メキシコ・カンクンで11/29に開幕した2013年以降の地球温暖化対策(ポスト京都議定書)を議論するCOP16(国連気候変動枠組み条約締約国会議)は今後の交渉の基礎となる「カンクン合意」を採択して閉幕した。合意のポイントは①COP15で纏めた「コペンハーゲン合意」の内容を正式に採用、②先進国は削減目標を掲げ、排出量を毎年報告、国際的な検証を受ける、③途上国は20年までに削減対策を取らない場合と比較して排出量を減らし、国際的な検証を受ける、④途上国支援のため「グリーン気候基金」を創設する、⑤法的拘束力のある枠組みにするかは、(米国や中国の反対で)明記せず、⑥京都議定書の延長議論は空白期間が生じないよう早く結論を出す。(実質的に来年のCOP17@南アフリカに先送り)また、締約国は13年以降の削減目標に同意しない権利がある。(これは日本の要請で盛り込まれた)●今回、各国が妥協を重ねて合意にこぎつけた背景には、COP15での反省を踏まえ、議長国メキシコが「秘密文書もなければ秘密会議もない」と透明性重視の運営に徹したことがあるようだ。また、国際的な検証制度の創設をめぐる米・中の対立では、インドが仲介に奔走し、独自の検証制度を提案し、最終的に中国を説得したという。●日本にとって最悪事態の京都議定書の延長が取り敢えず回避され、米、中や途上国が加わる新し枠組みに向けての交渉のベースが合意されたことは、一定の前進があったといえる。とは言え、決裂回避を優先して対立点の解消は先送りであり、来年のCOP17が正念場となることは間違いない。 ⇒ http://mainichi.jp/select/seiji/news/20101212ddm002030117000c.html、http://www.asahi.com/eco/TKY201012110196.html
京都議定書の延長で日本は強硬に反対し、会議の建設的雰囲気を壊すと非難を浴びたが、日本の主張は正論であり、最後まで一貫した立場を取ったことが、逆に、新たなより建設的な合意を後押ししたとも言えるのではないか。
京都議定書の延長で日本は強硬に反対し、会議の建設的雰囲気を壊すと非難を浴びたが、日本の主張は正論であり、最後まで一貫した立場を取ったことが、逆に、新たなより建設的な合意を後押ししたとも言えるのではないか。