マイブログへようこそ

気が向いたときに気が向いた話題でつぶやきます

6つの小前奏曲(BWV933-938)

2020-01-30 | つぶやき

バッハは日常的にいろいろな目的のためのインスピレーション源として小さくシンプルな作品を沢山持っていたに違いないという。この6つの前奏曲はバッハ自身の時代にはセットとして保持されていなかったが、1790年にバッハの息子のカール・フィリップ・エマニュエルの財産のなかに「クラヴィア初心者のための6つの前奏曲」の言及があり、また、バッハの最後の生徒の1人であるヨハン・クリスチャン・キッテル(1732-1809)はこれら「鍵盤楽器初心者のための」6つの前奏曲の彼自身によるコピー譜を所持していたという。それ故、このセットはバッハの生徒たちのための教材として役立ったという。同時に、バッハはこのタイプの小作品の貯えをより大きな作品を作曲するために利用したそうだ。例えば、前奏曲ハ短調(BWV934)はフランス組曲ハ短調(BWV813)のクーラントと明らかにうり二つであるという。 ⇒ https://www.bachvereniging.nl/en/bwv/bwv-933-938/

Bach - Six little preludes BWV 933-938 - Alard | Netherlands Bach Society

参考までに、フランス組曲ハ短調(BWV813)のチェンバロ演奏も以下に引用する
Chiara Massini - J. S. Bach, Französische Suite in c moll, BWV 813


ゴールドベルク変奏曲(BWV 988)

2020-01-20 | つぶやき

「ゴールドベルク変奏曲」というタイトルはバッハが付けたものではなく、この作品を取り巻く逸話から来ているという。それは、不眠症を抱えていたロシア大使ヘルマン・カール・フォン・カイザーリンク伯爵が彼のハープシコード神童であるゴールドベルク(バッハの息子ヴィルヘルム・フリーデマンの13歳の生徒であった)に演奏してもらうべく、バッハに暇つぶしのための心地よい音楽を依頼したというもの。バッハとカイザーリンク伯爵とのつながりはもっともらしいが、ゴールドベルクの関与はあまり確実ではないそうだ。バッハはバロック時代の最も表現力豊かな一連の変奏を作曲するにあたり、おそらく自分自身を念頭に置いていたであろうという。バッハの付けたタイトルは「Aria mit verschiedenen Veränderungen(アリアと種々の変奏)」であり、1741年にバッハの百科事典的なクラヴィール練習曲集の第4巻として出版されたそうだ。なお、アリアは1725年のアンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳に既に登場していたそうだ。

●30の変奏は大きく2つのグループに分割され、第16変奏のフランス様式のグランド序曲で旋回し、そして、3つの変奏からなる10のクラスターに分割されている。10のクラスターは全て同じパターン(キャラクターピース, virtuoso duet、およびカノン)に従い、カノンは独自の構造を持つ。最初のカノン(第3変奏)は同度のカノン、2番目のカノン(第6変奏)は2度のカノン、3番目のカノン(第9変奏)は3度のカノン、、、、9番目のカノン(第27変奏)は9度のカノン、そして、10番目のカノンである筈の第30変奏では一種の軽快なメロディーであるクオドリベット(バッハのリスナーはすぐに2つの民謡を見つけることができるであろう)が現れるそうだ。また、10クラスター/3変奏という分割は偶然ではなく、聖書の法則(十戒)と神の性質(三位一体)への言及と見なすことができるという。 ⇒ https://www.bachvereniging.nl/en/bwv/bwv-988/

Bach - Aria mit 30 Veränderungen Goldberg Variations BWV 988 - Rondeau | Netherlands Bach Society

(関連:2012/3/25マイブログ


カンタータ BWV65

2020-01-15 | つぶやき

「人々シバよりみな来たりて」というタイトルの教会カンタータ。バッハはライプツィヒでの最初のクリスマスサイクルをこの作曲で締めくくったそうだ。(初演は1724年1月6日(顕現節))バッハは、生まれたばかりのイエスを見るために東方(シバはおそらく現在のイエメンのどこか)からベツレヘムにやってきた3博士のエキゾチックな起源をオリエンタル・サウンドで描いたという。 ⇒ https://www.bachvereniging.nl/en/bwv/bwv-65/

Bach - Cantata Sie werden aus Saba alle kommen BWV 65 - Rademann | Netherlands Bach Society


半音階的幻想曲とフーガ(BWV903)

2020-01-10 | つぶやき

半音階的幻想曲とフーガは当時既に伝説的であったが、おそらくバッハが1723年にライプツィヒに行く前に、ほぼ確実に即興として始まったであろうという。「半音階的」という形容辞は3声のフーガを参照しており、そのテーマは途中で調性がしっかりと確立されるような神秘的な半音階で動くという。伝記作家のフォルケル(1749-1818)は「バッハが即興演奏したとき、彼は24のキー全てに力をもっていた、彼はそれらでやりたいことは何でもできた」と何度も繰り返したそうだ。バッハは本当に鍵盤楽器の魔法使いであったという。 ⇒ https://www.bachvereniging.nl/en/bwv/?keywords=903

ここでの演奏楽器はクラヴィコード
Bach - Chromatic Fantasia and fugue in D minor BWV 903 - Van Delft | Netherlands Bach Society


パッサカリアとフーガ ハ短調(BWV582)

2020-01-09 | つぶやき

この作品はバッハの若い頃の作品であるが、彼の天才は明白だそうだ。変奏作品としてバッハが若い頃に聞いたことのあるものを超えているという。この作品の最初のコピーはバッハの兄ヨハン・クリストフによって1706~13年の間に作成されたという。1705年にバッハは彼の変奏作品に間違いなく最も大きな影響力を持っていたブクステフーデを長時間訪問したことから、バッハが旅行から戻ってすぐにパッサカリアを作曲したと結論づけるのは論理的だろうという。 ⇒ https://www.bachvereniging.nl/en/bwv/bwv-582/

Bach - Passacaglia in C minor BWV 582 - Smits | Netherlands Bach Society

(関連:2016/7/16マイブログ


オルガン協奏曲 ト長調(BWV592)

2020-01-08 | つぶやき

聴いてすぐに分かるように、この曲はバッハのオリジナルではなく、ワイマール時代のバッハの雇用主の甥にあたるヨハン・エルンスト・ザクセン-ワイマール王子(有望なヴァイオリニスト&作曲家であったが18歳で亡くなった)が作曲したヴァイオリン、弦楽、通奏低音のための協奏曲をオルガン独奏曲に編曲したものであるそうだ。ワイマール時代、1713年頃にバッハが編曲したオルガン協奏曲は5つあり、そのうち2つ(もう一つはBWV595)はエルンスト王子の作品が原曲であり、3つ(BWV593、594、596)はヴィヴァルディの作品だそうだ。ヴィヴァルディの革命的な弦楽協奏曲集である「調和の霊感」が1711年にオランダで出版された時、暫くオランダに住んでいたエルンスト王子もすぐに協奏曲の作曲に取り掛かったが、バッハは新しいイタリアのジャンルを詳細に把握するために編曲することから始めたそうだ。 ⇒ https://www.bachvereniging.nl/en/bwv/bwv-592/ 

Bach - Concerto in G major BWV 592 - Van Doeselaar | Netherlands Bach Society

Bach - Concerto in C major BWV 595 - Te Lindert | Netherlands Bach Society

●BWV595の演奏の新バージョンは2021/3/15マイブログ参照。

次の曲はヴィヴァルディの2つのヴァイオリンのための協奏曲(「調和の霊感」op. 3 no. 8, RV 522)からの編曲
Bach - Concerto in A minor BWV 593 - Smits | Netherlands Bach Society

次の曲はヴィヴァルディの2つのヴァイオリンとチェロのための協奏曲(「調和の霊感」opus III no. 11、RV 565)からの編曲
Bach - Concerto in D minor BWV 596 - Van Doeselaar | Netherlands Bach Society