沖縄を考える

ブログを使用しての種々の論考

詩398 沖縄からのメッセージ 30

2013年04月07日 22時54分07秒 | 政治論
 沖縄県国頭(くにがみ)郡今帰仁(なきじん)村は、米軍基地も置かれてないし、今のところ上空をオスプレイも飛ばないようだが、昨年夏、村長自ら先頭に立って普天間飛行場「オスプレイ配備反対」の決起集会を催すくらいには、十分に沖縄県民の痛みを認知している地域だと、筆者は思っている。
 当然のように、沖縄戦の惨禍はここでもみられた。その種々のエピソードは古老の話として時折耳にすることがあるが、正確なところは概して文献に拠らざるを得ない。此処は、県北地方の西に突き出た本部半島の半分程を占め、名護市辺野古が太平洋に東面するのに対し、反対側の東シナ海に北面していて、有名な世界遺産、今帰仁城(グスク)跡を山懐にいだき、隣村本部町の、ジンベイザメで知られる水族館を持つ、海洋博公園に通ずる国道沿いに位置する村(そん)である。
 海を隔てた古宇利島へ行く、屋我地島からの古宇利大橋や、最近完成した今帰仁村からの橋の上から見るまさにエメラルドグリーンの、晴れた日には透明な海面を見せる海原の絶景は、ここを通る観光客も思わず車を止めて眺めいる見事な「チュラウミ」を展開している。
 その今帰仁村の県立高校である北山高校が抜群の速球投手を擁して県春季高校野球を制し、晴れて九州大会への代表権を獲得したのだが、ここを母校とする芥川賞作家目取真俊氏は、gooブログでもお馴染みの「海鳴りの島から」と銘打ったブログにおいて、「沖縄問題」をはじめとする政治・文化・教育等にわたる問題点の指摘、追究、あるいは、種々の情報報告など極めて精力的に潤筆を揮われている。
 一昨年の大震災後も本土被災地に飛んで、とりわけ福島の惨状を熱心に報告され、また最近は「高江の様子」と題して、名護市の隣村東村にある高江のヘリパッド建設阻止座り込みに日々参加し、その活動と国による圧政の実態をつぶさに報告されている。
 本土の半可通状態にある日本人は、あの「戦争」がここでは今まさに日常近辺に普通に有り、そこから「非戦」が当然に望まれ、戦時の悲惨な経過と結果に打ちのめされた郷土の人々はじめ多くの人間の姿に思いを馳せ、辺野古の海岸に「座り込む」おじいおばあの血を吐く切実な思いに耳を傾け、アメリカ合衆国と日本国が、その化け物じみた権力を振り回して、沖縄いじめに没頭している醜悪な実態を垣間見るためにも、氏のブログはじめ氏の作物に触れて欲しいとつくづく思う。(つづく)

詩398 沖縄からのメッセージ 29の9

2013年04月07日 09時59分39秒 | 政治論
 手厚いVIP待遇(日米地位協定)のうえに、金のかからない(思いやり予算)沖縄米軍基地以下駐留米軍に関し、自国財政難の折から国防費の大幅削減が至上命令となっている状況下、諸在外基地の縮減傾向を醸しながらも何くれとなく居座り、県民挙げて突き上げる沖縄の反安保思潮にもかかわらず、ゴリ押しの状態を維持し続けている唯一の根拠(沖縄海兵隊に関し最早かならずしも戦略的必要性にないことはとうに暴露されている)は、ほかならぬ日本政府官僚どもの得体の知れぬ安保堅持姿勢と故知らぬ旧来からの沖縄差別にほかならない。
 そこには、既に世界の警察たる大義名分も、9.11以後イラク攻撃の欺瞞を晒して喪失し、冷戦終焉以後のレゾンデトル失効実態にある産軍複合戦争経済主義継続という、恐らくは名実ともに「世界性」の頂点に立った者のみが味わう自家撞着を、自ら凝視せざるを得ないアメリカ合衆国の苦悩が隠されている。
 嘘つきブッシュのイラク戦争を両手を上げて支持した小泉の犯罪的軽薄さという、あの愚民政治時代が象徴的に日米の劣悪な関係性を示しているが、その前後においてもこの国は、彼ら自身の言う「敗戦国」縛りにどこまでも忠実に自虐的政治手法を推してやまなかった。
 明瞭に言えることはこの国がアメリカ合衆国国家安全保障政策に依拠する、世界謀略諜報戦略の歯車そのものとなり、独立国とは名ばかりの二番煎じな傀儡政治に明け暮れているということだ。
 嘉手納以南6施設返還計画とやらは、多くの点で沖縄に対しては「愚策」を意味するのだが、彼らは「県民の理解」など期待していないし、本土の日本人一般に向け「我々は沖縄の負担軽減にも道筋をつけますよ」と嘘のアピールをし、参議院選用選挙ポスター作りを先取りしたわけだ。
 本土の日本人は、こうした策略に騙され「これでやっと沖縄にも明るい未来が開けてきた」と勘違いし、根拠のない期待感だけで上向き傾向を醸す市場原理に乗せられ、実態に目を瞑る浮薄な愚民化を、マスコミ・マスメデア挙げて成し遂げようという方へ流れていく。
 こうして醸成された一億総翼賛国家大勢を利用するのが安倍政権の憲法改悪、共通番号制、再軍備(核武装)、による「戦争ができる人殺し礼賛の、美しい、犯罪者集団に監視された、いつでも徴兵できる国」構想のわけだ。(つづく)