MY研究所

(えむわいけんきゅうじょ) ピアノの先生の日常と、音楽教室や音楽についてのお話。

連休中に リスト

2016年05月04日 | 音楽
ゴールデンウィークの真っただ中です。

基本業務(レッスン)はお休みですが
仕事の準備は休めない
ということで

現在、資料を探しに出かけたり
たまった資料を整理したり
日頃弾けない分、練習三昧などなど

なんだかレッスンがある時よりまじめにやっております。

お休み中、久々にリストを弾いているのですが
ふと気が向いて、リストの生涯についての本を読んでみました。
一応 学生時代に、ざっと音楽史で学びましたし
人間関係や当時の環境なども おおまかには知っているのですが
きちんと 1冊の本で読むのは初めてです。

少年時代 ツェル二―にピアノを習い
ピアノの名手としてパリで活躍し、
ショパンなど当時の芸術家らと交友し
女性にすごくモテて、晩年はお坊さんになった人
というのが、私にとってのリスト像だったのですが

あらためて 調べてみると
少年時代 十分に教育が受けられなかった事にコンプレックスがあるためか
ものすごい読書家で勉強家だったとか
生まれた所はハンガリーではなかったけれど
「祖国」としてハンガリーをとても大切に思っていたらしいとか
貴族ではなく音楽家として 低く見られることを悔しく思っていたらしいとか

思ったよりまじめで いい人だったんだなあと
ちょっと見なおしたところです。

実は あまりリストの作品が好きではなかった私
坊主憎ければ袈裟まで憎い ではないですが
人物像に好感を持てば、作品もがんばって弾こうという気になるもので
連休中に 今の曲をモノにしたいと思っております。

水と油 的 選曲

2015年08月05日 | 音楽
この暑さの中
涼し気な曲を弾きたいな、と
ドビュッシーの「水の反映」を弾き始めております。

13連符・14連符・15連符などの連続に
音は涼し気ですが
弾く方は頭が熱くなりそうです。
びっちり連符で動き続けているところは
感覚的に流れで弾き切りますが
休符があるところは どう入れていったものだか。

考えてもわかりにくいのがドビュッシー
という気もしますので

考えたらよくわかる
ベートーヴェンも弾き始めました。
こちらは「夏の甲子園」のような燃える曲ですので
ご近所の皆さま
「どういう選曲基準か」と思われているかと。




メトロノーム

2012年09月10日 | 音楽
引き出しの整理をしていたら
携帯用の小型デジタルメトロノームが出てきました。

最後に使ったのはいつだったやらというくらい
その存在を忘れていた電子メトロノーム
当たり前ですが 動きません。
(たぶん10年以上使っていません)

電池を交換したら動くかしら?
と 電池を購入してきて入れてみたら
最初のうちは よろよろした音でしたが
後 ピッピッピッ と音を刻みはじめ
どうやら ちゃんと働いてくれそうです。

さて
『テンポを正確に刻む器械』であるメトロノームですが
実際のところ ゼンマイ式には弱点があります。

振り子が右左振れる方向によって、微妙にスピートが変わる
テンポによって正確さに差が出る
ゼンマイが全部戻ったところで止まる

まあ最後の弱点につきましては
電子メトロも電池が切れたら止まるわけで
お互い様なのですが

この『メトロノーム』のための音楽作品がある
という事を あるコラムで読みまして
それによりますと、なんと
『100台のメトロノーム』を使うらしい。

そのコラムでは 
実際どう演奏されるのかについては全く書かれていなかったので
オーケストラの中で 効果音的に使うのかなあ
などと想像していたのですが

違いました。

100台のメトロノームを様々なテンポに設定した上
2人がかりで なるべく同時にスタートさせて
全部が止まるまでを聞く

という『作品』らしいです。



…作品?

で 検索してみて
演奏を聞いてみたら

意外に 最後まであきることなく聞き入ってしまい
結構 感心したのです。

ちゃんと音楽ですねえと思ったのですが
いかがでしょうか?

ポエム・サンフォニック

入試シーズン

2011年01月17日 | 音楽

寒さが厳しいこの季節
入学試験シーズンでもありますね。

先日はセンター試験がありましたが
我が母校の音大の『一般入学試験』は2月から。

入試の時の思い出って
実技試験の順番待ち』です。

まず、教室の一つに受験者が集まって待ち
順番が近づくと、数人のグループで廊下に出て、
実技試験の部屋の前でストーブに当たりながら入室を待ち
そのグループごと入室して順番に演奏だったかな。

他の大学の入試の時期と合わせる意味もあるのでしょうけれど
何もこんな一番手を動かしにくい時期にやらなくても
と思った記憶があります・・・。
(推薦入試は秋のいい時期なのですよね。)

            
昔は推薦も一般も競争率が高かったのですが
今は、昔ほど競争が厳しくないようで
音楽の専門家になる人だけ」ではなく
音楽を勉強したい、という意欲があれば
なるべく広く受け入れたい、という形になっているようです。

2011年度の推薦入試結果を見ると
学部のピアノ専攻は、志願者48人中46人合格。

他の音大の入試の様子を聞くと
もっと志願者が少ないところもあるみたいで
音楽大学も大変だーと実感します。
            
先日、恩師が
母校がつぶれちゃって
 『そういう大学もあったね』なんて事になったら嫌よねー
と冗談で話していましたが
今の時代、冗談ではなくなるかもしれない。

音大だけが「音楽を勉強する場所」ではありませんが
「音楽大学」が成り立っていけるというのは
社会の豊かさの目安の一つのような気がします。

音楽が「無駄なもの」ではなく
「必要な贅沢」であり続けますように。
そんな事を思ったお正月。

曲探し

2011年01月11日 | 音楽

昨年、教室のスタッフさんから
曲名不明の曲があるのですが、ご存知ないですか?
と声をかけられました。

どんなメロディー?と尋ねたところ
「あ、紙に書きますね。」

ちなみに彼女は美術が専門です。
その「書いた音のメモ」を見せてもらうと
レ♯ ソ♯ソレ♯ ソ ファ♯レ♯ファレ♯ド レ♯・・・ 
ところどころ間が開いたり狭まったりしているのは
音の長さを表しているのでしょうか。
いえ、適当です

これではリズムが全くわからないので、
ピアノで弾いてもらいました。

ぽろぽろと弾いてみてもらったところ
どうやら3拍子らしいとわかり
音が間違いないならば、多分原曲は
♯ではなく♭系の調だろうなあ。

ミ♭ ラ♭ ソ /ミ♭ ソ ファ /ミ♭ ファ ミ♭/ド~~
ミ♭ レ♭ ラ /シ♭ ミ♭~ レ♭/ド ~ ~ /~~~
というメロディー。
なんとなく、クラシックというよりシャンソンっぽい?

インターネットでは【musipedia】という
メロディーを入力すると曲名・作曲者名候補を出してくれる
というサイトがありますが
入れてもわからない・・・。

何とか見つけてあげたいところなのですが
どなたか、ご存知の方 いらっしゃらないでしょうか。


エキエル版エチュード

2010年10月30日 | 音楽

昨日は自分のレッスン日でした

ショパンのエチュードを見ていただくつもりで
崩壊寸前(本がですよ)の古いパデレフスキ版の替わりに
新しいエキエル版を購入したのが、レッスン前日。

以前、楽譜売り場でちらっと見た時には
そんなに違わないよねーと思っていたので
すぐには購入しなかったのですけれど
この度、購入してから、じっくり比較すると

部分的に、フレーズの取り方が違うところがある! 
強弱が逆だ!
(pだったところがf の指示)
従って、そういう表現がしやすいように指遣いも違う

・・・今から、変更、きく?

何が何でもエキエル版の通りにするつもりはありませんが
パデレフスキ版の時には「?」と感じていた部分が
こちらでは解決していたりもするので
最終的には、エキエル版式にしたいところもあります。

しかし、これまでみっちり
パデレフスキ版式で演奏して暗譜しちゃっていますから
何が大変って
指遣いの修正が大変

表現の面では、直した方が弾きやすい。
でも、手が今までの指遣いで覚えてしまっているので
ある程度のテンポで、曲の流れに乗って弾いていくと、
どうしても前のやり方で弾いてしまうのです。
じたばた悪あがきすること数時間。

レッスン当日、お師匠様からは
今の時点でこれだけ弾けていれば、きれいに仕上がるわね。
 いいんじゃない?

 しかし、時々すごく器用な指遣いで弾くわね


はい、前の指遣いに途中で気付いて
フレーズの中で修正したりするものですから…
(止まらなかった自分を褒めてやりたい。)

年末の試弾会までには、軌道修正済ませたいと思います。

さいた さいた

2010年04月20日 | 音楽
我が家のベランダは花盛りです。
ちょうどチューリップが次々に咲いているところ。


チューリップ』という曲がありますね。
さいた さいた チューリップの はな が
の、あの曲です。
        
先日、ピアノの先生をしている友人が
遊びにきていた姪(6歳)に弾き方を教えたところ
途中でうまく弾けなくなって、くやし泣きされたそうです。

ドレミ、ドレミで始まる易しい曲なので
一見すぐ弾けそうなのですが
最後の「どのはなみても」の部分だけ
ソソミソララソ、と「」の音が入るがために
ドレミファソのポジションに指を置いたままでは
弾けなくなってしまうのですね。

両手を置いて弾くか、途中で手をずらすか。

私が、まだ導入段階の生徒さんに弾かせる場合は
右手でドレミファソの範囲を弾かせ、
ラ1音だけ左手でカバー(手をクロスさせます)
位置関係がわかってから、手をずらすことを教えたりしますが

ハ長調で演奏すると、ファとシが抜けている
いわゆる「四七抜き(ヨナぬき)」の曲なので
遊びで教えるなら黒鍵だけで弾かせるといいのですよね。

それはさておき
この『チューリップ』、あまりにもお馴染みの曲ですが
作曲者、作詞者ってあまり知られていません。

        

『チューリップ』は、
1932年(昭和7年)日本教育音楽協会が出した
「エホンショウカ(ナツノマキ)」に載っていた作品で
作曲は有名な教育音楽家の井上武士さん。
作詞者は、近藤宮子さんです。

教育音楽協会では、「エホンショウカ」の歌詞を
一般募集していたのですが、
選考委員を引き受けていた、国文学者の藤村作氏
「良い作品がなくて」困っていたらしく
その娘さんの近藤宮子さんが
じゃあ、作ってみましょう と試作したのが
この「チューリップ」だということです。

まさか、こんなに永きにわたって残るとは
予想していなかったでしょうね~。

おまけ:
屋根より高いこいのぼり~♪の「こいのぼり」も
近藤宮子さんの作詞です。

文楽観劇レポート その一

2010年04月10日 | 音楽

今回がお初の文楽観劇
邦楽の経験があり、文楽も観たことがあるという
母と連れ立って行ってまいりました。
                
国立文楽劇場のホールに入ると、座席こそ椅子ですが
天井は漆喰と格子のようなデザイン
ぐるりと下がった提灯に燭台。
和風だ~(←当たり前)

ちょうど私達の席のすぐ右手が
大夫・三味線の座る場所になっていまして
ここなら大迫力で聴けそうです

この浄瑠璃を演奏する場所を「床」と言い
母いわく、忍者屋敷のからくりのように
回転式の盆に乗って大夫・三味線弾きが登場する仕組みということですが
既に座布団が6つくらい敷いてあるのは何故でしょう
見台(けんだい:床本を置く台)も5つあるし…

浄瑠璃って、大夫・三味線各一名のペアでするのでは?

と思ったら、ぞろぞろぞろと大夫さんが登場。
(三味線の方は1人です。)

                
拍子木が響き、幕が開き
とざい、とうざ~い~(東西、東西)』
という黒子さんの前口上で始まった文楽。

妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)』の
初段、「小松原の段」です。

登場人物が出てきて、謎が解けました。
久我之助清舟、雛鳥、腰元2人、セリフのある脇役1人。
それぞれに1人ずつの大夫さんなのですね。なるほど~。
登場人物が舞台を去ると、その大夫さんも退いていきます。
オーケストラピットの楽団員みたい。

その後観ていくと、段によっては
登場人物が複数いても、大夫さんは1人でこなしていましたし
楽器も三味線だけではなく、お箏が加わったり
必ずしも、決まったパターンで行うわけではないらしい
という事がわかりました。

ちなみに床の「回り盆」の定員は2名までらしく、その後は
くるりと回転して登場・退場する様子も見られましたよ。
回転する度、見台が壁にひっかかったりしないだろうかと
真剣に心配して見入ってしまいました。

大夫さんの中には、時々見台を引き寄せる方もいらしたので
過去、そういうアクシデントがあった可能性は高いです。

原典版楽譜

2010年03月10日 | 音楽

楽譜が大好きです。

もとはといえば10年くらい前、
ピアニストとして活躍される今井顕先生の講座で、
版によってこういうところが違う
という話を聞くことができたのですね。

ショパンの曲など『こんなにも』と
驚くほど違っていて、でも確かにしっくりくるなと納得。
(今、エキエル版として出版されているのがそれです)
以来、オリジナル版と校訂版とを比較して
自分の演奏にも、レッスンにも活用しています。

すると、生徒さんの中にもマニアックな子が出てきまして
ここはスラーがついているけれど
流れからして、ノンレガートで弾く方が自然ではないか
などと突っ込んでくれるので
だんだん油断できなくなっていくのですが

           

もともとスラーが付いていたのか、
校訂者が付け足したスラーなのか。


実際、ソナチネアルバムくらいの時代の音楽では
あまりスラーは書かれていません。

例えば、クレメンティのソナチネop.36-1、第一楽章

原典版には、スラーが1本も書かれていないのですよ
アーティキュレーションといえば、
30小節目の右手重音にスタッカートがあるのみ。
強弱はf(フォルテ)とp(ピアノ)だけで
クレッシェンドやディミヌエンドは表記されていないのです。
それは【そういうことをしない】という意味ではなく
弾き手が考えて自由に表現しなさい、ということ。

ですから、演奏していて「ここはスラーが付いているけれど
どうしても切って弾きたくなる」という場所があれば
実は、その感覚の方が正しいかもしれないのです。

最近出版された全音楽譜の
『初版および初期楽譜に基づく校訂版』ソナチネアルバム
オリジナルがどうだったか
そこから考えるとこう弾くべきでなないか、
という考え方で作られているため、
こだわりたい人にはお勧め

変、発見。

2010年01月08日 | 音楽

日本に西洋音楽が入ってきたのは明治です。

ラシドレミファソの音名は

英語ならABCDEFG
独語ならAHCDEFG ですが

これを、明治の日本では
「ラシドレミファソ」ではなく
イロハニホヘト」で取り入れたため
今でも調の名前には
「ハ長調」とか「イ短調」と
イロハニホヘト の名称が残っています

しかし
ミ♭(半音低い音)を変ホ
ファ♯(半音高い音)を嬰ヘ
と、半音高い・低い音に付ける漢字
(へん)」「(えい)」
これはどこから来たのでしょうね?

明治時代に考えられた?と思っていたのですが
邦楽関係の本を読み漁っていたところ
まず、 ♭を指す「変」を発見いたしました
        
何年とまでは、はっきりしないのですが
中国から日本へ音楽が入ってきた時
基本の音階が5つの音からなる5音音階でして
その後2つの半音低い音を足し七音とする時
半音低くした音を表すために
「変」をつけていたのです。
宮 ・ 商 ・ 角 ・    微 ・ 羽
ド   レ   ミ      ソ   ラ
        ↓
宮 ・ 商 ・ 角 ・ 変微・微 ・ 羽 ・ 変宮

遅くとも、日本で雅楽が独自に発達していった平安時代には
♭の意味で「変」があったのではないかと。

「嬰」もこの辺りを探せば見つかりそうです

もうちょっと捜索してみますので
きちんとわかったところでご報告いたします