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論理破綻の原発戦略

2012-09-16 | つぶやき

政府は14日、「革新的エネルギー・環境戦略」の中で「2030年代の原発稼働ゼロ」を掲げる一方で、核燃料サイクルに変更はないと、全く矛盾する方針を表明している。実際、使用済み核燃料の再処理事業は継続することを掲げ、15日には、大震災後に建設が中断していた大間原発(青森県)と島根原発3号機の建設容認を表明した。これでは、原発ゼロは衆院選を控えての人気取りパフォーマンスと言われても仕方ないであろう。●今回、高速増殖炉「もんじゅ」の実用化を断念したことは、従来の核燃料サイクルは破綻したことを意味している。核燃料サイクルとは、使用済み核燃料を再処理して、プルトニウムを取り出し、それを高速増殖炉で燃料として利用するものだ。しかし、高速増殖炉の実用化のメドが立たないため、プルトニウムをMOX燃料に加工して、通常の原発で部分的(1/3以下)に使用する「プルサーマル」を始めた。プルサーマルは通常運転より危険性が高いが、日本は使い道のないプルトニウムを持たないことが国際公約となっているため、やむを得ず始めた背景がある。そのように処分に困るようなプルトニウムをわざわざ作るために、使用済み核燃料の再処理事業を継続するのだろうか? 今後の核燃料サイクル(高レベル放射性廃棄物の最終処分方法を含め)の見直しもないまま、原発戦略を打出すことは拙速と言わざるを得ないあろう。●今回、建設再開を容認した大間原発は、最初から100%MOX燃料を使う原発(世界初)として設計されているそうだ。その点では、プルサーマルよりリスクは低いと言えるようだが、それでも、プルトニウムはウランの数十万倍もの毒性があるため、MOX原発の危険性ははるかに高いようだ。●再処理事業継続と言っても、六ヶ所村の再処理工場は、まだ、事業開始のメドが立っていないのが実状で、今年10月に予定していた試験運転終了も来年10月まで1年延期(10回目の延期)されることになったようだ。今、日本にあるプルトニウムは再処理をイギリス、フランスに委託して得たもので、長崎型原爆に換算すると4000発分にもなるそうだ。 ⇒ 参考文献:「原発のウソ(第5章)」(小出裕章著)
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