MY研究所

(えむわいけんきゅうじょ) ピアノの先生の日常と、音楽教室や音楽についてのお話。

強敵。

2016年11月07日 | 音楽教室
音楽教室の講師のお仕事というのは
ピアノやエレクトーンを教えるだけではなく
『学習者グレード試験』の試験官業務もあります。

これには試験官を務めるための資格が必要で
定期的に研修もあります。

もし この合同研修が無ければ 
同じ演奏をしても
厳しい先生に当たれば「完璧に弾けていないからAはあげられない、Bね」
優しい先生に当たれば「このくらいならAをあげてもいいわね」と
評価が変わってしまうのです。

つまり、この研修は
生徒さんは、どこの会場で試験を受けても公平な審査結果が出るように
試験官全員が「このくらいの出来ならこの評価」という
目安を確認し、評価をそろえるためのものなのですね。

かつ、生徒さんが力を発揮できるように
できるだけ不合格にならずに済むように
アドバイスの仕方、問題の出し方なども確認していきます。

ちなみに この研修では
『よほどの事が無い限り、不合格にはしないでください』
とも言われますが
先日 審査をした生徒さんの中に
史上最強の手ごわい問題児さんがおわしました。

自由曲演奏は荒っぽいもののなんとかこなし
次は初見演奏という事で
課題の曲の楽譜を前に置いたところ
「音符、わからへん」

え?読めないの?
「うん、何の音かわからへん。楽譜読めへんねん」

えええええ?

じゃあ、なぜ試験を受けたの!?というか何しに来たのですか?
とは思っても口には出せません。

当の本人は すでに投げ出しモード
1音でも読んで音を出してくれないと
本当に落とさないといけないのですけれどー

じゃあ、この音なら読める?
と 何とかその子の読める範囲の音だけの課題を探し
ト音記号だけ、へ音記号だけで一つ一つ読んでもらい
(本当は両手奏だけど)一緒に確認しながら片手ずつ弾いてもらい
なんとか成績を付けました。

耳は良い生徒さんだったので
そちらで やや挽回して、ぎりぎり合格・・・

終わってから 一緒に審査した試験官の方と
「すごかったですね」
「もう どうなる事かと」

本人に悪意があるわけではなく
やる気がないわけでもなく
単に やってこなかっただけなのですが
(キャラクターとしては天真爛漫でかわいい生徒さんでした)

当分、忘れられそうにありません。

次に試験官の依頼があっても
あの子には当たりませんように。



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