弦高について - ミューズの日記
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『楽器の選び方 その6』のコメントで次の質問を頂きましたのでそれにお答えいたします。
質問『少し前に、レッスンを受けている先生に、弦高を下げるともっと弾き易くなるといわれました。自分では、恐くてできなかったので、先生にお願いしたのですが、正直、弾き易くなったという実感があまりありません。弦高を下げるとは、どういうことなのか、実際どう弾き易くなるのか、詳しく教えていただけますか?』

弦高と言うのは通常フレットの上から弦の下までの距離を言います。標準としては12フレットで6弦が4.0mm、1弦が3.5mmです。弦高は出来るだけ低い方が弾き易いものです。何故なら左の指が弦に触れてからフレットにたどり着くまでの距離が長いと大きな動きになるからです。そして張力が強く感じます。僅かな弦のしなりより大きなしなりの方が弦の反発力は強くなるからです。しかし、低すぎると今度はビリが発生する可能性が高くなります。メーカーや製作家は『このギターはビリが出る』と言われるのが恐いものですから、ある程度の弦高を保ちます。その標準が上述した高さです。

しかし、購入したときは標準の弦高であったものがいつしか高くなっているということがあります。それにはいくつかの原因があります。その一つがネックの反りです。ネックが順反り(凹状態)すると弦高が高くなります。もう一つの原因はボディーの下駒辺りから下の部分が膨らんで、下駒が持ち上がった状態になると弦高が高くなります。これは湿気を含んで表板が左右に伸びようとする事で起こる現象です。左右に伸びようとしても側板に阻まれて伸びることが出来ないので膨らんでしまうんです。この現象はどんなギターでも多かれ少なかれ起きています。従って湿度の高い季節は若干弦高が高くなる傾向になります。

基本的な弦高の調整は下駒のブリッジを低くして調整します。12フレットで0.5mm弦高を下げるにはブリッジを1.0mm下げます。12フレットが弦長の丁度中央なのでブリッジの下げ幅の半分が12フレットで下がる計算になります。しかし、ブリッジの削り面を平らに削らないと溝底との設置面がぴたっと収まらなく、振動を伝える面積が少なくなると音に影響が出ます。従って調整には慣れが必要です。

質問にあります『正直、弾き易くなったという実感があまりありません』と言うのは現物を見ていないので何とも言えませんが、弦高調整が少なかったのかも知れません。本来なら高すぎる弦高を適正な高さにすると左手は押さえ易くなり演奏しやすくなるものです。

コメント ( 3 ) | Trackback ( 0 )



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コメント
 
 
 
ありがとうございました。 (ユキ)
2007-10-26 22:16:36
こんなに詳しく、解り易く説明頂いてありがとうございます。今回の「楽器の選び方」の連載で、ギターの事を色々知ることができて、ギターを弾くのが一層楽しくなりそうです。ありがとうございました。
 
 
 
初めまして (KEIJI)
2007-10-27 17:20:30
ギターの歴史、ギターの選び方 論理的で分かりやすく、大変参考になりました。また、楽器と弦の相性は実感として、よく分かります。

現在、アントニオ・マリンとカール・ハインツ・ルーミッヒの2本を愛用しています。マリンは金属的な音が嫌でハナバッハのミディアム(黒)、プロアルテなどを使っています。
ルーミッヒは柔らかく透明感のある楽器ですが、やや音色が暗く色彩感に欠けるため、明るく華やかに鳴るオーガスチンのリーガールやセシリアの硬めの弦を使っています。

これからもプロの目で見た楽器の選び方 楽しみにしています。また、現在は有名ではないけれど実力のある楽器、隠れた銘器の紹介などもあれば楽しいなと思います。
 
 
 
ありがとうございます (山下 高博)
2007-10-28 11:59:07
ユキさん、KEIJIさん、コメントありがとうございます。好評頂いてうれしいです。
KEIJIさんはいい楽器を2本もお持ちなんですね。楽器の特製と好みに合った弦を選ばれている様ですね。それが一番です。
そうですね、隠れた銘器の紹介などもいいですね。考えてみますね。
 
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