MY研究所

(えむわいけんきゅうじょ) ピアノの先生の日常と、音楽教室や音楽についてのお話。

聞き比べ

2009年03月11日 | Weblog

先日のお休みに
他の教室の、合同発表会を聴いてきました。
        
同じ教室の生徒さんばかりなら
プログラムの曲がダブることは、あまり無いのですが
そこは、先生1人当り生徒さん1人か2人という
本当に「合同」なので
何曲かは、同じ曲を弾く人が、2・3人いたりするという
大変珍しいプログラム。

ただし、生徒さんを参加させる先生の方も
曲が重複しそうだな という覚悟をし、
それぞれこだわりを持って仕上げてきていますから
「上手い・下手」という違いではなくて
ここにこだわりました」という演奏が聴け
なかなか興味深かったです。


例えば。
ある変奏曲を、先生の違う3人の生徒さんが弾いた場合

1人目→美しい音色で、歌うタイプ。


2人目→大きな流れに乗って、弾けるタイプ。

3人目→整然と、端正に演奏するタイプ。
    それぞれの変奏を、それにふさわしいテンポで
    最後まできちんと弾けたのはこの子だけ。

という感じで、それはもう、三人三様。
どの子も上手だけれど、上手さのポイントが違って
誰が一番上手かと聞かれたら、困るような演奏でした。
        
       
それぞれの先生の「こだわり」もあるでしょうし
その生徒さん自身の個性もあるのでしょうね。
同じ先生の生徒さん同士だと、
演奏が似ていることもあるのですが

教える側の人間としては、やはり
  その子の個性を生かしていけるように心がけて、
  レッスンをしていきたいなあ、
と思った1日でした。

失敗しても平気

2009年03月10日 | 音楽教室
昨年、こちらのクラスに移動してきた生徒さん、
持たされていたテキストが、実力より高すぎて
身動き取れない状態でした。
                
というわけで
その時使用していたテキストを一時中断し
2段階くらい前の別のテキストを使って
(↑同じシリーズの本だと後退感があるから)
わかっていない部分の見直しと
おさらいを兼ねてレッスンをしていたのですが

現在、大変いい調子です

全く手も足も出ない内容ではなく
 自分で理解し、練習できる
間違えても、ちょっと気をつければ直せる
これくらいの段階が、負担になり過ぎず
本人も練習しやすいのですね。

さらに、そのままだと易し過ぎる部分に関しては
こちらで
「じゃあ、こういう風にリズム変奏してみて」
「自分で変奏を考えて、楽譜に書いてきて」
と、どんどん応用させるので
元は易しい内容でも、私は難しい事もやっている』と
それなり満足度が上るようです。

まあ、何が一番良かったかといいますと

失敗しても『笑い飛ばせるようになった』ことですね。

できない事を、深刻に受け止めて
「私って、できない…」と暗くなってしまうのではなく
あっ!またやっちゃったあははははは
と爆笑するくらい、明るい子になりました。

失敗を恐れず、明るい気持ちで再チャレンジできる
その前向きさは、ワタクシ、大好きです。


いや、でも
来週までには直してきてくださいね、それ。


楽しみましょう。

2009年03月09日 | 音楽教室

私が担当しているクラスで
かれこれ10年くらい、レッスンさせていただいている
私の母と同年代という大人の生徒さんがいらっしゃいます。

大変、練習熱心な方でして
現在ソナチネアルバム2が終わろうかというところ。

        
しかし、弾くことがお好きなわりには
バイエルが終わった後も
ブルグミュラーが終わった後も
『何か、弾いてみたい曲がありましたら、
 レッスンで弾いてみませんか?』
とお勧めしても
「いえ、特には何もないです・・・」
というお返事。

弾きたい曲が無いって、どうしてだろう???
ソナチネをきちんと演奏できる今なら
結構いろいろ、弾ける名曲はあるのですが

もしかして、
楽しめる曲を弾いてはみたいけれど
具体的にパッと曲が浮かばない?

そこで
「ソナチネくらいまでの力で十分楽しめる
 名曲集などを探してきましょうか?
 お決まりの教本ばかりではなく、
 楽しめる曲も弾いてみたいのでは…?」
と、伺ってみますと
ほっとした顔で、「そうしたい」とおっしゃいました。

さ~て、楽譜売り場へ直行だ。

まだバイエル終了くらいの時
名曲を簡単にアレンジしたものをお勧めしたら
あまり嬉しそうではありませんでしたから
今度は、ちゃんと原曲通りで弾ける曲集を。

作曲家別の小品集がいいかなあ

私の目的 あなたの目的

2009年03月08日 | 音楽教室
学生時代、発達心理学の授業で
「幼児の反抗期」について勉強しました。

自我が芽生えるこの時期の子どもって
『とりあえず何にでも反対することで、
  自分の存在をアピールする』
らしい。

眠くても「寝なさい」と言われたら『イヤ』
おやつが食べたくても
「食べる?」と聞かれたら『イヤダ』(←涙目で)

こういう時は、するかしないかの選択を飛び越えて
次のステップの質問をすればいいのだとか。
これについては過去ログにありますので省略しますが

        
現在レッスンに来ているJくんが、やや反抗期気味でして
ピアノを弾きたくて来たのに、レッスンが始まると
私「じゃあ、ここから弾いてくれるかな?」
J「・・・・・」(黙ったまま腕組みして下を向いてしまう)

ようやく弾いてくれても、2回目はなかなか弾きません。
従って、アドバイスしても
それを試すために弾いてくれないので
レッスンは暗礁に。

習い始めて間もないので、指が思い通りに動かないJくん、
〈3・2・1〉と弾くことはできても
〈3・2・1・2・3〉と続けて弾くことができません。
一度使った2の指が、すぐには動かないのですね。

〈2・1・2・1・2・1…〉と
そこだけ繰り返し動かせば、感覚がつかめて弾けるのですが
Jくん、『繰り返し』大嫌いですからねえ。

こういう時は、目的をすりかえる。

(ストップウオッチを見せて)
――Jくん、これ知っている?
J「知ってるー、時間計るやつー」
――今日は、これでゲームをしよう。
  名づけて『人間ストップウオッチ』。
  これから“よーい、スタート”でスイッチを入れるから
  Jくん〈212121…〉って鍵盤を弾き続けて
  ちょうど10秒、と思ったところでストップしてね。
  あ、でも10秒はしんどいかな?5秒にしようか?
J「いや!10秒でやる!」

かくして。
J「21212121・・・・」ストップ。
――あら~6秒。残念、まだまだだったね~
J「2121212121212121・・・・」ストップ。
――惜しい!今度は13秒。長く弾きすぎた~
J「もう一回21212121・・・・」(以下省略)

最終的にJくん、【10秒03】という
ほぼジャストタイムを達成いたしました。
指の動くこと動くこと。

10秒

2009年03月07日 | お仕事グッズ
レッスン用バッグにいつも入っている
競技用ストップウオッチ。

もとはといえば、読譜力をつけるために使っていた
『フラッシュカード(大譜表の音符カード)』で
読譜のスピードが上っていくことを実感できるよう
毎回タイムを計っていたことから
持ち歩くようになった物ですが

最近、部分練習してもらう時にも
活用するようになりました

例えば、トリルの練習。
指が回らず、トリルがなかなか弾けない生徒さんに
トリルだけ弾いてごらん、と言うと

ちょっと弾いて(しかも全力では弾いていない)
『もうだめ、動かへん…』
と、あっさりあきらめてしまうくせに

ストップウオッチを構えて
「10秒間で何回トリルができるか」と言われると
皆、異様に燃える。

ちなみに、10秒って、結構長いです

『なんだ、それくらいの時間か』
と、皆一様に軽い気持ちでスタートしますが
いざ始まってみると・・・

♪tr~~~~~~(←トリル)

『先生~まだ~?』
「あと残り5秒~」
『ええ~!!まだそんなに~
「頑張れ~」

7・・8・・9・・10秒はい終了~

皆、疲れた~といいつつ
「もう一回チャレンジする?」と聞くと
『やる』と答えるのがおかしい。

指づかい

2009年03月06日 | 音楽教室

人間の手は、先が細く分かれて指となっていますが
この「指」、片手に5本。両手合わせても10本
対するピアノの鍵盤は、88鍵盤が基本装備です。

そこで、大抵のピアノを始めて間もない生徒さんは
5本の指を置いたまま弾ける曲で
その5本の指を思い通りのタイミングで操る
ところから学ぶことになります。

5本指を無理なく合理的にやり繰りして弾く方法が
ピアノを演奏するための指遣い、という事なのですが
弾けてしまう子は、自己流で それなり弾いてしまう
(私も他人のことを言えた義理ではなく
 結構『自己流指遣い』で弾いていたクチですが)

やはり「いい指遣い」は
弾きやすく、思い通りに表現しやすいですから
生徒さんには
「楽をして早く上手に弾けるように」と
わりと細かく、指遣いのアドバイスをします。

もっとも、弾き手の指は人それぞれ。
同じ曲を弾く場合でも、生徒さんによって
指遣いは変えていくことが多いです。

手の大きい人向きの指遣いを
手の小さい人に伝えたって無理ってものですし
指が長くても関節が硬くて広がらないとか
指は短いけれど、すごく広がる手とか
本当に、手には個性があります。

レガートに弾くために。
力強いfの響きを出すために。
柔らかいppの響きを聴かせるために。
速いパッセージを軽やかに弾くために。

目的を伝えて、教える指遣い。

あくまで『参考』ですから、強制はしません。
「もっといい指遣いを見つけたら、そっちで演奏してね」、と
本人が納得いかなければ、生徒さんの好きな指で弾かせます。

皿が割れても平気

2009年03月05日 | 音楽教室

グレード9級受験予定の男の子のレッスンで

オルガンピアノの本を使っている生徒さんなので
自由曲として持っていくレパートリーを
本の中から3曲、選んでもらいました。
そのうち1曲が
『お人形の夢とめざめ』の「子守唄」。
一度仕上げた曲なのですが
何しろ久しぶりに弾くので、演奏が荒い…

お人形が、うとうとと夢の中へ入っていく部分なのに
びくっ と飛び起きそうな勢いの音が混じります。

先日、友人宅で赤ちゃんを見せてもらった折
「眠ってもらうために、いかに静かにするか」
それはもう
そろそろと動いて、小さな声で話すようにして、と
気遣っている様子を見てきたばかりですから
その話をして
『そうっとね、眠りかけのお人形が起きないようにね。』
と言ったところ
(静かに 静かに…)
と、かなり注意して弾いてくれるようになりました。

        
レッスンが終わって、
横に付いて、レッスンを見守っていたお母様に
やはり、お子さんが赤ちゃんの時は、
起こさないように気をつかいました?と伺ったところ

「上の子の時にはもう、気をつかっていましたねー」
ああ、やっぱり?
でも下の子(当の生徒さん)はよく寝る子で
 上の子のおもちゃの車に轢かれても
 びくともせずに寝ていました。

しまった。説得力が無くなった・・・

よつだけハニー

2009年03月04日 | Weblog

カスタネットについて調べるうち、いろいろわかったこと。
と、いいますか情報が多すぎて
(しかも、あっちとこっちで違う事書いてあって)
正直、まとめきれなくなったのですが
せっかくの情報なので、皆様に公開しようと。
        
カスタネットは、原形として
「カスタニュエラ」という楽器があり
西インドから南ヨーロッパに渡った、というのが
一般的な辞典の記載ですが

少し新しい専門書には、古代エジプトで生まれ
 後世サラセン人の手で、スペインに伝えられたとあります。

ちなみに、
古代日本にも「原始カスタネット」があった
らしいです。
何故それがわかったのかというと
5~6世紀の古墳から出土した「埴輪が持っていた」
からなのですね。(むかいあう人物埴輪群

楽器としては、今の四竹と同じ原理ですが
昔の日本には、
『四竹にできるような大きい竹』は自生していないので
(篠竹はあっても、真竹・孟宗竹は無かった)
木製、または鹿の角などでできていたと思われます。

それが、いつしか日本列島では忘れられ
琉球地方でのみ「四竹(ゆつぃだき)」として
愛用されていたものが
近世 再び逆輸入されて流行った、という事らしい

専門用語ではこの手の楽器を「双拍」と言うそうですよ。

…まさか、カスタネットを調べて
埴輪に行き着くとは思いませんでした。

続・カスタネット考

2009年03月03日 | 音楽
カスタネットを日本語で何というか。

カスタネットについて、まず音楽辞典を引いてみます。

【castanet(英語)】
栗の実の形の木片をえぐり、2枚貝状に仕立てた楽器。
語源はスペイン語の castana(栗の実)。
中世からスペインで多用され、
16世紀頃ヨーロッパに広まった、とあります。
スペイン語では、castaneta。

ここまでは、ウィキペディアにも載っていますが
知りたいのは、歴史じゃなくて日本名ですから
今度は、西和辞典を引いてみます。

【casraneta(西和辞典)】
楽器のカスタネット
指つづみ(要するに指パッチンです)
カスタネットの音 及び、栗のパチパチ爆ぜる音
指の関節をポキポキ鳴らす音
…こちらは、形よりむしろ 音に関係している感じですね。

とはいえ、ここでも日本名は載っていない。

発想を変えてみます。
現代は「カスタネット」が普及していますから
日本名が必要ない。

ならば、昭和初期の英和辞典ならどうだ。

【1933年発刊の英和辞典】
カスタネット。四竹の類

出た。四竹(よつだけ)
琉球舞踊で使われている、あれですか?

【四竹(江戸時代の言語辞典)】(←駄目押し)
4枚の竹の板を両手に2枚ずつ持って打ち合わせる楽器。
承応元年、長崎から一平次という者がもたらした。

結論
手のひらで打ち合わせるカスタネットは「(西洋)四竹」
柄の長いタイプのカスタネットは「鳴子」
で よかろうと思われますが
いかがでしょうか。

カスタネット考

2009年03月02日 | 音楽教室

教室へやってきた(他の講師さんの)生徒さん、
ロビーに入るなり
カスタネットって、日本語で何て言うの?

ええー??

ロビーにいた、保護者の方々、スタッフ皆で
「え~?何だろう?」
「そもそもカスタネットって何語?」
「英語かな?」

オーケストラで使う、柄の長いタイプなんて
高知県よさこい踊りの鳴子に似ていますが。
 
  


…気になる。

かつて日本では
外来語である楽器の名前に、和名をあてていまして
アコーディオンを手風琴(てふうきん)
バイオリンを洋提、ピアノを洋琴と呼んだそうですが
カスタネットは…

ちなみに、おなじみ赤と青のカスタネット
日本舞踊家の「千葉みはる」さん 発案で、
その人の名前をとって「ミハルス」という、
とウィキペディアにありましたが
図書館へ行って、人名事典やら何やら調べても
千葉みはるという名前は出てきませんでした。

一応、調べた成果はまた明日、ということで。