「経済」12月号に国際協力NGOの草分け熊岡路矢氏と緒方靖夫(日本共産党副委員長)との極めて興味深い対談記事が掲載されています。
異文化との交流で力を発揮
緒方さんは、数カ国語を話し、1979年アフガニスタンを文字どおり命がけで、取材してソ連の侵略を事実を持って明らかにし、また、体制がちがう世界の国々と次々と対話し、平和協力・共存の可能性を切り開いた、すご人物で、1986年には神奈川県警察本部警備部公安第一課所属の複数の警察官によって自宅の電話盗聴と闘ってきた人物です。
軍の関与は人道支援を壊す
熊岡氏は、民主党の求める参考人として国会で発言されていたように、日本共産党とほとんど接点がなかったようですが、国際ボランティアとしての現地活動を通じての発言は納得できるものです。
人道支援は、中立性、公平性、公正性だと言います。ところが自衛隊の「人道」支援は、国益を軸に必然的に偏る、アメリカ軍を歓迎かそうでないかで、違いがでると言います。
他国の文化・芸術に敬意を払わない米軍占領がテロリストを拡大
イラク戦争は、緒方さんも戦争阻止のため、イラクの政権党と激しい論争を行いました。
アメリカの戦争は、大量破壊兵器がないのに「ある」との理由で仕掛けたのですが。
熊岡氏は、「民主化は、その国の人が中心ならなければならない。数千年の歴史と文化、芸術を発展させてきた国には敬意を払わなければいけない。」のに「文明や宗教を理解しない。家宅捜査で女性の部屋にも平気で入っていく。それがいかに重大なスキャンダルかということを理解しない」「文明の遺跡を目にしても'岩と石ころしかないじゃないか'という程度ですから。」
緒方さんは、アメリカ占領軍は占領統治のビジョンももっていなかったと言います。
そして、熊岡氏は、フセイン支配下の上層部だけではなく、学校の先生、役人、警察官も全部パージして、権力の空白をつくり、社会が機能しなくなった。そこに、「イスラム国」などの暴力を濫用する政治集団を生み出す原因があったといいます。
わたしは、集団的自衛権だといって、こんなアメリカ軍と一緒に戦争で殺し殺される国に日本がなったら、テロ集団だけでなく、その国の国民の憎悪の的になってしまうと感じました。
アメリカ流の「民主主義」押しつけの傲慢さ
アメリカの傲慢さは、熊岡氏は「フランスが軍事行動に反対したときに、フランスを敵視して「フレンチトースト」という言葉さえ「フリーダムトースト」に変えた。大人げない」と言っています。
市民社会の未成熟さと発展の可能性
そして、市民社会の発展と社会参加ということで、自分の内側からくる自発性が大事として、「日本では企業であれ、政府であれ、組織への帰属意識が非常に強いことが多いので、個人で考え行動し発言するのは、勝手なことをしているというイメージが強いわけです。常に帰属組織優先という感じです。」と発言しています。
私は、熊岡氏の活動や終身雇用制の崩壊、非正規雇用の拡大、原発事故など自公政権のやり方が、逆に市民社会の発展を促してると思います。
この対談は世界と日本社会のありかたも含めて奥が深く、外国を知らない私にとって、大変ためになる記事でした。ぜひ、お読み頂きたいと思います。
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