MY研究所

(えむわいけんきゅうじょ) ピアノの先生の日常と、音楽教室や音楽についてのお話。

知名度の低いsf(スフォルツァンド)。

2011年11月19日 | 音楽用語


音楽用語、というものは
日本人にとってあまり馴染みのない『イタリア語』で、
しかも楽譜のごく狭いスペースに収めるため
ものすごく省略された形で表記されます。
しかも、省略のされ方が違っても
最終的に似てしまう』という事がよくあります。

似ているが故に、誤解を受けるのが
sf(スフォルツァンド)という音楽用語。

mf(メゾフォルテ)と sf(スフォルツァンド)は
どちらも「f」の前に
『もう一つアルファベットが付いて』表記されておりますね。

mfは、2単語の頭文字を並べた省略形。
mezzo forte(メゾ:半分の)と(フォルテ:強く)で
『ここからは頑張り過ぎないフォルテで』

sfの省略のされ方は、頭の2文字だけ表記したパターンで
sforzando(スフォルツァンド:その音だけを強める)
つまり、『そこだけ頑張れ』の意味。

sforzare(スフォルツァーレ)という動詞があるのですが
これがスフォルツァンドの元になるもので
『がんばる』とか『力をふりしぼる』というような意味です。

ただし、力をふりしぼると言っても
【演奏者の全力】をふりしぼるのではなく
その音楽の『その部分のもつ力の範囲で』ですので
『pの流れの中のsf』と「fの流れの中のsf」は
当然がんばり方が違います。
60wの照明がある部屋の中では80wが「明るく」見えるし
80wの照明の中では、100wの照明がより力強く見える。
暗闇の中なら『蚊取り線香の火』でもちゃんと輝いて見えますね


しかもsfは「そこだけ」の範囲限定ですので、
暗闇の中で蛍が光った
照明のある部屋でカメラのフラッシュが光った
という感じです。

前回の『小林幸子になっちゃいけない』より
良い説明になっていると良いのですが。

より遅いのは

2009年09月07日 | 音楽用語

音楽用語は、イタリア語が中心なのですが
音楽辞典に載っている「イタリア語」の意味は
どうしても ごく一部だけ。
微妙なニュアンスの違いってわかりません
        
伊和辞典で意味を調べたりもするのですが
いまだ、どうなのだろう?と悩んでいるのが
largo(ラルゴ)lento(レント)

意味を調べると
ラルゴは英語のlargeやwideに通じるらしく
空間的広がりのある、ゆったりした」…となります。

一方レントは「物理的に遅い」slowの意味です。
日常的には「のろい・だらしない」等
マイナスイメージの遅さとして使われるらしい。

        
いつだったか、あるピアニストの方が
「イタリアでlargoは、のろのろしているというような
マイナスに感じるような意味には用いないので
『のろのろしている』と感じるような弾き方はしないのです」
とおっしゃっていたのですよね。

一方lentoは、遅い、のろいという意味があり
こちらは本当に遅く弾きます、と。

        
しかし また別の方は
洋服を試着してサイズが合わない(大きい)時、
ちょっと余裕がある、ややルーズなのをlento
逆にぶかぶか、ゆるゆる なのをlargoと表現するので
テンポとしてはlargoの方が遅いですよ、と。

どっち~

実質的なテンポは遅いけれど、のろいとは感じないのがlargo
largoより速いけれど、のろのろと感じるのがlento
って ことですか?

今度イタリアンを食べに行く事があれば
イタリアで修行したコックさんとかに
実際のところ、どうなのですか」と聞いてみたいのですが
いまだ果たせず・・・。

とりあえずラスト。(4度進行)

2008年07月21日 | 音楽用語
   

コードネームに始まって
コード進行や 機能の話をしているうちに
いつの間にやら二週間。
…う~ん、こんなに続くとは。
    
さてさて
昨日取り上げた ツー・ファイブですが
2度→5度→1度 の流れを 
実際のコードで もう一度 見直してみると
D → G → C 
C → F → B♭ (m7、7、M7は省略)

「→」部分に注目してください。
何か 気付きませんか?

常に 4度ずつ上行していますね。
これを つなげてしまうと
D →G →C →F →B♭
となります。
「ツー・ファイブ」をリンクさせながら
進んでいるようですね。
この様に、4度上のコードを取っていく進行を
「4度進行」といいます。

これを そのまま見事に使った例が
シャンソンの「枯葉」。
ジャズ・アレンジもありますね。

イ短調バージョンで、
実際の響きを お試しください。

ラシドファ~~ ソラシ ミ~~  ファソラ レ~~  ミファ♯ソ♯ ド~
  Dm7→ G7→CM7→ FM7→Bm7‐5→E7 → Am

これまた、この部分だけを メロディー付きで
ホ短調・ロ短調…と移調して練習していくと、
コード進行の 良いトレーニングになります。

        
とりあえず、今回で 一応
コードネーム・シリーズ終了といたします。
お付き合いくださった皆様、
ありがとうございました♪

似たもの同士

2008年07月19日 | 音楽用語
         
トニックが 1度
サブドミナントが 4度
ドミナントが 5度(または属7)
という話をしましたが
これらの主要三和音は、「代表」みたいなものです。

代表、というからには
その他のメンバーもいるわけです。
以前、「主要三和音」に対し
「主要じゃない和音」という言い方をしましたが
その 主要以外の和音を三つ、
あらためて よ~く見てみましょう。
        

【2度】
音階の2番目の音から 作った和音。
ハ長調を例にすると、
2度の和音はDm「レ ファ ラ」になりますが、
このうち ファとラは、4度のF「ファ ラ ド」と共通します。

6割以上同じ材料でできている、と いうことは
味わいも似ているということ。
4度を砂糖、 2度を蜂蜜とでも考えれば、
『甘味』をつけるために、
代用できないこともないですよね。
というわけで、サブドミナントの機能がある、といえます。

また、属7であるG7「ソシレファ」とも
レとファが共通しているため、近しい関係にあり
とても属7へ向かいやすい性格を持っています。

【6度】
音階の6番目から作った和音。
ハ長調ならAm「ラ ド ミ」
1度(C)の材料 ドとミが 入っていることから
1度の代用として使えます。
1度を塩、6度は醤油とでも 思っていただければ。
基本的に トニックの機能があると考えます。

【3度】
音階3番目から作った和音。
ハ長調のEm「ミ ソ シ」。
これまた、1度のCと 「ミ ソ」が共通しているので
1度の代用として使用可能。
例えていうなら…味噌、かなあ。
これまた トニックの機能を持つと考えられます。

似たもの同士は 交換可能、というわけで

T. →S.→ D.→T とコードが進む時
C  →F → G7→C の代わりに
C  →Dm→ G7→C とか
Am →F → G7→C とも弾けそうですね。

覚えておくと、いろんな味付けが楽しめます。

サブドミナント

2008年07月18日 | 音楽用語
      

これまで
和音の性格(というか、機能)を 指す用語
「ドミナント」「トニック」の2つについて書きましたが
本日は、「サブドミナント(subdominant)」に ついて。
    
サブドミナントとは
音階の 4番目の音を指します。
これまで出てきた用語と 比較してまとめると
トニック T.    ・・1番目の音
サブドミナント S. ・・4番目の音
ドミナント D.   ・・5番目の音

なんだ、結局『主要三和音』と同じことじゃないか
と 思った方、正しいです。
というより、
和音の機能(性格)が、大雑把に言って
3種類にグループ分けできる、ともいえます。

例えていうなら、
「1度」が『塩』など 具体的な調味料を指し、
「トニック」は『しょっぱいもの』というように、
味を大別する言葉 と思ったらいいかもしれませんね。
さしずめ、「4度」は『砂糖』で
「サブドミナント」は『甘味』といったところでしょうか。

    
ちなみに 【サブドミナント】という言葉
「sub」は、補助的・下にある、というような意味で
「下属音(または 下属和音)」ともいいます。

これが
「属音(5度)」の下にあるから 「下」属音なのか
「主音(1度)」の 5度下にあるから「下属音」なのか
長い間、謎でした。

気になって、調べてみると
「主音を中心に、
5度上を属音(ドミナント)
5度下を下属音(サブドミナント)」

【ハ長調の場合】
  ファ ソ ラ シ  レ ミ ファ 
5番目   ←  中心  →   5番目

という説が主流のようでした。
なるほど、これなら
「トニック(主音)」が「中心音」を指す言葉だった
という事も 納得できます。

ですが、よくよく読み進んでいきますと
最後の方に
「5度(属音)のすぐ下の音だから 下属音」
という説もある、と ありまして

結局 どっちも正しいようです。

トニック

2008年07月17日 | 音楽用語


なるべく 専門用語を使わずに
説明したいと思っていても
コード(和音)進行の話をしようとすると
これは知っておいた方がいいなあ
という 音楽用語があります。

これまで コードの話の中に、何度も登場した
『ドミナント』も その一つ。
これが、音階の中の 第5音(属音)あるいは
5度の和音(属和音)という事は 
以前 お話ししましたが

この『ドミナント』に対して、
『トニック(Tonic)』というものがあります。
     
「トニック」(伊語・ラテン語ではトニカtonica)は
そもそも「音階の中心音」を指していた言葉ですが

要するに、音階の一番目の音です。 
つまり
【その調性を決定する上で、最も主要な音=主音】を
「トニック」と 呼ぶわけです。

そして、主音から作った1度の和音も
同じく「トニック」と 呼ぶことができます。
だから、
ハ長調のトニックは 「C」
ニ長調のトニックは 「D」
イ短調のトニックは 「Am」
と いうことに なります。

ちなみに 表記する時
トニック(Tonic)は T.
ドミナント(Dominannt)は D.
と 略されます。

後もう一つ、サブドミナント(Subdominant略してS.)
と いう言葉が あるのですが、

それについては また次回に。

主要三和音「以外」の和音

2008年07月16日 | 音楽用語
      
昨日の日記で
「ハ長調の音階の音」で作ることができるコードは
C Dm Em F G Am Bdim の7つ
と いうことを 書いたら
「主要三和音は CとFとG(G7)」では?
と 質問を受けました。

・・・・・
すみません、基本的な説明を忘れていました。

「ハ長調の音階の音」って、
ド レ ミ ファ ソ ラ シ の7つありますよね。
当たり前ですが、全部白鍵盤。

音階1番目のドから 一つ飛ばしにド・ミ・ソ と
押さえた和音が、コードネームC
ハ長調にとっては 【1度】の和音です。

では、音階2番目のレから 同じように
白鍵盤だけで 一つ飛ばしに弾いて和音を作ると?
Dm(レファラ)が できますね。
これが、ハ長調にとっては【2度の和音】となります。

同様に、3番目のミからEm(ミソシ)で
これが 【3度】の和音。

4番目のファから作ったF(ファラド)が【4度】で
5番目のソから作ったG(ソシレ)が【5度】
6番目のラから作ればAm(ラドミ)、【6度】
7番目のシから作るとBdim(シレファ)【7度】です。

つまり、主要三和音として 一番活躍するのは
1度・4度・5度(あるいは属7)ですが
『主要じゃない和音』として
2度・3度・6度・7度という和音が、
ちゃんと存在しているのですよ。

このように、長調の音階の音だけで 
1度から7度の和音を作っていくと
どの長調で やってみても、必ず
1・4・5度の和音は メージャー(長調の和音)
2・3・6度の和音は マイナー(短調の和音)
7度は ディミニッシュ(減三和音)
となります。

このうち、長調の和音となる1・4・5度の和音を
「主要三和音」と呼び、多用しますが
残りの和音も、「主要三和音の代理」として
ちゃんと使うことができるのです。

例えば、2度のDmは
「4度」のFの代わりに 使うことができますし、
3度のEmと6度のAmは
「1度」のCの代理に使われることがあります。

「主要じゃない和音」(というと なんですけどね)、
これも使えるようになれば
音楽に ぐっと奥行きが出てきます。

とりあえず、「4度の代わりに2度を入れてみる」
ところから、試してみませんか?

ドミナント モーション

2008年07月15日 | 音楽用語
「ハ長調の音階の音」で作ることができるコードは
C Dm Em F G Am Bdim
の7つですが
ハ長調の曲であっても、
これ以外のコードが出てくることがありますよね。

よく使われる方法が「ドミナント モーション」
「ドミナント」については、少し
「属7の ぞく」で書きましたが
もともと、このドミナント(属和音)、
『1度に戻ろうとする性格』を持った和音です。

ですから、
ハ長調の曲で ドミナントである「G7」が出れば
次は 1度の「C」へ 進もうとするのですが、
この「ドミナントの性格」を利用すれば
Fの前にC7(Fメージャーにとっては 属7)
Gの前にD7(Gメージャーにとって 〃)
Amの前に E7(Aマイナー 〃)
を 入れても、不自然なことなく聞こえるのです。

特に、属調(5度の調)のドミナントは
「属調の、そのまた属和音」と いう事から
ドッペルドミナント(ダブルのドミナント、という意味)
とも呼ばれています。
ハ長調なら、属調(ト長調)の属7=D7 となりますね。

ちなみに、私の仕事先の音楽教室では
この「ドミナント モーション」の事を
「他の調から 借りてきた属7」だからということで、
『借用和音』という言葉を使って 説明しています。

13日に書いた コード進行の説明で
『故郷の人々』の メロディー
ミ~~ レドミレ /ドードーラド~ の部分
 C        F
→C  Caug   F   F♯dim
という コード進行の例を 挙げましたが
このCaugの代わりに、Fのドミナント(属7)C7
F♯dimの代わりにGのドミナント D7を入れ
→C   C7    F   D7
と弾く事もできます。

そして 続くメロディ
ソーミド レーレー/ドー   ~ には
C    G7   Csus4  C
と サスフォーを入れることもできます♪

ちょっと整理を。(コード進行)

2008年07月13日 | 音楽用語
    

かれこれ1週間ばかり続けてきた
コードネーム・シリーズですが
構造の話ばかりで、どんな時に使えるか
という話は 全くしていませんでした。

と いうわけで
本日は ちょっと寄り道して
『よくあるパターン』コード進行の話です。
      
ディミニッシュ(dim)もオーギュメント(aug)も
次のコードへ、よりなめらかに進むための
「橋渡し」的に使われることが多い和音です。

例えば、ハ長調の1度Cから 4度のFへ進む時
C(ドミソ)→F(ドファラ)
と まっすぐ素直に進んでもいいのですが
C(ドミソ)→Caug(ドミソ♯)→F(ドファラ)
と Caugを経過して進むと
和音の中に、「ソ →ソ♯→ラ 」という
半音ずつ じわ~っと上っていく流れが生まれます。

このように、
進んでいく2つのコードに共通の音がある
各和音の中に 半音2つ分(全音)離れた音がある
と いう時、
二つの和音の隙間を埋める和音として
aug やdimが 活躍します。

ちなみに
「dim」コードが 橋渡しとしてよく使われるのは
ドミナントの手前部分です。
例えば、「4度→属7」と進む時
4度→属7
の「→」部分に はさみ込むのです。
ハ長調なら
F → F♯dim →G7 ですね。

では、具体例。
『故郷の人々』(ハ長調)の最後の部分に

【主要三和音だけで コード付けした場合】
C         F
ミ~~ レドミレ/ドードーラド~

C   G7   C
ソーミドレーレー/ドー~ ♪

【経過和音を使った場合】
C   Caug   F  F♯dim
ミ~~ レドミレ/ドードーラド~

ConG  G7   C
ソーミドレーレー/ドー~ ♪

注:「ConG」は、ソの音を一番下に持ってきた形のC。
「ConG-G7」ワンセットで、ドミナントとみなします。

オーギュメント(増三和音)

2008年07月12日 | 音楽用語
      

昨日のディミニッシュ(dim)は
小さく 小さく 縮んだ和音でしたが
本日は、ちょっと背伸びした和音。

オーギュメント(Augmented chord :増三和音)
と 呼ばれる コードで
表記は「○aug 」または「○+5 」となります。
       
ところで
コードの音を示す、基本的な数字を知っていますか?
基本形の三和音の音を 下から順に
根音(Root)、第3音(3rd)、第5音(5th)
と いいます。

C の和音を例にすると、
根音が「ド」、第3音が「ミ」、第5音が「ソ」。
つまり、数字は
[根音から何番目の音か]を指しています。

オーギュメントは、「○+5」とも書きますが
これは
メージャー(長三和音)の 一番上の音(第5音)が 
半音高くなることを 指しているのです。
だから、
Caug(= C+5 )は[ド ミ ソ♯]
Gaugは [ソ シ レ♯] と なります。


補足:
ちなみに、昨日 出てきたディミニッシュ(dim)は
マイナーの和音の第5音が
半音下がって できているので
「○m-5」(マイナー・フラットファイブ)と表記することもできます。
こちらは 「減三和音」。