MY研究所

(えむわいけんきゅうじょ) ピアノの先生の日常と、音楽教室や音楽についてのお話。

行って戻って

2009年03月21日 | 音楽教室
音楽で言う『跳躍』。これは
ドからレ、ソからラ、と隣の音へ進むのではなく
ドからミ、あるいはソから高いソ、と
離れた音へ動くことを指します。

オクターブを超える跳躍となると
慣れない生徒さんは、思うように移動できず
よく音を外してしまうのですが
この現象が顕著となる曲が
ブルグミュラーの中の14曲目「シュタイヤー舞曲」。
(「スティリアの女」というタイトルの事もあります)

軽やかな3拍子で、生徒さんには人気の曲なのですが
後半に、1オクターブを越す跳躍が3回現れ
ここが近づいてくると、生徒さんの顔が緊張してきます。

この3回の「跳躍」は、『片道』ではなく『往復』。
つまり、13度(鍵盤11個飛ばしの距離)高く跳躍したら
すぐ13度低く跳躍して、初めの音に戻るので
まず、跳躍して上る時に外す危険
続いて、跳躍して低く帰ってくる時に音を外す危険
があるわけです。

そこで、ここの練習は段階を踏んで。
ステップ1:
ソラソ ファッ(レッ)ファ~ミ~」と
メロディーを跳躍する高い音( )だけ抜いて弾く
ステップ2:
「ソラソ ファッ レッ ファ~ミ~」
跳躍先の高い1音だけ、左手で助けて弾く
ステップ3:
右手だけで全部弾く
つまり(ステップ2)を右手片手で再現する

ポイントは、『帰るべき場所をしっかり把握する』こと。

これに限らず『往復する跳躍』が出た場合、
うちのクラスでは「お出かけして帰ってくる練習」
をします。

まず近場から、というわけで
【ちょっとそこまで、近所の公園コース】
1音(或いは和音)を弾き、手を膝に置いてまたもとの鍵盤を弾く
【遠足コース】
自分の頭を触って戻る
【ちょっと出張コース】
ピアノの端を触ってすぐもとの鍵盤を弾く
【海外旅行】
鍵盤を弾き、ピアノの上フタ、或いはもっと遠くの何かを触って
すばやく初めの鍵盤を弾く

これを、タン・タン・タンと4分音符の速さで行います。
(真ん中の「タン」が出張先)

曲だと、皆『難しい~できない~』と嫌になってくるのに
こういうゲームは、熱心にしてくれるのですよね。

どこへ行っても、すばやく帰ってこられるようになると
出張先であるところの、跳躍した音をしっかり狙えば
楽々弾けるようになります。