12月といえば
クリスマス。そして
クリスマスツリーといえば
モミの木ですね。
フィンランドの作曲家、シベリウスのピアノ作品に
『
樹の組曲』と呼ばれる
5つの小品があります。
1.ピヒラヤの花咲く時 2.孤独な松の木
3.はこやなぎ 4.白樺 5.樅の木
かつて『
樅の木』を
『
たてのき』と読んでくれた生徒さんもいましたが
それはさておき
私の持っている全音楽譜の曲集には
『樅の木 The Spruce』と記載されています。
へええ、樅の木が「スプルース」?
「
樅の木」と聞くと『
クリスマスツリー』ですが
「
スプルース」と聞くと『
ピアノの響板(きょうばん)の材料』
昔、ピアノ構造論の授業で
目が細かく、軽く軟らかく弾力のあるスプルース材は
響板に最適(バイオリンにも使われます)と習ったのです。
クリスマスツリーの木がスプルースだったとは意外。
で、なんとなく樹木について調べてみましたら
【スプルース spruce】
マツ科トウヒ属の常緑針葉樹で、
ピアノ・バイオリンの材料にも使われる。北洋エゾ松もこの仲間。
トウヒ?樅の木ではなくて?じゃあ、樅の木は?
【樅(モミ)fir】
マツ科モミ属の常緑針葉樹
日本では本州・四国・九州に自生
クリスマスツリーに用いる
混乱する事態発生。
だって、「5つの小品」のタイトルには
「孤独な
松の木」にThe Solitary
Fir Tree
「
樅の木」にThe
Spruce と記載されているのです。
モミとトウヒが逆さまになっていませんか?
日本では「クリスマスツリー=樅の木」ですね。
ヨーロッパでは
伝統的には「モミ fir」がクリスマスツリーの木ですが
実際のところ、「トウヒ spruce」の方が入手しやすいので
「どちらもクリスマスツリーの木」で正解らしい。
とりあえず、
Fir(樅)も Spruce(トウヒ)も
「
見た目はクリスマスツリー」ですので
「松」と訳してあっても「日本的な松」を想像してはいけません。
シベリウスの「孤独な松」を弾く時には要注意。