC電圧を可変したりしてみるも大して変わらない。
Wl500fendkaiImg_5576_r最終手段用と入手しておいたFMフロントエンド用IC(TA7358APG)のRFアンプ部分のみRF用に接続したが改善しないので、フロントエンド回路をそっくり置き換えることにした。ICの動作電圧は1.6~6Vなので、12Vから3端子レギュレータ(78L05)で5Vを供給することにする。
TA7358APはサトー電気で@76円、イーエレでTA7358APGが@70円で入手可能。
これも最初はレベルが低かったり、寄生発振したりで、カットアンドトライの結果、最終回路の様になった。コイルがオリジナルでは誘導結合となっているが、感度が悪いので8PFの容量結合とした。
Img_5577_r_2配線の長さが気になったが、これによる発振等は無かった。だが、動かすとレベルが変化するのでポリイミドテープで固定、ICもロックタイト460で固定する。写真に見える4700PFは円盤型パスコンの容量抜け対応として付けたもので、関係は無いかも知れません。
シールドケース(裏面に絶縁テープ貼り付け)を付けてトラッキング調整してみたが、ギリギリ調整出来、感度もST/MONO切替レベルが25dB-EMFとT-550より11dBも良くなった。
AGC機能は無いが、ミキサにダブルバランスド回路を使用しているので二信号特性が良く、最大レベルでも混変調は無さそうだ。WL500はアッテネータのON/OFFが出来るので、問題が有ればONすれば良い。アンプを接続してヘッドホンでモニターしているが、非常に感度が良く、雑音も無く、音質も問題は無い。
これだと、ANT入力端子に指を触れるとローカルFM局がステレオで受信出来る。
ある意味、私の好きなヤドカリ・フロントエンドの出来上がりである。
ICの性能が確認出来たので、アマチュア無線への応用も楽しみである。
このICを使用したSSBトランシーバの記事がある。
尚、本改造は専用の測定器、高周波の知識が必要ですので、もし挑戦する方は、それを踏まえて自己責任で対応願います。
【参考:T-550測定結果】
IF-OUT電圧(P-P)
入力(dB-EMF)99  90  80  70  60  50  40
IF出力(mV) 245  205  145   78  29.4 11.8  4.8
AGC電圧:99dB入力時-2.56V 無信号時0mV
(AGC電圧は高周波増幅FETにより大きく異なり、WL500は無信号時+となる)
ステレオ切替入力レベル:36dB-EMF(IF出力=1.7mVP-P)、メーター指示は「1」

コメント
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