犀川の河川整備を考える会

犀川の辰巳ダム建設を契機に河川整備を考え、公共土木事業のあり方について問題提起をするブログ。

辰巳ダム裁判>裁判で技術の議論をする意味 つづき10

2016年02月10日 | 辰巳ダム裁判
基本高水が大きいことについての技術的物差し

基本高水が大きいとこれを相応して技術的に実現するための諸施設が必要となる。これらを造るためには費用がかかるので、この費用が妥当なものかどうかを測る経済的物差しがある。

(基本高水が過大であると)
 辰巳ダムにおいて、大きすぎることに対する反論は、経済合理性の観点からすると、以下のとおりである。
 石川県の主張は、「基本高水ピーク流量1750立方メートル毎秒として辰巳ダムを造ることで費用対効果(=辰巳ダムの治水効果÷辰巳ダム事業費用)は、3倍以上になる、投入した費用の3倍以上の見返りがある」としている。
 これに対する反論は、つぎのとおり。
 基本高水ピーク流量1750立方メートル毎秒は、流量確率評価によれば、約800年確率となる。これを石川県が作成した被害軽減額の表に代入すると事業効果は半減し、ダム建設費用は変わらないので、費用対効果は0.5にしかならない。具体的に言えば、240億円投資して120億円の見返りしかないということである。投入した費用に対して半分の事業効果しか得られないと言うことは、資源を投入して社会インフラを造り、豊かさを享受できる社会を作るつもりが、豊かさを実現するのではなく、資源を消費して豊かさが縮小し、社会が疲弊していくということになることである。

(独自の考えだと強弁されると)
 想定洪水が発生した場合の被害額に発生確率を乗じることで、見合った期待値(事業効果)がわかるので、発生確率が肝心要であるが、1750立方メートル毎秒が800年確率値というのは独自の考えで、最新の水文統計学手法によれば100年確率値だと強弁されると旗色が悪い。
(つづく)
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